ＴＨＥ　日記（3/31~5/12）

三月三十一日
　今日は東京だけで七十八人の感染者が出て、過去最多になった。
　参っている。胃が痛い。太田胃散を飲んだ。
　明日、下北のfuzkue（僕のバイト先です）がオープンする。こんな形で四月一日を迎えることになるとは。
　起きたら十四時ぐらいだった。『巨木とスプリングフィールド』の入った封筒を持って家を出た。環七沿いの郵便局で出した。今日が新潮新人賞の〆切だったからだ。又吉さんに読んでもらえたらどんなに嬉しいだろう。
　嫌だなウイルス。早く終わってほしい。

四月七日
　起きて、ストファイやりながら配信。誰も観てないけど何か喋りたい気持ちが高じてこうなった。ランクマはラグが凄まじくて、もうインターネットの工事をやってもらおうと思う。石川啄木の『ローマ字日記』を読む。おもしろい。
　共産党の小池さんが給付金の説明をしている動画がツイッターで流れてきた。「もう本当この説明してると頭おかしくなる……」と小池さんは言った。その言い方が凄かった。そりゃそうだと思った。このあと緊急事態宣言が出る。
　出た。安倍が「責任は取ればいいっていうものじゃない」みたいな、わけわからんことを言って、げんなり。
　家いるのしんどくて、散歩。ナチュラルローソンで洗剤とかハンドソープとか買って、あゆみブックスで本をしこたま買った。
　万年筆欲しいな、と思って調べていたら朝の六時になっていた。サンドリ聴きながら寝。

四月十七日
　めっちゃ寝違えた。史上最強寝違え。恋人が湿布貼ってくれた。本読んで暮らす。うどん茹でて食った。恋人が焼いたスコーンを食べて、二人でKITTINに行って、レモンケーキ買って、帰宅。明日は大雨らしい。
　母ちゃんと電話。しきりに何かに向かって「お湯！」とか「もう食べなっせ」とか言っているので、「何何？」と尋ねると、爺と婆が「死ぬ前にカップラーメン食べてみちゃあ」と言ったらしく、齢八十六にして人生初のカップラーメンを食っていた。
　ピアゴで買い物して、豚肉・エビ・青梗菜をテキトーに炒めて米に乗せて食った。
　夜中、ポテサラと農業ゲーム。
　恋人がまたマニキュアを塗ってくれた。カーキ色の。

四月十九日
　起きて、洗濯を二回。毎日百八十人ぐらいの感染者。たまに買い物で外に出ると、土日なんかは特に、普通にそこら中混んでて、意外とみんな危機感ないな、と思う。セブンでどん兵衛買って食う。『銀の匙』読んでいたら昔のことを思い出す。
　『誰かの日記』の校正をやる。思っていたより大変で、苦しみながらどうにか進めた。

四月二十九日
　散歩。
　『誰かの日記』の校正がなかなか進まず、大変。時間たっぷりあるのに、意外と物事ってそうサクサク進まないものなんだな。

五月三日
　高円寺を散歩。片目が潰れて耳と尻尾がちぎれた猫が、「コープ、コープ」とおかしな呼吸音を発しながら道端でぐったりしていたので、思わず立ち止まり、「おい大丈夫か」と話しかける。ただ眠いのか、苦しいのか、よくわからない。その場に留まり、iPhoneで色々と調べる。軟水のミネラルウォーターを買ってきて、あげようとするも、飲まない。茶碗を買いに行き、二百円の黒い小さな碗に入れて置くと、一回だけペロッとして終わった。別に元気だよ、水もエサも要らないよ、ということなのか？　よく見ると首輪がしてあり、目の前にある画廊の扉には猫のマークの絵が貼ってあったりもして、とりあえず帰ることにする。明け方で病院も閉まっているし、開いてたとしても野良猫を捕獲してそこに連れて行くのは至難の技に思えた。触ろうとすると避けた。帰宅してさらに調べ続けていたら、どうやらあいつはご近所のアイドル猫らしく、じゃあ一応みんな毎日エサあげたりはしてるのね？　大丈夫だよね？　呼吸音が変なんなってることには誰か気付いてるのだろうか。そしてアイドル猫ってなんか、みんな優しいようで、どうなんだろう、と思う。保護するという選択は、そりゃもちろん各々事情があるから仕方ないにしても、それだけたくさん人がいるなら、一人ぐらい。
　帰りに、ぽえむの近くの公園に、ルールさえ守れば誰でも使っていい掲示板を発見した。笹井賞の最終選考に残った時、雑誌に掲載された十首以外の四十首を、ネット上に無料で公開するのはなんかとても嫌で、それでどうしようかな、とずっと考えていた。そしてこのコロナがやってきて、インターネットに疲れて、人との直接的な繋がりで何かもっと自分の書いたものを読んでもらったりできたら、という思いはもっと強くなった。それこそ、公園でスケートを滑っている双子の女性を見かけた時なんかに、「うわもう話しかけて直接小説渡そうかな」とか思う。やりかねない。というか、手元に原稿のコピー持ってたら、やる。それでその掲示板に短歌を貼ろう、と思いながら家に帰って、『誰かの日記』の校正の続き。

五月四日
　猫の様子を見に行った。いなかった。しばらく近所をウロウロ。結構歩いて、見つけた。なんか昨日よりも元気そうで、やっぱりただ眠かっただけなのかな、と思った。呼吸音は相変わらず変だけど。しばらく彼と喋って、帰宅。『誰かの日記』の続き。

五月九日
　眠くなった時に三時間だけ寝て起きて、三時間だけ寝て起きて、みたいな生活リズムになっていて、それこそ猫みたいだった。それで今はお昼だった。iPhoneのメモ帳にある短歌ストックから十四個選んで、紙に印刷し、外に出た。高円寺のあの掲示板にそれを貼った。楽しかった。
　猫を探したけど見つからなかった。
　ネットフリックスでずっと『ドロヘドロ』のアニメを観ていて、最高におもしろい。
#検察庁法改正案に抗議します
　捕まれよこいつ。逮捕だろ。と、ずっと思う。ずっと。SNSで意見を言うことだけが意思の表明ではないのは確かだけど、ハッシュタグ一個のツイートもできない人が実際に反対したいことがあった時に、電車に乗って国会議事堂前で降りてデモに参加するとは到底思えない。まあ、する人もいるのかなぁ。じゃあSNSに書いても良くない？　それもデモとか署名と同じぐらい波及力あるものだと思うけど。イメージを守る、みたいなことかなのかな。国会議事堂前でファンに遭遇してそれツイートされるかもじゃない？　いや全然わかんないし偉そうにするつもりもないんだけど、なんか単純な疑問として。投票なんかはして当たり前なので僕の中では「行動」とかそんなレベルではないので論外です。俺レベルでも政治のツイートすると如実にフォロワー減ったりして、それは政治とか関係なく俺そのものの人間性に引いてるのかもしれませんが。理屈は全部にある。

五月十二日
　早起き。小雨が降ってる。

　この自粛期間におもしろかったもの。
１、せいじさんジュニアさんのインスタライブ
２、『伊集院光とらじおと』さまぁ〜ずゲスト回
３、サンドリずっと
４、『有吉ぃぃeeeee！』のリモートフォートナイト回
５、ざっくりメンバーのYouTube
６、ザコシさんが出た『スッキリ』
７、『ドロヘドロ』のアニメ
８、映画『さよなら、退屈なレオニー』
９、漫画『アンダーカレント』
10、伊集院さんのゲーム配信
11、ひとりさんゲストの旅猿