Q : 臀部を使って走るにはどうしたら良いですか? に、 アスレティックトレーナーが回答します。
FIRST TRACK は、専門分野の異なるスペシャリストから形成されています。日々、アスリートや市民ランナーの目標達成に向けて、アスリートがトレーニングに励む現場でのサポートや市民ランナーさんの治療・トレーニングサポートを主な活動としています。そんな現場で起こる事象や経験など、僕たちのスコープ(視野)でみなさんにお伝えしていけたらと思い、Noteでも発信していきます。そんな初回はよく預かる質問にお答えする形式で説明いたします。
今回は市民ランナーさんから、学生、実業団選手までよくあるお悩みである『殿部』に焦点を当ててお答えしていきます。
Q:殿部を使って走るにはどうしたら良いですか?
殿部を適切に使うために大切なポイントは大きく2つ挙げられます。
1つ目は十分な関節の動きや筋力、2つ目は体幹の安定が働くことで、
走る際に殿部のスイッチをオンにすることができます。
殿部を使えるようになることで、膝や足部へ過剰な負荷がかからず、パフォーマンスアップだけでなく、障害予防にも繋がります。
具体的にどんな方法でアプローチできるのかもう少し細かく見ていきましょう。
A:股関節の可動域、筋力を獲得する
股関節は球関節であり、曲げ伸ばしの屈曲伸展の他に、内転外転、内旋外旋の3つの動きが起きる関節です。
走る動作においても、殿部を使うためには、これら3つの面と軸で起こる可動域を適切に獲得し、動かすことが求められます。
走動作で殿部が使えない時によくあるエラー動作は下記の3つが多く挙げられます。
よくあるエラー動作①
股関節の内旋可動域の低下(骨盤の前傾が起こりにくい)
接地した際に、唯一の地面との接触点である足部からの運動連鎖が生じます。
その際に、股関節の内旋可動域が狭いと、大腿骨に対して骨盤が動かず、股関節での衝撃吸収もできず、ただ体重を受けるだけの股関節になってしまいます。
股関節の内旋可動域があることで、大腿骨に対して、骨盤の前傾が生じ、結果として地面からの衝撃を吸収→地面を蹴ることにつながり、殿部の出力を出しやすくなります。
解決方法①
殿部のストレッチをする。
ただ殿部を伸ばすのではなく、大腿骨に対して骨盤を内旋させるようなストレッチが有効になります。
よくあるエラー動作②
股関節の伸展可動域の低下(殿部の筋が使いにくい)
股関節前面にある、大腿四頭筋の過緊張や、腸腰筋の過緊張により後方への可動域がそもそも低下してしまうと、殿部の出力を使っての走りは難しくなってしまいます。
解決方法②
股関節前面、大腿前面のストレッチ
後方へも股関節を動かせるようにするために、股関節前面の過剰なつっぱりを取るイメージでケアをします。
よくあるエラー動作③
股関節の外転筋力不足(片脚立の安定が不足)
片足立ちをした時に、膝が内に入ってしまう、上半身が左右へ傾いてしまうなどの姿勢が起きてしまう方は、安定した片足立ちができていない可能性が高いです。
走る際に殿部の出力を出すためには、安定した片足立ちを続けることが求められます。
解決方法③
股関節外転筋力をつけるトレーニングを行う
A:体幹を使って、腰がそらないようにする
体を動かすときに考えたい、モビリティ(可動性)とスタビリティ(安定性)。
グレイクックのjoint by joint theoryという考え方があります。(図5)
股関節はモビリティ(可動性)の求められる関節で、その前後にある腰椎、膝関節はスタビリティ(安定性)が求められます。
その為、股関節を安定して動かすには体幹をきちんと固定することが大切です。
股関節で伸展した時に、腰が反っているのは好ましくありません。
腰椎が過剰に動いてしまい、ストレスがかかることで腰椎分離症や腰痛の原因につながります。
解決方法
代償動作である腰椎の伸展が出ない方法での体幹トレーニングを行う
ぜひ、これら2つのアプローチを行ってみてください。
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参考図書:
movement, Gray cook
運動機能障害症候群のマネジメント, Shirley A. Sahrmann
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