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『現代俳句』2024年6月号

 2021年の6月11日は梅雨入りだったそうです。今年は(特に関西圏は)来週あたりになるとのこと。随分遅い梅雨入りということで、今年「も」暑くなるようです。温暖化が進んでいるのだから、暑くなる一方じゃないのかしら、と思いますが。
 6月号は兜太現代俳句新人賞が掲載されていますが、そのページは後日ゆっくり読むとしてひとまずいつものコーナーを読んでいきます。

列島春秋

十薬を摘めり湖北の雨上がり  岡村知昭/滋賀

 雨上がりに雲間から日が差し込み、湖も十薬のしずくもキラキラと眩しいですね。静かながらも「摘めり」という動きがあり、穏やかな生活を感じさせます。
 「摘めり」「雨上がり」と「り」の音が繰り返されるのも、雨が上がったことを喜ぶ軽やかな心の表れのようで好きでした。

「翌檜篇」(62) 青年部編

梅雨鯰  岡田美幸

梅雨茸に名前付けてた昼休み
 じめじめした空気と湿った土の匂いが立ち込める中、梅雨茸の存在を明るく受け止めています。「茸」「付けてた」の音が心地よく、つい音読したくなりますね。
 昼休みという限られた時間に、ほっと一笑いできる余裕とユーモアがうらやましいです。

ビリヤニ  村山温子

我は食むファラオも食べた無花果を
 ファラオとは古代エジプト王の称号。古代エジプト王たちも無花果を食べていたのでしょうか。無花果が歴史を見てきたような不思議な気持ちになります。
 「我は食む」という作中主体はファラオではなさそうだけれど、ファラオに匹敵する力強さがあってかっこいい。

月長石  中村亜希子

夕涼や仕掛け絵本のひらく音
 「や」で切れているものの、これは夕暮れ時の光景だと思われます。仕掛け絵本を開くときのわくわく感も同時に思い起こされてくるようです。
 紙の重なり、パラパラとばらける音……仕掛け絵本は風が吹いたくらいでは開かないでしょう。絵本を読む声が聞こえてくるようなやさしい風景です。

赤い惑星  林ひとみ

女性兵まじるチューリップの点呼
 「チューリップ」に女性兵がまじっていると読むか「女性兵まじる」で切って読むか悩みあした。わたしはチューリップに女性兵がまじっているとしました。点呼とあるので、整然としている様子が兵とチューリップを繋いでいます。兵士という緊迫感のある存在とチューリップの可憐さの取り合わせがどこか切ない。

 早いもので2024年ももう半分が過ぎようとしています。あっという間ですね。わたしはこのnoteで何回「あっという間」と言っているでしょうか。お馴染みの方には「また言ってるな」と思われていそうですが、その通りです。
 これからゆっくり兜太現代俳句新人賞を読もうと思います。その感想はまたべつの機会に。『風を詠む』に自作句が掲載されていたので載せておきます。
 それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました。

息継ぎの仕方教わる夏はじめ  相田えぬ


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