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どこよりも早い第五回WBC結果予想(プールD)

 プールDはマイアミ・マーリンズの本拠地である、ローンデポ・パークで行われる。2013WBC、2017WBCに続いて三度目の開催。2017一次リーグでドミニカがアメリカに土をつけたのもこの地。
 さてそんな地では今回プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ、イスラエルがシードされており、ここに他のグループリーグ同様予選からの勝ち上がりチームが入る。グループCを死の組と評したが、グループDも変わらない。寧ろより死闘になりそうだ。
 2013で優勝したドミニカ共和国、2017で決勝まで進んだプエルトリコ、2017で予選から二次リーグまで駆け上がったイスラエル、そしてベネズエラである。ベネズエラは最高成績がベスト4と実力にしては勝てていない。2017でも二次リーグまでは進んだが、アメリカドミニカプエルトリコという相手に対し(どういう相手やねん)全敗を喫した。今回こそはという決意だろう。


世界ランク20位・イスラエル

 2017では予選を三連勝で勝ち抜き、その勢いのまま韓国、台湾、オランダを破って二次リーグまでいったイスラエル。ユダヤ系アメリカ人を召集した形であったが、ナショナルチームである事に変わりはなく、立派な成績だ。
 そのイスラエルもWBCにシードされるところまで来たはいいが、かなり厳しい組み分けとなった。なんとか勝ちたいところであるから、チームは最大限に選手集めに走るだろう。私も集めてみたいと思う。
 2017メンバーを見て目に留まるのは、捕手として選ばれていたライアン・ラバーンウェイ。メジャー通算で165試合と実績が豊富なわけではないが、勝負強い打撃を国際試合では見せていた。他には、野手ではスコット・バーチャムやタイ・ケリーといった名前も見覚えがある。
 
 最速156キロのジョシュ・ゼイドの活躍もあって2017では大躍進を遂げたイスラエルなのだが、このゼイドも含めて2023も同じパフォーマンスを出せるわけではない。2017のメンバーを見ると引退している選手も増えてきているし、新戦力が間違いなく必要だ。
 ユダヤ系アメリカ人の名前を上げ、代表を少しでも華やかにする前に、呼ばれる可能性が高そうな選手を一人あげていく。
 ジョク・ピーダーソン(SF)だ。SFと単年契約を結んだ今年は、劇的な試合を含め現時点で17本塁打を放った。この大砲は実は2013WBCの予選メンバーである。プールDを戦う上で打撃強化が必須だったチームに心強い補強。

 ここからは可能性は低そうだが、ユダヤ系ということで集めてほしい選手を羅列する。一人目はロウデイ・テレス(MIL)。2019年に21本、2021年に11本とパワーのある一塁手で今年は現時点で24本。参加すれば大きな戦力アップ。二人目に紹介するのはケビン・ピラー(LAD)。実績十分の中距離ヒッターも参加資格があるかもしれない。今年はマイナー契約でスタートしたがしっかりメジャー昇格にこぎつけている。他にもマックス・フリード(ATL)やリチャード・ブレイアー(MIA)も可能性がある。
 前回大会、マイナーリーガー主体だったが下馬評を覆す活躍を見せたイスラエル。今大会はメジャー経験のある選手も入ることが予想されるので、また躍進が見られるかもしれない。
 ↓↓↓この動画にもイスラエルのファインプレーが収録されていた。レベルが低くないことをうかがわせる。


世界ランク16位・プエルトリコ

 なぜか世界ランクが4番も落ちてしまったプエルトリコだが、実力は折り紙付き。2013,2017と二年連続で決勝に進み、2017に至っては決勝まで無敗で勝ち進んだ強豪国だ。レジェンド、ヤディアー・モリーナ(STL)を中心としたチーム構成でこれまで進んできた。プエルトリコにはモリーナのリーダーシップに多くのメジャーリーガーがついていく構図があり、そのチームカラーが魅力。プエルトリコの団結力は他国の追随を許さない。
 さてそんなモリーナも現役を2022年シーズンまでと決めている。2023WBC終了まで続けるような気もするが、プエルトリコとしては気になるところ。戦力的にはモリーナがいなくても回るだろうが、できれば・・・という所。

