おばさんは良く笑う

定期健康診断

おば友は定期健康診断の1ヶ月前はダイエット強化月間になる。おばさんだって、マインドは乙女だ。会社でデブの烙印は押されたくはない。
「健康診断、来月の13日だったわよね。前回の定期健康診断でもう少し痩せた方がイイって女医さんに言われて、悔しいから今年は去年より5kg落としてやろうと思ってるのよ。」とH子。現段階では見た目にあまり違いを感じさせないが志しは高い。
「でもね、痩せた方がイイって言うその女医さん、私よりずーと巨漢なのよ。どうよそれ?」
太った医者が言おうと、ガリガリな医者が言おうとH子が痩せた方がイイという事実は変わら無い。
「医療関係者、あるあるよね。私も成人病で引っかかって、栄養士から食事のレクチャー受けたんだけど、何だが顔色の悪い、不健康そうな栄養士さんで説得力ゼロだったわ。」とK子。
不健康そうな栄養士が言おうが、K子のコレストロール値がアル中患者並であると言う事実は変わらない。
「健康診断と言えば、あの身長検査と腹囲検査って訳わからなく無い」
「ほんとそう思う、身長なんて成人になったら変わらないんだから毎年測る必要なんてないわよ」
「身長は変わるわ」とO子。
「私、若い頃より1cm伸びてるの。脂肪って、足の裏にも付くのよ」O子は横だけでなく、上にも成長し続けている。
「なんか凄い気がする」
笑、笑、笑。
「腹囲検査も意味ないと思わない。職場の男子が、腹囲検査でデブ判定されて、体格が大きければウエストも大きいのが普通なのに女性が90cmで男が85cmって納得いかないと言ってたけど、あれって正論な気がする」とH子。
「確かに、腹囲検査を受ける時は女性で良かったって思うもの。」
「ほんと腹囲検査って考えものよね。私の職場って健康診断を集団でするせいで、小さい声だけど前の人の話聞こえちゃうのよ。私の前の子、妊娠6ヶ月目だと訴えているのに腹囲検査受けさせられて高数値。当たり前じゃない。こんな数値測ってどうする、どんだけイイ加減な検査なんだと思ってたら私の番。辛うじて妊婦よりも数値が少なくてホットしたのもつかの間、私の顔をちらっと見て「お腹引込めないで、普通にして下さい!普通に!」って不正を暴く正義の味方みたいなこと言っちゃってもう一度測ったの。今度は妊婦超え」とC子。
「え、妊婦より腹囲があったの?」
「うん、それだけでも傷つくのに、私の後ろに並んでたのが後輩ちゃん。ばつが悪いったらありゃしない」
おばさん一同、触らずとりあえず笑、笑、笑。
こうしておばさんは、様々なトラウマを抱えながら定期検診の日を迎えるのである。


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