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THE 日記(10/31〜11/6)

十月三十一日
 朝の七時に起きる。新宿。テネット観ようかな、と思うけどやめる。昨日観たブレッソンの『バルダサールどこへ行く』が微妙すぎて、昔の俺だったら難解な映画に対しても難解であるというだけであれこれとそれっぽい理由を付けて妙に「これは良い映画だ」と言い聞かせていたけど、普通にわかんなくて退屈だわ、と思った。そしてやっぱり残念でもあった。時間を無駄にしたな、というような。それで日高屋で生姜焼き定食を食って、ブルーボトルで『灰色に輝ける贈り物』を読んだ。生活リズムが整って、頭がスッキリして、本が読めるようになった。良かった。そして『灰色に輝ける贈り物』は無茶苦茶良い小説。ユニオンに行ってボーイジーニアスのTシャツ付きCDと、『Music for Saxfone & Bass Guitar』のアナログを買って、帰宅。洗濯。ストファイ。良い調子でLP6000に戻す。カップラーメン食う。ザ・ボーイズの一話を観る。おもしろい。十八時ぐらいになっていて、眠気が凄いから寝た。起きて、部屋の掃除。綺麗になった。良かった。風呂。コンビニ。七千八百円のおつりなのに店員さんが七千円しか返してくれなくて、三回ぐらい「八百円もらってないです」と言う。少しキレられながら八百円もらう。なんで俺がキレられてんの。メシ食って、煙草。少し前からセブンスターからジタンに変えて、おいしい。

十一月一日
 朝十時に起きた。ザ・ボーイズを三話まで観る。おもろい。ストファイやって、家を出る。トロワシャンブルで『回復する人間』を読み終わる。最後の「火とかげ」が凄かった。外の空気を吸いたくて店を出る。『誰かの日記』の発送をするために新宿に行く。ralphくんのEPを聴きながら、頭ぶんぶん振り回しつつ小田急。
https://music.apple.com/jp/album/black-bandana-ep/1513155592
 新宿西口の郵便局で発送。下北に戻ってきて、働く。リズムが朝型に戻ったから、眠いな、と思いながらも。
 帰宅して即寝る。

十一月二日
 十時起床。乃木坂工事中を観る。中田さん卒業の回。賢すぎて自分の中にある進みたい流れも速度もアイドルのそれとは違いすぎて(先進的すぎて)、周りと同化するのにずっと苦労していた印象は変わらなかった。設楽さん日村さんだけがわかっていて、そこを言語化して成立させる方向に持っていくのを観て感動した。でもこんなのはファン(俺)の深読みでしかない。
 洗濯。ストファイ。米炊く。掃除機かける。小川洋子さんの『約束された移動』を読んで、働きに向かう。我を通せるだろうかと考える。バスに揺られながら。脚本も短歌も小説も書いてる。独自だ。でも全員が独自だ。独自がたくさんあるだけだ。ビビって既にある何かに寄せようと、型にハマりに行こうとせずに、このままで、流動体のままでおれるかなと考える。臆病野郎だから未来の俺がひよらないか心配になる。
 働く。とても忙しくて疲れる。帰宅してすぐ寝。

十一月三日
 十一時に起きる。卵焼き作って納豆と米。コーヒー淹れて、飲みながらストファイ。まぁまぁ勝つ。詐欺重ねを覚えた。発生が遅い無敵技を持つ、ファルケ、ユリアン、エド対策。小川洋子さんの『約束された移動』を読み終わる。最後の巨人の話が良かった。ことばと新人賞に出そうかな、と思って、考える。働きに行く。寒い。

十一月四日
 九時に起きる。ストファイ。LP6500。
 誰かの日記の発送のために郵便局まで歩く。青空。涼しい。空気が綺麗な感じ。家のすぐ近くに小学校があって、体育の授業をやっていた。赤白帽をかぶった子どもたちが笑いながら走っていた。チャイムが鳴る。あれ、じゃあチャイムが鳴ってからみんな教室に戻って着替えて次の授業の準備をするのか?俺もそうだったのか?十分しかないのに移動と着替え入れたら三分ぐらいしか余らなくないか?そんなもんだっけ?と思う。でもチャイムが鳴っているのにずっとみんな走ってる。ということは二時間連続体育のパターンのやつかな、と思う。三時間目と四時間目が体育の場合、俺はその間にある休み時間で何をしてたんだろう。思い出せない。恋人から連絡が返ってこない。もう長いこと。誰もいない郵便局で発送を済ませて、オリジン弁当でアジフライ弁当と根菜サラダを買って帰宅。食う。恵比寿ガーデンシネマでやってる『天井桟敷の人々』を久しぶりに観たい。
 働く。なんでだかやたら眠い日で、帰宅してすぐに寝る。

