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関西現代俳句協会会報 No.52
届いたものをちゃんと読む。今年一年の目標。ちなみに、関現俳の会報は総ページ数8ページ。ファイリングできるように二つ穴が開いています。他の地域はどんな感じなんでしょう。ちょっと気になりますね。
そういえば、関西人はみんな日常会話が漫才だ、みたいなイメージを持たれがちですが、あれはボケとツッコミがどっちもいないと成り立たないので、ボケが渋滞することのほうが比較的多い気がします。言うて、わたしはツッコミなんですけどね(なんの話?)
久保純夫の作句工房 その①
な、なんか勉強になりそうなコーナーがはじまってる~~~! 最初に「俳句大会に投句を」という久保さん(関西現代俳句協会 会長)のご挨拶があって、成績が発表されていますよ、とか、精読すれば作句をする上で力がつくのではないでしょうか、と書いてくださっています。絶賛、拝読中でございます。精読と言えるほどではないので、まだ「読んでいる」に留めたいと思います。めざせ、精読。先は長い。
さて、作句工房です。なんだか楽しそうな企画ですね。ちなみに、久保さんは、
A 経験の積み重ね―換言すれば「記憶」―を核・根幹にして作句する。
B 方法としては、「もの」「こと」にまつわる記憶をさまざまな状況・情景に展開する。
と綴っておられます。そこから作品を引用して紹介してくださっているのですが……よぉわから~~~~ん!(大の字)
いや、待って(むくり)。正確には「わかる(理解できる)けど、わからん(落とし込めない)」です。もうちょっと考えましょう。うん、「それはそう」だと思います。今まで見たことがあることや、聴いたことがあること。知っているもの、食べたことがあるもの、などなど。そこから「どのシーンで」「なんの場面で」にしていくわけですよね。ああ、うん、わかってきた。書きながら理解するあたりがわたしが過ぎるというもの。すいませんね、書きながらじゃないと思考がまとまらないんです(紙に書いてまとめろって話よ、えぬさん)
久保さんは最後にこんな言葉で締めくくっております。
俳句の素材はどこにでも在ります。僕の台所俳句です。
そういえば、台所俳句って言葉、俳句をはじめた頃に聞いたきりです。なんせわたしは台所に立たないので、台所俳句が作れないわけですね。物理的な意味で。ただ、最近は「おうち時間」なんて言葉も当たり前に使われているので、台所に限らず、日常のふとした瞬間、日常使っている言葉を使うことで「台所俳句」ができるのかもしれませんね。
久保さんの作句工房、次回はどんな内容なんでしょうか。楽しみが増えました。まだ読んでいない方はぜひ。引用されていた句から好きなものとひとつ。
正統を志したる握り飯 久保純夫/句集『四照花亭日乗』
いびつでもおいしいのに、なんでおにぎりを作るとき、きれいな形を目指してしまうのか。これの謎はコナンくんでも解けません。ムキになってきれいなおにぎりを作りたがる感じを「志」と言うところ、大袈裟だけど愛がある言葉で好きです。
第八回関西現代俳句大会 入選句
全部じっくり読みました。どれもわたしには到底作れない句ばかりですが、その中でも自分からかけ離れた視点や、物を対象とした句の感想を書いてみたいと思います。いまだに自分の句が並んでいることに実感が湧きませんが、そういう部分も自分にあるんだな、と思えました。出してよかったです。来年も出します(チョロチョロのチョロ)
大会賞
のどけしや試験管にて待つ卵子 西田唯士
ひんやりと冷たい試験管で、じっと待っている卵子。一見、残酷なだけの現実のようにも思えるけれど、「のどけし(長閑/のどか)」という季語が、卵子にある可能性を思い起こさせます。
秀逸賞
新酒酌む村の行く末には触れず 有松洋子
どうなったんだ~~~~村~~~~~! と思わず机に頭突きをかましてしまいました。こういう句って、すごく物語があって気になりますよね。「新酒」という季語も、「村の行く末」という終わりに対して相反するような、誘うような、という雰囲気がね。いやぁ、ミステリアス。
秀逸賞
何をするつもりだったか蜜柑剥く 蔵田ひろし
