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小児肥満の原因と危険因子について:研究からわかってきたこと


生活習慣と社会的環境

・砂糖入り飲料の多量摂取
・スマートフォンやタブレットの普及によるスクリーン時間の増加
・睡眠時間の短縮
・身体活動の減少
・高カロリーかつ微量栄養素に乏しい食品の摂取増加など

上にお示ししたような生活習慣が小児肥満と関連しています。
これらの習慣は、社会的、経済的、政治的、物理的環境の変化によって生み出されています。

特に子ども向け食品や飲料のマーケティング、多くの人が住んでいる都市部での子供の動き周り辛い環境や、車での移動、SNSやテクノロジーの急速な変化、超加工食品の広まりなどが、現代の習慣のもととなっています。

母親の健康と父親の影響

受精卵~産まれて間もない時期は、実は小児肥満の発症にとって重要な時期です。多くの研究がこのことを示しています。

特に、母親の妊娠前BMIの高さや妊娠中の体重増加、妊娠糖尿病、喫煙などが子宮内環境に影響を及ぼし、子供の肥満と関連していることがメタ分析により明らかになっています。
また、父親の肥満も子供の肥満と関連しています。

出生体重と肥満リスク

出生体重は、子宮内環境への影響を反映しており、重要な手がかりとなります。低出生体重と高出生体重は、どちらも後の肥満と関連しており、”高出生体重はBMIの増加”、”低出生体重は中心性肥満”に関連しています。
当てはまる方は肥満になりやすい体質を持っているということになります。

幼少期の成長と肥満

幼児期の急激な体重増加は、思春期以降の肥満と関連しており、これは多くの研究により報告されています。ある調査では、0~2歳で体重が急激に増加した子どもたちは、10~12歳で肥満になるリスクが高まることが確認されました。
また砂糖入り飲料を頻回に飲む習慣は小児肥満と関連しています。これは、ジュースによるカロリー摂取が増え、幼児期の急激な体重増加を引き起こします。子供たちが1日に1回以上砂糖入り飲料を摂取すると、BMIが増加し、肥満リスクが増大することが示されています。

社会経済的不平等

肥満の有病率は相対的な社会的不平等と密接に関係しています。
社会経済的に不利な立場にいる人々に多い傾向があります。
これは高所得国だけでなく、中所得国や低所得国でも観察されています。
養育者にその余裕がなく、食事を作ることができず加工品摂取が多くなってしまったり、子供と一緒に体を動かす機会が減ったりということが原因かもしれません。

遺伝的要素

これまでお話ししてきた出生前および出生後の複数の環境要因に加えて、遺伝的変異も小児肥満の発症に関与しています。
遺伝的な要素は複雑に相互作用し、肥満リスクの増加に寄与しています。いくつかの遺伝子は明らかな病的肥満の原因となっていることもわかっています。

まとめ

以上のように、多くの要素が小児肥満のリスクを高めます。そのうちのいくつかは幼少期に根ざしています。
今からどうにもできない要因も含まれています。
太りやすい体質、そうでない体質があるのは事実ですが、生活習慣で改善できる部分もちゃんとあるのです。
まずは、これらのリスク要因を理解し、自分や家族の課題を認識し、今できるプランを考えましょう。

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