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「現代俳句」2021年7月号

 今の部署の人たちがとてもやさしいので、楽しく仕事ができている気がする今日この頃。ふと顔をあげると定時になっていて「マジか~~」と笑っていると、先輩や上司も「マジだよ~」と笑ってくれる。なんだか居場所ができたようでうれしい。大事にしたいし、ちゃんと「返したい」。そう思える毎日ってしあわせですよね。

 さて、近況報告はこの辺にして(毎月なんの報告なんだこれは)、今月の現代俳句です。ちょうど全国大会の投句用紙が封書でも届いて「送るから! 送るから焦るな!」と思いました。怒ってないです(?)

地区協会長インタビューシリーズ放映開始

 おお、ちゃんと紹介されているではないですか! よかった……勝手に心配してたから……それでも登録者数全然増えてない気がするけど、まあ、焦っちゃダメですね。これだからアイドルオタクは……数ばっかり気にするから(そうね)せっかくなのでふたつめも載せておきます。インタビュアーの緊張感が伝わってくるんですけど、それはリスペクトでもあるから、すごくいいなって個人的には思います。妙にこなれててもそれはそれで面白いと思うんで、これからの更新も楽しみです。 
 地区ごとに編集を担当されている方も違うと思うので、その辺も楽しみのひとつかと。会員の方はもちろん、非会員の方にもぜひ見ていただきたいです。(言うてる間に関西版が公開されてました。チャンネル登録お願いします!)(切実)


芸術派の諸君、萎縮するべからず  川名大

 なかなかパンチ力のあるタイトルだったので、心して読みました。結論から言うと「すごい熱量のある人だな」という感想です。はい。こればっかりは「わかった/わからなかった」という次元じゃないなぁ、と思って。というのも、そもそも「本格派」とか「芸術派」とか、正直ピンとこないのは、わたしが「遊芸派」だからなんでしょうか。
 俳句というひとつのジャンルの中にも無数のコミュニティがあって、どのコミュニティも他のコミュニティを否定したり、消滅させようなんてことはあっちゃだめだと思います。法を犯している場合を除いて、ですけど。そんなことあったら事件ですよね。だから、今はその話ではなくて、飽くまでも「考え方の違うコミュニティ(あるいは個人)は必ず存在する」という話です。
 もちろん、カテゴライズは必要な場合があると思います。「素人と一緒にするな」というプロのいる世界もあると思います。これは本当にわたし個人がそう思って、というか思い込んで活動しているだけですが、俳句の世界はとてもやさしくて、あたたかくて、どんな人でも受け入れてくれる世界だと思っています。だから、わたしのような遊芸派とカテゴライズされる人間であっても、いわゆる「職業俳人」の方と一緒に句会ができるんです。とても光栄ですし、ありがたい機会がたくさんある世界だな、と思います。
 とは言え、そんなに身近に感じているわけでもなく、遠くから「すごい人がたくさんいるんだなぁ」と思っているだけのわたしなので、今回の記事にはただただパッションを感じて「おお……」と思ったという話でした。
 これだけ文字数を使ってなんの中身もない話になってしまいました。すいません。雑感でした。

翌檜篇(31)
東海地区 現代俳句協会青年部 選

 翌檜篇をかかさず読むようになりました。青年部というざっくりした括りではありますが、仲間意識が芽生えてきます。いつか会えたらいいな、とか、ちょっと思います。気持ち悪いかな。あはは。でも、まあ、そんな気持ちになれるっていいなって、思います。わたしはこの感情、大事にしてます。


 午後二時に探す正午  斉藤秀雄

双生児互ひに背くコールラビ
 コールラビってなんだっけ、と調べてみたらさっぱり知らない野菜でした。食べたこともなく、なんならはじめて知りました。不思議な形で、カブっぽいみたいですね。そんなコールラビがふたつ。似ているけれどもべつのもの。背中合わせ(背中ってどこ)になっているような、そんな感じでしょうか。コールラビを双子みたいって「そりゃそうやがな!」と思わなくもないんですけど、「互ひに背く」というのがおもしろいな、と思いました。