……ある。めっちゃある。あるけど、何度か読んでいると、「何をするつもりだったか」と言うのは、自分なのか、誰かのことだったのか、どっちともとれそうな口調。おもしろいです。
入選句
星ひとつ踏絵の島は孤舟めく 村田あお衣
踏絵の島、というのは黒島のことでしょうかね。ぽつんと浮かぶ一艘の舟、「孤舟」。歴史を感じさせる言葉に「星ひとつ」の冴え冴えした雰囲気がぴったりです。
入選句
着ぶくれて私をいれる箱がない 山城馨子
着ぶくれる句(言い方)は、着ぶくれているのに軽妙なおもしろさがありますよね。「私をいれる箱」ってなんでしょうね。「私」はお人形さんなのか、人なのか。「箱がない」と言い切る強さに、切実さを感じます。
選者特選句賞もありますが、まだ読むところがありますので先に進みます。記念に、わたしの句もしれっと載せておきます。てへ。
蜘蛛の糸白し面会謝絶の夜 池田奈加
関西現代俳句協会事業報告
「コロナ禍で中止」の文字が並んでいて、これだけで2020年だとわかるのが切ないですね。所属している青年部での活動は、運営に携わる身ではありますが、わたし自身が積極的になれる年ではなかったのでお役に立てた感じもなく。反省の一年となりました。
わたしはともかく、関西現代俳句協会青年部ホームページに「招待作品」を掲載していますし、連載エッセイも趣向を凝らしていて面白いと思うので、ぜひこちらもご覧ください! わたしは編集に携わっていませんが、力作揃いですので!(急に宣伝)
関西現代俳句協会青年部ホームページ
決算報告書って、今までそれほどじっくり見ることもなかったんですが、最近縁があってお金にまつわる数字ばかり見ているので、なんとなく「こんな感じなのかぁ」と眺めておりました。活動が制限されていて、イベントらしいイベントができない状況なのがもどかしいですね。
事業計画案も掲載されていたので、こちらも読みました。「吟行の実施」の項、今年は開催できますように。
新会員の一句
新会員のみなさまの句が掲載されていました。無所属の方もいますが、結社に所属されている方が半数を超えていますね。ほほう。
自分が会員になった頃の句って、今見たら「なんだこりゃ!」なんだろうな……忘れとこ(コラ)
星になるもうしばらくはほたるいか 佐々木裕嗣/無所属
「もうしばらくは」なんですね。星になるってことは……って野暮か。ふふっ。素朴なロマン。
人生は時間(とき)が固めた雪だるま 丸山初美/海原
ど、どういうこと~~~~~! 徐々に溶けていく運命なんでしょうか……意味深。すごく気になる。どういうことなんやろ。わたしの想像力というか読解力が足りんばっかりに。ぐぬぬ。
先生の水着眩しき五時間目 檜田陽子/人丸
五時間目と言えば、お昼ごはんのあとの体育ですね。ちょっと眠くなる時間。先生の水着が眩しくてハッとしちゃうの、かわいいですね。先生は、男性でも女性でも当てはまりますよね。いつもと違う姿というだけで、ドキッとするもんな。
秋祭あをあをと空やってくる 兵頭洸亮/無所属
夏の祭と違って、秋祭は伝統的な儀式の意味合いが強いですよね。五穀豊穣を願って、空に祈るわけです。「やってくる」という表現が、祈りが届いたような清々しさがあって好きです。
編集後記
久保さんの「久保純夫の作句工房」について、
(前略)初心者だけでなく、私のような怠け者の俳人にも参考になる内容ですので次回もお楽しみに。
と、西谷さん。わたしもだいぶと怠け者なので、大変勉強になっております。次回も楽しみにしております。それにしても、この西谷さんの編集後記、西谷さんのお人柄が伺えてとても好きです。もっとちゃんと読んでおけばよかったと反省しました。次回からは、編集後記から読もうかと思います。そんな楽しみ方があっても、多分、いいはず。
俳句を通してどこかでつながっておきたい、と思って入った現代俳句協会ですが、こうして「関西」という地区単位になったときに、コミュニティの色を感じる気がします。それがまた、自分にとっていい刺激でもあるなぁ、としみじみ感じる会報でした。作句工房、楽しみです!(あと編集後記!)
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