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【連載】この人生を生きるのに大切なこと 9

「私も連載を持ちたい!」という欲求のまま勝手に始めた月1連載。
HSP気質で、片頭痛、うつ、喘息を持病に持つ私が、生きるのに大切だと思うこと1つをテーマに、経験や考えを書いていきます。
毎月第1水曜日更新予定。


第9回 経験と感情


今回のテーマは、もう何回も書こうかと思っては止めたテーマだ。
私にとっては、この人生を生きるのに大切な感覚だが、今までほとんど誰かに話したことがない。分かってもらえる気がしないからだ。
だからここで書いても誰にも読まれないのではないかと思った。
でも、これから書くことは紛うことなき「この人生を生きるのに大切なこと」だ。
この名前の連載をしているからには書かねばなるまい。


この感覚を得るきっかけになったのは妊活だった。
私は2010年に26歳で結婚したが、子供ができなかった。
マカや葉酸のサプリメントを飲んだり、体質改善を目的に漢方内科に通ったり、排卵検査薬を使って自己流タイミング法をやったりと、自分でできることをしていたが妊娠せず、ついに2017年、34歳で不妊外来を受診した。
夫婦とも基本的な検査では何も異常がなかった。
タイミング法を8周期行ったが妊娠しなかった。
人工授精を3回行ったが妊娠しなかった。
私が住む自治体の人工授精への補助は3回まで。医師の方針は4回行って妊娠しなかったら体外受精にステップアップ。
次はどうするのか…判断が迫られた。
そんな時期に友人が亡くなり、姉が出産し、仕事は超繁忙期を迎えた。
私はもう限界だった。
過呼吸で倒れた。

休職中に出会った本があった。
池川明・長堀優 著
『タマシイはひたすらびっくり体験とわくわくアイデアだけを求めてあなたにやって来た!』

偶然、隣県で池川さんの講演会があったので行ってみた。
以下は講演会で話された内容を私の記憶している限りで書いた。

著者の池川明さんは産婦人科の医師で、胎内記憶で有名な方。
これまで約3万人の子供から「お母さんのお腹に来る前の記憶」「どうやってお腹に来たか」「お腹の中での記憶」を聞き取ってきた。
それぞれ全く関係のない子供から聞き取っているのに、子供が語る内容には驚くほど共通点があり、こう語ったのだそうだ。

お母さんのお腹に来る前は、お空の上の、神様がいる場所にいる。
神様は大仏様みたいな風貌。
自分は身体はなく、魂だけの状態。
そういう魂たちが他にもたくさんいる。
モニターみたいなものがあって、そこに色々な女性の姿が映る。
「あ、この人、綺麗だな」「この人のところにいきたいな」と思ったら、その女性の家まで滑り台ができる。
その滑り台を下りてお腹にやってきた。

命はどうやって宿るのか。
もしかしたら自分も、そうやって来たのかもしれない。
憶えてはいないけど、そう考えるととてもおもしろい。

また、魂たちには何か「ミッション」があって、身体を持って生まれてくるのだそう。

例えば、虐待する親のもとに生まれてきた魂。
虐待は世代間を連鎖していることも多い。
「この虐待を止めて、お母さんを幸せにしたい」というミッションを胸に生まれてくるのだとか。
ただ、叩かれればもちろん痛いし、ミッションを達成できず力尽き亡くなることもある。

例えば、流産や死産になった魂。
お母さんは悲しんでいるけど、実は本人としてはそんなことはなくて。
長い人生を生きるにはちゃんと準備してから生まれないといけないけれど、ちょっと練習で1泊2日のつもりで来てるから「ちょっと帰りまーす」「また来るねー」くらいのノリだそう。
あと、流産になった魂がまた同じお母さんのところを希望したら、他の魂より優先されるそうだ。

何のミッションでこの世に生まれてきたのか、私は忘れてしまったので分からない。
でも、どうやら何かあって、身体を持って生まれてきたようだ。
というのも、魂だけの状態で空の上の世界にいると、痛みも感じないし、悲しいとか辛いという感情を感じないのだそう。
空の上の世界は常に幸せで満たされた、争いがない世界。
だから、なぜ人間たちは争い、憎み、怒っているのか、分からない。
そういう身体を持った人間だからこそ経験できる「感情」を感じたくて生まれてきて、それをもとに魂をアップデートしたりレベルアップさせたりする。
おおまかにいうと、身体を持って生まれてくるのはそういうことらしい。

