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fishbowl「一雨」ヤマモトショウ ライナーノーツ

fishbowlが新体制となってはじめてリリースした楽曲「一雨」について、プロデューサーとして、また作詞作曲した作家として話したいと思います。

 つくって世に出した曲について、あらためて解説するという行為をそれほど積極的に捉えていないのです、この曲に関してはそれすらも「循環」というテーマの中で意味を持つかもしれません。つまり、解説をすることで新たな発見があるかもしれないということです。ということで、本当にちょっとだけ一雨の間だけ説明します。あとはみんなが好きに考えてください。

 fishbowlとして「深海」という楽曲を世に出してから約三年、変わったことは多いです。変わってないと思っていることでも、実際には時間の中で全て姿を変えています。その「深海」も先日のライブで発表された通り、振付が大きく変更になりました。歌割も当初とは異なっています。

 前述のとおり、「一雨」という楽曲のテーマは「循環」です。それなら「循環」という曲を書けば良いじゃないか、と思うかもしれませんが、確かにただそのテーマだけで曲を書くとしたらそうするかもしれません。しかし、それが「一雨」という楽曲として世に出ることが、fishbowlというグループの歴史になっているのです。
 
 深海からはじまったグループは、雨になって、またそれが海に注ぎ、そしてまた雨になる。「新体制」の「スタート」という、ある意味では当初と似たようなフェーズがやってきているわけですが、「循環」はしてもまったく同じことが起こっているわけではありません。そして、それと同時に変化していないと思うものも、日々変化しながらぐるぐると回っているということも表しています。

海にかえっては
また戻ってきて
次の雨が降るだろう

 fishbowlが始まった頃、まだそれほど多くのイベントをやっていませんでした。それでも静岡の色々な場所でイベントをやっており、野外イベントも多かったのですが、その頃よく「fishbowlのイベントは雨が多い。雨女がいる」みたいなことを言われて、メンバーは「そんなこと言われても」とちょっとしたことでダウナーになっていた気がします。たしかに別にそんなこと言われてもどうしようもないですし、晴れているイベントもあるので、むしろそういうことをいう人が来てる時に限って雨が降っているのならその人が「雨男」なのではという気もしますが、とにかくいずれにしてもそのように受け入れられるようなグループでもなかったわけです。
 成長したな、というのは簡単なのですが、僕はそういった時代を経て新しいものが生まれたというふうに思っています。それは続けてきたメンバーやスタッフもそうですし、新しく入ったメンバーも、そして追い続けてくれているファンの方も、そして今この瞬間に知った方も。

「君に会う日はいつもなんだか天気悪いね」
一言が悲しい時代も通り過ぎ
予報も占いも笑っていられる
僕が生まれた

 それにしても歌うのも踊るのも難しい楽曲だと思います。このタイプのビートの曲は日本のアイドルにはほとんど存在しないもので、fishbowlはこれまで何度かトライしてきてこともあってある意味自然には取り組んでいますが、実際にはそんな簡単なことではありません。

今回、この曲がリスタートの一曲であることは先行して「一雨 feat.諭吉佳作/men」をリリースしたことからも分かるかと思います。fishbowlのデビュー曲である「深海」も、それより先に「深海 feat.諭吉佳作/men」をリリースしました。諭吉佳作/menというアーティストに出会えたことも、fishbowlの活動の大きなポイントで、この三年間「歌う」ということにいかにして重心を置くかということを結果的に考えるための指針にいつもなっていました。
 「循環」は「繰り返し」ではないということを体現している部分もあります。今回fishbowlでははじめて、僕が編曲をせずに宮野弦士さんにお願いしています。僕ではできないアレンジになるような曲を書いてみました。彼との音楽活動もまた、さまざまな循環を見せています。
 そして楽曲の振り付けは槙田紗子さんにお願いしました。実は「八月」という楽曲の「みんなでダンスver」ではすでに先行してご一緒していたのですが、全体の振り付けをお願いしたのはこちらも初めてのことでした。

そして、この解説が公開された後にはミュージックビデオが公開されます。
このミュージックビデオがどうやってつくられたのか、という話はまさにfishbowlの「循環」を最大限に物語っているように思います。こちらは僕が語るよりも、ミュージックビデオを見ていただき、そしてその後に公開されるインタビューをご覧いただければと思います。

海にかえっては
また戻ってきて
次の晴れが来るだろう

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