おばさんは良く笑う

お節介


おばさんの親切心は、出し方がむずかしい。おばさんの思いが強すぎれば強すぎるほど、その親切心は相手に伝わらない事が多い。
「ちょっと聞いてよ。」怒ったB子がおば友を召集。
「課長にパワハラって言われたんだけど」
「え、パワハラってどういう事?」
パワハラは上司が部下にする行為のはず。B子が上司に言われるのは筋が違う。
「ウチの課長、指導が長いの。この前、部署の男の子があまりにも長い時間、ネチネチと課長から指導されているから、課長から解放させてやろうと思って、私から指導しておきますか?って間に入ったの。そしたら、あのメガネ、それはパワハラですって。」
「まあ、お節介やくなんて珍しい。」
「本当、やめときゃ良かった。何を言っているのか、お前がパワハラしてるんだろうと思って課長を見たら、痛いげなものを守った仮面ライダーみたいなヒーロー面。えーと思って男の子を見たら、こっちはおじちゃん助けてくれて有難うみたいな目をして課長を見てる。何じゃこりゃって感じ」
笑、笑、笑。
「頭にきたから二人とも視線でズタズタに切り裂いてやったわ」
笑、笑、笑。
B子は普段でも一目おかれる程の目力の持ち主である。いっちゃった時の目で切り裂かれたらその恐怖たるや計り知れない。
「本当、親切にするのも難しい時代になったわよね。私も後輩ちゃんたちと女子トークしてる時に30過ぎの独身の子に35才過ぎて子供を産むと母体がキツイから34才までには結婚した方がイイわよって親切心から言ったの。そしたら、それってセクハラですって言われちゃった。」とC子。
「え、セクハラって異性間で使う言葉よね。それって若い子にとってあなたっておじさん枠」
「そうゆう事になるの?」
「そうゆうことなるんじゃない」
笑、笑、笑。
おばさんの溢れる親切心は、それがあまりにも一方的だと社会の迷惑行為となる。でも、親切心を出すのを遠慮しておばさんと言えるだろうか。お節介でないおばさんなんて魅力が半減だ。節度をわきまえて純粋にお節介する。そして決して感謝の言葉など求めない。それが真っ当なおばさんだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?