十一月五日
 十一時に起きる。眠い。風呂入って、ストファイ。やたら接戦ばっかりで、めちゃめちゃ疲れる。めくり小足やったあとに相手が投げ抜け入力してるなら、すぐに小足中パンに切り替えるという柔軟さが必要。画面端で垂直小足やる時もそう。
 バスに乗って下北。整骨院。めちゃくちゃ痛い。首と肩の境目らへんに卵一個分ぐらいの凝りがあって、そこを押されると全身の時間が止まる。何も言うことを聞かなくなる。ヨダレが垂れそうになるぐらい完全に止まる。「死」とほぼ同じ状態だなと思う。人の体ってただの一点を押すだけでこんなことになんのかよ。終わった頃にはめちゃめちゃ楽になった。晴れてる夕方の下北を歩いてトロワシャンブル。隣に座っている女の人がハイライトメンソールを吸っていた。北方謙三『三国志』を少し読んで、あんまり内容が入ってこないことに気付いて、眠いわけでもないのになんでだ?と思ったら、どうやら俺は音楽を聴いてコーヒーを飲みながらただぼーっとしたいらしい、ということに気付く。それに気付けたのは偉いと思う。素直だ。だからそうした。良かった。何か書きたいな〜と思う。こんだけ毎日色々書いてるのにまだ書きたいのかよ、と思う。書きたい。
 歯医者。銀歯装着。痛い。

十一月六日
 朝六時に起きて、味噌汁とごはん食って、ストファイ。誰かの日記を丁寧に包んで、家を出る。下北沢。日記屋「月日」さんに置いてもらった。トロワシャンブル。次に何を書くかをずっと待っていたら、高校生の話を書こうと思って、そうすることにした。隣に座った人がアメスピのあずき色のやつ吸ってた。しばらく高校生のやつを考えて、カフカの『審判』を読んだ。あんまり内容が入ってこない。出て、世田谷代田から電車に乗る。『三国志』を読む。おもろい。新宿西口のヨドバシに行ってゲーミングモニターを買った。デカくて重い。みんな見てくる。帰宅して、セッティング。三十二型の液晶テレビがいよいよ要らないな、となった。テレビ本当に観ない。NetflixとAmazonプライムもこのモニターで観るし。HDDレコーダーも。HDDレコーダーなんか本当に要らない。要る人います?この日記読んでる人で。ブルーレイとDVDの再生もできるし、俺が録画した『乃木坂工事中』とか『フリースタイルダンジョン』とか色んなテレビドラマが入ってます。要らねえよな。ゲーミングモニター画質がやばいぐらい良いし、反応もかなり違う。起き上がりの小パン暴れが通ったりコマ投げがちゃんと出たりする。
 歯医者。今。銀歯をまた何か色々やるらしい。昨日まとめてやってほしかったんだけど。二日に分けるようなもんなの?フジロックか?歯医者はフジロックではないだろ。フジロック三日だし。
 Kさんから電話がかかってきてたから、折り返す。今度二人で喫茶店に行こうよという誘い。Kさんは二人きりで話すのが好きだからいつもタイマンになる。意外とそういう人いないと思う。共通の友達がたくさんいるから、じゃああいつも誘おうよ、てなりがちだけどKさんは「いや二人きりがいい」と言う。多分俺以外にも言ってる。Kさんとは映画館でバイトしてた時に会って、一緒に働いたのは一年もないかもしれない。でもこうやって結構連絡をくれる。嬉しい。「Kさん」とアルファベット表記にしてるのは、彼が悪いことをやって金を稼いでいるからで、俺は東高円寺のホームに座って「なんとなくそうだろうなと思ってましたよ」と言って笑った。悪いことと言ってもKさんが誰かを傷つけて稼いでるわけではないことは、確かめてはいないけど、そういう人じゃないっていう信頼がある。そしてこの信頼が裏切られてもいい。裏切られたらその時はその時だ。自分の中にある善悪の基準と世の中に蔓延る基準とのズレもわかってる。折り合いをつけてる。上手くやってる。「楽しみっすわ〜」と言って電話を切った。

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