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保護猫つーちゃんの場合

 保護猫の翼ちゃん(通称つーちゃん)は風邪をひいて注射を打つことになった。すると翌日から体が不自由になってしまった。
 
 勿論、原因はわからない。頭をジッとさせることも出来ないつーちゃんを前に私は声をあげて泣いた。風邪を治してあげたかっただけなのにこんな体にして申し訳なくて、ごめんごめんと声を出して泣いた。

 ひどく頭を揺らしながらも必死にご飯を食べるつーちゃんに「頑張ってる!頑張ってる!」と声を掛け、少しでも体が動くようにと翼ちゃんと名前を付けた。
 
 1カ月を過ぎる頃から、なんと、つーちゃんの頭の揺れが小さくなってきた。そして嬉しい事に今では、少し頭が揺れるが自分の事は自分で出来るようになり、ゆっくりだが歩行も出来る。
 ただ少し不自由な体のせいか、つーちゃんは体が成長しないし声もだみ声だ。

 元は、人間に敵意むき出しの猫だったつーちゃんだが、不自由な体を経験してからは、人間を頼ってくれるようになった。
 
 餌の時間になると頭を緩く揺らしながらだみ声で近寄ってくる。餌を皿に出すと誰よりも早く食いついてくる。成長しないので、病院にも相談したが特に悪いところはないそうだ。
 

 餌をねだる時の私を見上げるつーちゃんの小さな体は、とても愛おしい。


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