正直に言うと、私はそういうネガティブな感情は感じなくて済むなら感じたくない。
そのまま空の上の世界にいれば良かったのに、どうして私は人間として生まれてしまったのか?
何かミッションがあったのかもしれないし、その達成のために人間に生まれる必要があったのかもしれないけど、今となっては何がミッションだったのか忘れてしまった。
忘れたのに、嫌な経験はするし、嫌な感情は感じてしまう。

そんなある日、YouTubeで江原啓之さんの動画を見た。
動画は視聴者からの相談に江原さんが答えるというもので、質問者は私と同じく妊娠しないことに苦しんでいて、周囲の人の無理解に怒りと悲しみを感じていた。
それに対して江原さんはこんなことを言っていた。

人間は経験しないと本当には分からない。
例えばあなたは今世では子供ができないと苦しんでいるけど、前世では周囲の人と同じように『なんで子供できないの?すぐできるじゃん?』と思っていたかもしれない。
でも今世では『欲しいけど、やれることは全部してるけど、どうしてもできないんだ』ってことを経験している。
それがどんなに辛いのか、どんなに苦しいのか、どんなに悲しいのか、その感情を経験している。
これは魂の成長ですよ。
子供のいる人生と、子供のいない人生を、1つの人生で経験することはできないですよね。だから別々の人生で経験しているだけのこと。今のあなたの人生がそうだった。それだけのことです。

目から鱗が落ちたような感覚だった。

そうだ、この辛い経験は、たった一度の人生で一人の子も生さない、子孫を、愛した男の遺伝子を残せず死んでいく…人として、嫁として、妻として、女としての無念だ。
この苦しさを共有できるのは、同じ経験を今経験している数人の女性のみ。
子供を持つ人はもちろん、未婚の人、子供が欲しいとは思わない人には分からない。
私だって経験するまではなんとなく産めるんだろうって思ってた。
でも実際は違った。
これは私が、この一度きりの今世を、身体を持って生まれてきて、人としての色々な感情を感じられるから、経験した感情だ。
体験して初めて分かった。
こんなに辛く、苦しく、悲しいことだと。
そしてどうしようもないことなんだと。
世の中にはそんなことがたくさんあるし、それで苦しんでいる人もたくさんいる。
それを今世で学んだ。
身体が痛んで、心が破裂して、過呼吸で倒れるほど、まざまざと。

前世と今世と来世と、身体が変わり、個体が変わっても、魂は続いている。
身体があるから体験できる。
感覚を感じ、感情を感じることができる。
身体から心から、まざまざと経験しなければ、本当には分からない。
だから身体を持って生まれてきたのだ。
魂が成長するために。

子孫を残せないなら、ヒトという生き物として生まれてきた意味もなかったと思い詰めるくらいの辛い経験が、実は無意味じゃなかった。
そのまま空の上の世界にいれば良かったのに、人間の世界にわざわざ来たのには理由があった。
自分のやる気の半分もうまく動いてくれない身体で、わざわざ経験がしたくて、感情を感じたくて、生まれてきたのだ。

そう思うと、何かこれまで苦しんできた全ての経験、全ての感情が、みんな救われた気がした。
これまでも、そしてこれからの人生も、全て無駄じゃないんだ。
生きていれば、経験したことはみんな、成長に繋がるんだ。

そう気付いてから、辛い経験や悲しい経験はもちろん、楽しい経験や嬉しい経験も「こんな経験がしたかったんだな」と客観的・俯瞰的な目で見れるようになった。
以前だったら情けなくて他人に見せられないと思うようなことでも「これもこういう感情を感じる経験だな」と許容できるようになった。
まるで、自分の人生だけど、全てが自分の人生ではないような…
人生は短いから、一番大事だと思うことだけやって、あとはまた来世で…みたいな、不思議な感覚だ。

経験はただの経験だ。良いも悪いもない。
子供がいてもいなくても、人生は続いていく。
経験についてくる感情、感情の先の感覚を、これからも書いていく。

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