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First Step 専業主婦後、あなたはどう生きる、シンシアのグッドモーニング  元専業主婦が、キャリアを再構築するために知っておくべき、4つのこと ー3人のゲスト+シンシアに共通している成功のポイントは? Report by Yoko Ukai

第4回は、これまでの3人のゲスト+シンシアさんの経験を振り返った。話題は就活から働き方、メンタル面まで多岐に渡ったが、その中から4つのポイントを紹介する。

【1 就活/復職を目指すなら、自分の情報網を作る。発信する】

 シンシアさんが復職を目指したのは、52歳。2011年当時は、インディードのような便利な就職情報検索サイトはほとんどなかった。ネット検索でまず探し、そこでダメなら折込チラシや店の張り紙まで広げて探し、それでも年齢とブランクではじかれる厳しい就職環境だった。
 もちろん、現在も「40代〜、離職期間5年をすぎた女性の再就職は厳しい」と、リクルーティング会社のChosaさんは言う。しかし、それでも、就活の手段も復職の選択肢も確実に増えている。SNS社会が到来したからだ。
 参加者のYさんが、その好例だ。子育てに専念するため専業主婦になり、7年間のブランクがあるが、復職(時短復帰)を果たした
 「育児中だから仕事をセーブしたいという人のための求人サイトを探しました。また、あるキャリア講座で自己分析。Twitterで発信しましょうとアドバイスを受けたので、アカウント作って自分のことを情報発信、そうすると情報も集まってきました。気になっているキャリアカウンセラーのブログもフォローし、参考にしています。もちろん、シンシアさんをフォローするため、Linkedinにも登録しています」
 シンシアさんは言う。
「この会を作ったのは、私の知識だけでは限られているから。Yさんのような体験情報は、すごく大事です。具体的で学びが多いでしょ。この場も、就活のためのアンテナの一つと考えてください」

【2 就活/職名ではなく、仕事内容を知る】

 「専業主婦の人は、年齢やブランクを気にしすぎて、自信がない」とシンシアさん。実際、 これまで、シンシアさんは、自身が働くホテルのビジネスセンターに知人を何人もパート社員としてスカウトしてきたが、その際、彼女たちが最初に口にするのが「私には無理」だった。しかし、ビジネスセンターの業務を具体的に逐一挙げていくと(挨拶をする、コピーを取る、宅配便の手配をする、など)、「それなら、できます」ということになる。就活の際、仕事を職名や表面的な説明だけで判断していくと、その内容を知らないまま、できるはずの仕事を失いかねない。
 参加者のKさんも、幼稚園のお世話係の仕事を勧められて、迷い続けた。「子ども相手の仕事なんかしたことがなかった」から。しかし、前回のこの会で「あなたには、子育ての経験があるでしょう?」というひと言に背中を押されてチャレンジ。「確かに、子どもへの声かけも注意すべきタイミングも体が覚えていた」ことが分かった。つまり、「できた」のである。自信のなさは、対象を知らないところに芽生える。職名ではなく、仕事内容をまず知ろう。

【3 ファーストステップ/目の前にある仕事をきちんとこなし、認めてもらう】

 「復職を果たしたら、そこからが勝負」とシンシアさん。4人ともに、目の前にある担当業務をきちんとこなすことから始めている。余裕が出たら、「私にできることはありませんか?」と手を挙げる。周囲は、その仕事ぶりをよく見ており、それが評価につながる。
 ファーストステップでは、確かに最初は苦労する。なぜなら、ブランクゆえに仕事にも、職場の人間関係にも不慣れだからだ。生活リズムも変わるので、体調管理にも気を使う。

 シンシアさんも苦労した。先輩から不本意な叱り方をされたり、頑張って営業成績を上げてもやっかみを受けたり、十分なサポートが受けられずミスをしたり。が、「私のチャンスはここにしかない。辞めたら先がない」とシンシアさんは頑張ったそうだ。
 職場環境で、人に恵まれるかどうかの運不運もあるが、確かなのは、そんな中でも「見ている人は見ている」ということだ。辛酸を舐め、涙した日もあったというシンシアさんは、「頑張っていると周りの人の私を見る目が変わってきた」と言う。そして、新たな仕事が舞い込んだ。
 できることをしっかりやり、それを認めてもらって、次の新しい仕事につなげていく。この良い循環を作るまで、数カ月。先を見て、今できることをしっかりとやる。

【4 キャリアアップ/元専業主婦のキャリアアップは、転職を前提に考える】

2回目の山口尚美さん、3回目のYoko Chosaさんに共通するのは、転職に転職を重ねていること。シンシアさんも、東京アメリカンクラブを皮切りに、3回の転職経験がある。3人ともに、一直線にキャリアアップしたわけではないけれど、その時々の事情や条件の中でよりベターな職場を見付け出し、振り返ってみれば、確実にキャリアアップに成功している。

 元専業主婦の働き方は多様だ。フルタイム正社員への復帰、時短のパート社員、派遣社員、あるいはフリーランス。年齢やブランクの壁で、思い通りの復職が叶わない場合も多いが、正社員しか、この仕事しか、この業界しか、と「しか」ばかりの狭い了簡で仕事を探していると、チャンスは狭まる。まして、これまでのキャリアや資格などに縛られて、復職の条件をたくさん並べ立ててしまうと、企業側からすれば「ブランクもあるのに、使いにくい」とみなされる。

 ブランクのある専業主婦にとって、前職のキャリアは、ともすればお荷物になってしまうことは少なくない。まずは、荷物をおろし、何もない0地点からスタートすると腹をくくろう。そして、最初の職場で、目の前の仕事に力を注ごう。そして、ここが大切なのだが、シンシアさん曰く「職場での経験を、スキルにしよう。財産にしよう」。
 さらに、シンシアさんは続ける。「私たちみたいなブランクある人は、同じ組織の中でキャリアアップするには時間がかかる。キャリアアップしたいなら、転職をおすすめします。例えば、コンビニのパートから始めるのであれば、1年やって他のコンビニに移る。コンビニでも、店が違えばストラテジーが違うのね。そうして、業界に関する知識をどんどん溜め込んで、それを次の仕事に持っていく。その先には、コンビニ業界だけでなく小売りという世界で、新しい仕事に巡り会うチャンスがあるかもしれない。」
 最後に、シンシアさんの言葉で締める。
「いったん、就職できたら、その後は自分で舵取りをしましょう。会社に言われるままではなく。」

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