 ではプエルトリコの注目選手を見ていく。
 まずはマーカス・ストローマン(CHC)だ。

 2017ではアメリカで出場していたがプエルトリコのエースとして出場する。ストローマンがどう思っているかはわからないが、出場国を変えた理由は母親がプエルトリコ出身であることだけでなく、プエルトリコの強さを目の当たりにしたからだろうか。ホセ・べリオス(TOR)が今季不調だからこそストローマンの参加は大きい。2017ではセス・ルーゴやオーランド・ロマンといった投手が先発で投げたが2023でそういうわけにもいかない。
 ただメジャーレベルの中継ぎ投手は多いものの、先発が少々不足しているか。昨年よりも参加国が増えたことで先発をローテーションするかショートスターターを使うか、チームに選択が求められる。ジェイク・アリエタという選択肢が今年消えたため、余計メジャーレベルでは人数を揃えられない。先発経験ではホルヘ・ロペス(MIN)があげられるがロペスはMINで抑えを務めておりロングリリーフは出来なさそう。
 ジョー・ヒメネス(DET)、エミリオ・パガン(MIN)、セス・ルーゴ(NYM)、アレクシス・ディアス(CIN)というように序盤試合を作れれば後の投手は続きそうだ。絶対的クローザー、エドウィン・ディアス(NYM)に如何にして繋ぐか。

 モリーナの話を先述したが、プエルトリコにはモリーナの他に捕手がたくさんいる。マーティン・マルドナド(HOU)にクリスチャン・バスケス(HOU)、トマス・ニド(NYM)、ロベルト・ペレス(PIT)、マイケル・ペレス(NYM)、ビクター・カラティーニ(MIL)といる。ドミニカ三塁手問題を想起させるような捕手激戦区だ。
 プエルトリコの内野手は豊富だが、レギュラーはほぼ決まっているか。セカンドがハビアー・バエズ(DET)ショートがフランシスコ・リンドーア(NYM)サードがカルロス・コレア(MIN)という布陣は前回大会から変わらないだろう。ホセ・ミランダ(MIN)が一塁か指名打者に入り、ビマエル・マシーン(OAK)やウィリー・カストロ(DET)も戦力になるし、イーサン・ディアス、ケニス・バルガスも控える。
 コレア、リンドーア、バエズの三人は次のWBCでも揃いそうで、彼らが若い頃からいかに、スターとして活躍してきた事がわかる。大型契約を結ぶタイミングも同じ頃合いで、何やら興味深い。バエズのシーズン成績は少々(?)寂しいが、リンドーアは数字を戻してきた。プエルトリコのスターでありMLB選手会の一員であるリンドーアのキャプテンCには疑う余地はなく、そこにバエズやクラッチのコレアが続く。前回大会同様今大会も素晴らしい爪痕を残してくれるだろう。
 一方外野手はというとカルロス・ベルトランが引退した。WBC四大会連続出場とプエルトリコの国際戦と共にあったベルトラン。晩年、サイン盗み関連で微妙な雰囲気にもなったが名選手に変わりはない。彼がプエルトリコチームに残したものを受け継ぐ選手が外野にも出てきてほしい。
 そのためにはエンリケ・ヘルナンデス(BOS)とエディ・ロザリオ(ATL)は外せない。センターとライトに置けば安心して外野守備を見ることが出来るし、二人ともシーズン二桁本塁打が計算できる中距離ヒッターでもある。そしてもう一人名前を上げたいのは、CHCマイナーでプレーしているジョネスウィー・ファーガスだ。2021年にメジャーデビューした27歳だが持ち味はスピード。目立った結果は出ていないものの、今期AAAとAA合わせて28個の盗塁を決めている。盗塁死も2回だけと制度も抜群。トップレベルの守備陣に走塁が通用するかわからないが選出も十分あるだろう。

 この他でいくと、日本の横浜でプレーするネフタリ・ソトや母親がプエルトリコ出身のジョージ・スプリンガー(TOR)も見てみたい。


世界ランク7位・ドミニカ共和国

 WBC2013優勝国のドミニカ共和国。第一回から優勝候補と目されていたドミニカ共和国も、なかなか圧倒的な戦力を使いこなせてない印象だ。2017WBCも二次リーグまで進んだが一次リーグで破ったアメリカにリベンジを許す形で敗退してしまった。
 残念ながら2023でタティスJRを見ることは不可能となってしまったが、チームのタレント数は申し分ない。メンバー選考は骨が折れるものとなる。ロースターは全員スター選手でそこにはサプライズ選出なんてものは無い。
 現時点で考えられるエースはサンディ・アルカンタラ(MIA)だろう。課題だったコマンドの悪さを改善し2022シーズンのサイヤング賞筆頭だ。SEAが大枚をはたいて獲得したルイス・カスティーヨも外せないだろうし、ジョニー・クエト(CWS)だってまだまだ一線級だ。ドミンゴ・ヘルマン(NYY)も禊を済ませて帰ってきた。95マイルが基準となるような先発陣が他国に立ちはだかる。フランバー・バルデス(HOU)だっている。

