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「現代俳句」2022年4月号

 明日5月なんですって。いや、マジかよ。誰も信じなくてもそうなんですよ、だって今日は4月30日。
 ……遅いわ! 4月号の感想どんだけ時間掛かってんねん!
 というセルフツッコミと共に今月分を今月中に書いてしまおうと思います。いやあ、こういうのって本当に勢いが大事。勢いで生きてるから失速したらだめなんですよ(ずっと低速じゃんかよって話は置いとく)

翌檜篇(40) 関西青年部 編

中城 唯稀

風船や神戸は坂の多きまち
 神戸にある大丸百貨店に行くと、出入り口の表記が「海側/山側」になっていて、神戸は往々にして「海/山」という言葉で位置関係を表現することがあるんですよね。神戸に坂が多いのは、言わずもがなこの立地にあって。風船がふわりと空へ飛んでいくのを眺めながら、ふと「坂だらけだな」なんて思う。「まち」がひらがなで書かれているところに不思議な気配を感じる句でした。

ドラマーの振り上げし手や八月来
 根拠のないことを言うと、夏フェスの最後の一曲! ヴォーカルのタイトルコールと共に歓声が上がった刹那、ドラマーが手を振り上げて静寂が生まれる……なんて、どこにもフェス要素ないし、最後の曲を表す言葉もないんですけどね。このドラマーは楽しそうに叩くひとなんじゃないかと思います。好きなドラマーの顔を思い出しました。

とこうわらび

逆光にはさまっている梅花かな
 逆光って一方的なものじゃないのかしら、と思って首を傾げたんですけど、おもしろいなあと思いました。光に挟まるっていいな、と思って。桜じゃなくて梅なのもいいですね。まだ肌寒くて厚手の上着を着ているような頃に、眩しい逆光がきらきらしていて好きでした。

着ぶくれの列ちぎってはセルフレジ
 「こちらのセルフレジ空いておりまーす! どうぞご利用くださーい!」という声を聞いたことがあります。コートやらなにやらで着ぶくれた人たちがレジで列をなしている。「ちぎっては」なので、誰かが列からちぎってるんでしょうね。わたしは進んでセルフレジに行くタイプですが、まだまだとっつきにくい人もいると思います。日常のコミカルな風景。

夜行

うららかや人工衛星に翼
 人工衛星には羽のような板のようなものがついています。わたしはその辺にまったく明るくないので「確かにあるなあ」くらいにしか思いませんでしたが、「翼」というのは空を飛ぶためのものです。飛行機だったり、鳥だったり。軌道というある種のレールと自由の象徴として語られがちなものとのやや皮肉な取り合わせも、「うららか」な春の感傷なのかもしれません。

歌はまづ唇に触れ水の春
 歌うとき、歌は最初に唇に触れているという表現に「確かに」とハッとしました。歌っている人の温度が音に乗っていく。「水の春」という眩い季語が、句全体を甘やかな雰囲気で包んでいて好きでした。

 最近のおすすめでラーメン、山芋、アニメ「平家物語」というラインナップがおもしろかったです。好きなものを語るときってどれだけ冷静になろうと思っても、テンションが上がるものですよね。4月号という春の陽気にぴったりな内容でほっこりしました。

 というわけで、「結局翌檜篇だけやないかい!」というツッコミが飛んできそうですが、まあそうです。いつもそうなので気にしないでください(開き直った)
 そろそろ5月号ですね。ちょっと興味深い記事があるのを小耳にはさんだので次回はその記事の感想も書けたらと思います。届くのはGW明けかなぁ、と思いつつ、今日はこの辺で。
 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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