水槽よろめく街を蝕む虎の黙
 どういう情景か、考えて、考えて、結局わかりませんでした。でも、一瞬シティーハンターみたいな、夜の風景というか、そういう雰囲気に「かっこいい!」と思ったので。斉藤さんの句はどれもかっこよさを感じるんですが、わたしの想像力というか読解力がまるで役に立たないので、情景まではわかりません。でも、わたしは「わからんけど好き」を積極的に採用するスタイルなので。虎の沈黙が街を蝕むってどういう状況なんでしょうね。ミステリアスだなぁ。なんか、あれだ、大沢在昌(新宿から離れろ)


はじまり  菊川和奏

淡々と進む講義や南風
 講義は淡々としているけれど、風は湿気を帯びている。例えば空の青さ、緑のまばゆさ、海開きなんかに「夏だなぁ」と思うのと、風がじっとり肌を撫でていくときの「夏だなぁ」と思うのとはちょっと違う。ネガティブな感情を抱きつつ(きっと講義もつまらないんでしょうね。わかるわかる)、でも季節はしっかり感じられる。穏やかな暮らしの風景を感じます。

ジーンズの裾ほつれたるあやめかな
 ジーンズの裾がほつれてるって、長かったのかな、丈が。たまにあるんですよね、ちょっと長くて裾を地面で擦っちゃって、みたいな。「ほつれたる」から「あやめ」に続く感じ、なんだか不思議。あやめはほつれてないと思うけど。青から青へ。あやめを見つけてほつれに気づく、というほうが視線の高さは自然かなぁ、と思うのですが、どうでしょうね。素敵な青の連鎖です。


だましだまし  平山哲行

ああ天よ役立つ黴にしてください
 役立つ黴。食べられる黴? ブルーチーズの。「どうせなら」という気持ちと「ああ天よ」の懇願ぶりとのミスマッチがおもしろいです。あ、麹も黴か。ペニシリンにも黴か。「役立つ黴」の幅広さに、希望を感じますね。すごい発想だなぁ、と思いました。

大鶴のくちばし向いた方が冬
 動物と方角って「犬が西向きゃ尾は東」を思い出すんですけど、「くちばし向いた方が冬」っていう、鶴が冬を決めるっていうね。鶴に委ねる潔さがいいですね。子どもに訊かれたときに言いたいですね。「冬は大鶴のくちばしが向いた方だよ」って。あかんか(あかんよ)冬を運んでくるわけじゃないんだなぁ、っていう新鮮な感覚があって好きですね。尻尾から春が来るんですかねぇ。ふふふ。すてき。


アボカド  𠮷沢美香

紫陽花や紙を重ねるやうに雨
 紫陽花のがくがいくつもある様子と、雨がとめどなく振り続ける様子。「紙を重ねるやうに」は「や」で切れていますが、どちらにも掛かっている気がします。掛かっていても不自然じゃない、と言ったほうがいいかな。規則正しく重なっているというよりは、不揃いなものがバラバラと重なっている感じを想像します。最近はゲリラ豪雨が増えましたが、梅雨のしっとりとした雰囲気のある句だと思います。

開けるたび落ちるアボカド冷蔵庫
 野菜室に入れたらええんちゃう? とクスリと笑ってしまいました。お茶を飲もうと、プリンを食べようと、扉を開けると、ごろんと落ちてくる。買ったのかもらったのかわかりませんが、なんとなく普段はないんだろうな、と思います。扱いに困って冷蔵庫に入れてはみたものの、ごろん。アボカドとの距離感が絶妙だな、と思いました。

 と、言うわけで7月号も無事に書くことができました。句の感想を書くとき、いつも感覚でぶわーっと書いていたので、ちょっと立ち止まって言葉を選んでみました。ぶわーっと書いているときとなにが違うねん、と思うかもしれませんが、少しずつ鑑賞と言えるものに近づけられたらいいな、と思います。日々精進。
 夏はありがたいことに休みが増えるので、読んでいない句集に着手したいきたいです。もちろん、現代俳句8月号も!笑
 それではまた次回!

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