 上のツイートによれば先発はフレディ・ぺラルタ(MIL)が予想されている。2021年に10勝を上げており、今年もローテーションを回っている。とりあえず、候補はたくさんいてアメリカ同様誰が投げても相手は大変である。よく話題にされるような年俸の規模はどうでもいい、誰が投げてもヤバいのは変わらない。
 ”ヤバい”のは中継ぎ陣も同じ。とりあえず名前を上げてみる。
 アレックス・コロメ(COL)、ヘクター・ネリス(HOU)、ディネルソン・ラメット(COL)、レイナルド・ロペス(CWS)、ワンディ・ぺラルタ(NYY)、ミゲル・カストロ(NYY)、セランソニ・ドミンゲスー(PHI)ハンセル・ロブレス・・・

 列挙した選手でロースターは埋まるのに、まだまだ選手は残されている。専門家ではないのでこれ以上調べていないが、AS級の投手で構成される投手陣を生かし切ればプール通過は間違いない。

 続いて野手に向かおう、捕手はゲイリー・サンチェス(MIN)がレギュラーか。フランシスコ・メヒア(TB)という選択肢もある。
 内野手では誰が入るだろうか。タティスJrが参加出来ないという話は先述したが、ワンダーフランコ(TB)でも十分だろうしジェレミー・ペーニャ(HOU)もあり。そもそも、ホセ・ラミレス(CLE)、マニー・マチャド(SD)、ラファエル・デバース(BOS)といる三塁手問題に加え、二塁と遊撃を守れるホルヘ・ポランコ(MIN)もいる。ゲレーロJrが一塁手を務めるにしても選手のやりくりがかなり大変そうである。勿論選出して全員使いたいと思わせるメンバーだ。
 外野も同じように全員使いたいところ。今期のトレードで大いに話題になったフアン・ソト(SD)を軸に、フランミル・レイエス(CHC)、ケーテル・マルテ(ARI)、テオスカー・ヘルナンデス(TOR)、マーセル・オズナ(ATL)、スターリング・マルテ(NYM)、エロイ・ヒメネス(CWS)と挙げだしたらキリがない。ルーキーでいえばフリオ・ロドリゲス(SEA)だっている。しかも指名打者にはネルソン・クルーズ(WSH)が入るかもしれないし、休まる事のない打線が完成する。
 今からドミニカ共和国の試合が楽しみだ。


世界ランク6位・ベネズエラ

 これまで全大会WBCに出場するも最高成績は2009のベスト4。
 2017も万全の体制を作ったはずが一次リーグ、プエルトリコにまさかのコールド負け。イタリアに辛くも勝利したがメキシコに負け。プレーオフの相手がイタリアだったからよかったものの、メキシコであれば二次ラウンドに進めていなかったのでは?結果進んだ二次ラウンドでも、アメリカ、プエルトリコ、ドミニカ共和国に三連敗。4得点20失点と目も当てられない成績に終わった。アルトゥーベだったりミゲル・カブレラだったり有名選手を擁しチャレンジしながらも、何故か勝てない。不思議である。

 LAAから代表が出るなんてね()。とりあえず、キハダは召集を受けたようだ。レンヒーフォもコロンビアなら可能性は薄いが選出される可能性もあるか。(追記:なんか八月はブーストかけたように打っている、これがWBC選ばれたい打法か)ただこの記事を見て思ったのは、キハダでは見劣りしてしまうということ。LAAでは貴重な左の中継ぎとして頑張ってはいるが、ベネズエラとしてもよりビッグネームの召集が期待される。
 実績あるベネズエラの投手でいくと"残念な事に"、"残念な事で"フェリペ・バスケス(リベロ)(PIT)が2019年に制限リストに入ってしまったが、ドミニカのタティス同様気にせず投手陣は組めそうだ。

 この記事では2017WBCメンバーで今季自身初の球宴に選出されたマーティン・ぺレス(TEX)が注目とされている。この他にはルイス・ガルシア(HOU)、ヘルマン・マルケス(COL)、パブロ・ロペス(MIA)、レンジャー・スアレス(PHI)、エドゥアルド・ロドリゲス(DET)というように左右共に質のよい先発陣が構成可能。よく日本語訳で見る表現を使えば「暴力的な先発陣」である。
 中継ぎもこのレベルの高さは変わらない。ブルスダー・グラテロル(LAD)、ロベルト・スアレス(SD)のようにコンテンダーのブルペンを支える投手に加えてダルウィンソン・エルナンデス(BOS)やヤスメイロ・ペティット(SDマイナー)のように若手とベテランの融合も見られるだろう。

