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THE 日記(7/26〜8/1)

七月二十六日
 それでそのままテキトーに本読んで過ごす。寝る。起きたら十六時。バス。パスモの残額が足りなくて、運転手の対応が冷たい。馬鹿なんかこいつ。疲れとんのか知らんけどわざわざ冷たく対応する必要ないし、お前にとっては五十九万六千三十八回目の案内だとしても俺にとっては二回目とかだし、その想像すらできない、もしくはやっても実践する気がない、想像の実践をやる枠組みがない。こいつにとってここはそういう労働環境だった。しんどいならやめろ。
 昨日、いつものように京王線からJRの改札の中を通って中央東口らへんの改札で出ようとしたら、その通り抜けは七月十九日からできなくなったようで、理由はわからないけど、それで出れなくなり、既に行列になっている駅員さん話しかけ処(はなしかけどころ)に並んだ。このまま出ると入場料がかかる、だけど一回京王線のところに戻って、新しく整備された方の改札を使うと入場料はかからない、と言われて、こっからまた京王線のところまで戻るのめんどくさかったので入場料を引いてもらうことにした。この人たちは多分毎日毎日毎日毎日同じ文言を繰り返し言っているんだろうけど、この人は別に怒ってなかった。それで俺は「これ次からどうすればいいんですか?」と聞いて、上に書いたように、専用の改札みたいなのができたからそっちを使ってください、とのことだった。怒るのは怒った時だけにすればいいのに。どいつもこいつも瞬間に生きられない。
 働き終えて、ツイッターを見たら、CPTオンラインアジア代表の結果が飛び込んできた。ウメさんだった。泣きかける。やっぱりこの人が勝つんだ、と思った。カプコンが主催する年間を通してのプロツアーがコロナによって中止になった。いつもはそのプロツアーの成績を元に、上位二十人ぐらいが毎年年末にラスベガスで開催される「カプコンカップ」というチャンピオン決定戦に出られる。それが今年はできない。そこでカプコンは、「各地域ごとにオンラインで対戦して、そこで優勝した人たちが年末に集まる」という方針に変更した。欧州、北米、中米、南米、アジア、中国、オーストラリア。ストファイは日本人のレベルが圧倒的に高く、世界上位二十人のうち十四人ぐらいが日本人だ。だから日本は当然「アジア」に含まれるわけだけど、そもそも日本に世界上位が集結してるのに、優勝した一人だけしか今年のカプコンカップに出れない。「ちょっと運営さん流石に下手すぎませんか?」と思うが、この形は、いわばプロアマ問わず、今までの慣習なんかも取っ払って、改めて全世界全人口平等に、はいヨーイドン!で一番強いやつ決めたらぁという形で、それは格闘ゲーム黎明期のようなシームレスさだった。原点回帰。そこで、日本人初のプロゲーマーのウメさんが優勝した。何もないところを格ゲー一本で切り拓いてきたこの人が、優勝するべきだったし、本当にそうなった。
 終電に乗ったらまたこの前の刺青まみれの青年が対面にいて、おー、と思った。

七月二十七日
 高円寺で降りなきゃいけないのに間違えて阿佐ヶ谷で降りた。

七月二十八日
 よく行く喫茶店まで歩いて、『影分身と饅頭』の続き。三万四千字。店員さんの態度が悪すぎて(お客さんには優しいけど同僚に対する当たりが強すぎる。それがずっと聞こえてくる)、もうあんま来たくないな、と思う。
 ぺっちゃんポテサラと天鳳。
 『セックス・エデュケーション』観て、三話で号泣。

七月二十九日
 落合くんから「電話したい」と言われて、夜中に話すことになった。働きに出て、キーマカレーを作った。
 自分が何者かになれる気が全くしない。何かがもう終わってしまったかのように思う。とにかく今は『影分身と饅頭』を書くしかなくて、そしてこれはもう字数の制限をあまり気にせずに長く書こうと思うと少し楽になるというか、少し楽になるということは長さが制約になっていたということだから、テキトーにふらふら書こうと思った。
 働き終えて、落合くんと電話。キングオブコント落ちちまったよ、という話。最近もうお笑い観なくなっちゃった。小説と格ゲーばっかり。井の頭線。吉祥寺で中央線に乗り換えて、高円寺で降りようと思ったら乗り過ごして中野に着く。最近電車から降りられない。眠い。
 恋人と『セックス・エデュケーション』を六話まで観て寝る。

七月三十日
 怒鳴り合い。
 ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』おもしろい。
 なぜかピンクフロイドを聴きながら『影分身と饅頭』の続き。三万六千字。

七月三十一日
 五叉路の真ん中で古いセダン車がどこに行こうか迷っていた。青い自転車に乗っていた俺はその脇をするりと抜けて、久しぶりに乗る自転車は良いな、と思っていた。夕方だった。
 東京都の新規感染者数四百六十三人で過去最多。まあこれからもっと更新していくだろうけど。差別主義者に権力を握らせるな。小池百合子マジで嫌い。死んでほしい。
 甲州街道に沿って帰っていたら歩道を外国人六人組が並んで歩いていたので、一旦車道に出て避けた。
 凍ったりんごを食べながらストファイ。
 お湯が沸くのを待ちながら『未明の闘争』を読む。おもしろい。ごはんを食う時はお茶を飲みながらが一番良いけど、今日はお茶を切らしていたからミネラルウォーターを飲みながらカップ焼きそばを食べた。しかしこれ、お茶じゃなくて水になった途端「ガチ感」が出てくるというか、純粋なカップ焼きそば(しかもぶぶかの油そばだしそれもなんかまた)の味だけを感じたい奴みたいな、かなりドスケベな行為のようになった。フライドポテトをたくさん揚げて全然食べられなかった。

八月一日
 新規感染四百七十二人。森奈ちゃんのツイートが拡散されまくって、リプライ欄に想像を遥かに超える悪人がわんさかいてヤバい。働きに行く前に、そのリプライ欄全員の住所を調べることにした。ちょうど一年前ぐらいに出たハッキングアプリを(語感ほぼマッチングアプリじゃん)今までは無料版で使っていたけど(無料版は一日に一回しかハッキングできない)、この機会に有料版にした。月千二百五十円。みんな色んなところに住んでいた。東京に住んでる人を中心に、全員の住所をスクショして、ツヴィリングの包丁を新聞紙でくるんで家を出た。最初の人は久我山に住んでいて、ピンポンを押したらすぐに出てきたので腹のあたりをずぶっと刺した。そして見向きもせずにすぐ自転車に戻って、次の家に向かった。次の人もピンポンを押したらすぐに出てきたけど、最初の人の血を拭くのを忘れていたから、ぬめぬめして上手く刺せなかった。だからテキトーに何回か切りつけて立ち去った。駅前の百円ショップに入って布の雑巾を買った。店員さんが血まみれの俺を見て「大丈夫ですか?」と聞いてきたけど、俺は全然大丈夫。雑巾で血を拭いて、あとは反復作業。全員死んだ。それで代々木公園の水道で全部洗って、気持ち良かった。働きに向かった。今日はブチャラティのTシャツを着ていた。
 カネコアヤノさんのラジオがずっと最高で、バイトをしていた時に、ずっとバイトをしながら暮らすことになったとしても後悔ないぐらいラブなバイト先だからこそ、ここが最後だ、と思いながら働いていた、という話がよくて、泣くかと思った。俺もフヅクエに対してそう思っているかもしれない。梅雨終わった?

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