 ベネズエラは捕手が激戦区。サルバドール・ペレス(KC)、オマー・ナルバエス(MIL)、ウィルソン・コントレラス(CHC)の三人から選ぶことになるだろうか。打撃に寄せるか安定感を取るか、投手との兼ね合いも含めて色々なオプションがありそうだ。
 内野手の代表格はホセ・アルトゥーベ(HOU)か。MLB屈指のヒットメーカーがセカンドのレギュラーを務めそうだ。ベネズエラにはミゲル・カブレラ(DET)という名前もある。今期少し調子を戻した三冠王がベネズエラチームを一つにまとめ、もしWBCを取ればそれは一つのストーリーだし、集大成になる。ルーグネット・オドーア(BAL)やエドゥアルド・エスコバー(NYY)あたりが近年数字を落としているのは気になるが、グレイバー・トーレス(NYY)、ファン・イエぺス(STL)、ルイス・アラエズ(MIN)と若手は豊富。ミゲル・ロハス(MIA)、エウヘニオ・スアレス(SEA)と経験ある中堅も健在。アルトゥーベとアラエズを中心とする内野陣が形成されるが、打線の方も20代から30代まで幅広く融合しベネズエラ本来の攻撃力を取り戻すことを期待したい。
 内野がその気なら外野手も集めたい。まずはロナルド・アクーニャJr(ATL)。球界のスーパースター街道をひた走る24歳はキャリア通算opsが900を超える。一番でも二番でも三番でもアクーニャを入れることでベネズエラの打線はグッと引き締まるだろう。長打力が開花したアンソニー・サンタンダー(BAL)をはじめ、デビット・ぺラルタ(TB)、ビクター・レイエス(DET)、オデュベル・ヘレーラ(PHI)、アビサイル・ガルシア(MIA)、ヨナサン・ダザ(COL)、シーザー・ヘルナンデス(WSH)と5ツールプレイヤーみたいな奴らの名前が次々と候補に挙げられる。2017メンバーはオデュベル・ヘレーラしかもう残っていないが、2017のリベンジを果たしてくれるのではないかという期待が持てそうだ。


順位予想といきたいが・・・

 正直順位予想がきつい。戦力で考えれば予選から勝ち上がる国、例えばパナマ、ドイツ、ブラジル、イギリスといったところが全敗しそうで、四位イスラエルというのが安定の予想。
 つまりプエルトリコ、ドミニカ共和国、ベネズエラの三つ巴だ。投打共にハイレベルで穴が見つからない。先発の駒でプエルトリコは劣るがそこはモリーナが何とかするかもしれないし、ストローマンでドミニカ共和国戦を取れば一気に通過が見えてくる。ベネズエラは他の二チームと比べ中継ぎに少し弱点があるが、第二先発やロングリリーフをうまく使うことで克服できるだろうか。打力という点では2017よりもレベルアップしており2017WBCのわずか4得点、のようなことは流石に無いだろう。打たれたら打ち返すでアクーニャJrから続く上位打線で殴ることが出来るなら十分だ。

仕方がないので予想する

 1位通過はドミニカ共和国。アルカンタラとカスティーヨが試合を壊すとは思えない。彼らでプエルトリコ戦とベネズエラ戦を取ると予想しよう。打撃陣も2017一次リーグで26得点した時の打線よりも遥かに質が良い。
 2位通過はベネズエラだろう。
 
投手力でプエルトリコに勝ると予想した。正直打線は比べても差はない。短期決戦らしくリリーフ勝負になるのならば、ベネズエラに分があるような気がする。
 ただ、逆に言えばベネズエラはプエルトリコに勝てばいいだけではなく、プエルトリコもベネズエラを倒すだけでは通過できない。球数制限がある以上四試合ハイレベルな戦いをした上で、強豪2チームにピークをもっていかなければいけない。これにはエースで絶対に取るのか、細かくつないで行くのか乱打戦を望むかなど駆け引きも含むだろう。
 プールDはプレーオフまでいきそうなくらい接戦で、五試合目に位置するプレーオフの想像は付かない。投手も十分に使えるとも言い難いわけで、プレーオフまで進むとすれば、匙を投げるようだがどこが勝ち上がっても普通といえる。三つ巴の結果潰し合いに発展し、イスラエルが二位通過・・・もあるかもしれない。
 結論としては一番レベルの高い試合が見られるプールであり、パワー、スピード、そしてテクニックが存分に披露される。海の向こうではあるが、是非テレビで観戦したい。

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