見出し画像

「現代俳句」2021年11月号

 「この歳になると一年が早くて」と年上の人に言われるたびに「いや、わたしは体感“秒”でしたよ、今年」と思う今日この頃です。早く感じるのは年齢差というより圧倒的に個人差な気がします。今年、早かった人のほうが多いんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
 来年こそは「現代俳句の風」コーナーに投稿しようかと思ったんですが、とっくに来年分の投句がはじまっていたことに気づいたのでやめました(ばくしょう)来年も変わらずマイペースに、好きなときに好きなようにしか作らないでしょう。これは予言です(宣言の間違い)
 そんなわけで今月です。


直線曲線 俳句と出会う「場」の創造/瀬戸優理子

 瀬戸さんは記事の中で、自分の場を持つことで得た発見を書かれています。とてもじゃないですが、わたしには自分の場なんて持てません。そもそも、わたしは「場」が苦手なので、基本的には「お邪魔する」スタンスです。だからこそ、緊張感も学ぶ姿勢も保てているので。
 これはわたしのスタンスで、逆を言えば「誰かが場を設けていない限り動けない」ということでもあります。大体の人が、誰かの場に参加することになると思うので、瀬戸さんのようにきっかけになる場を作るという姿勢は本当に頭が下がりますし、こういう方がいらっしゃるからこそ、わたしを含めのんびりマイペースに楽しめるんだなぁ、と思います。

協会や結社・同人誌、カルチャーセンターや通信講座といった「場」はたくさんあるのだが、「そこは求めているのとはちょっと違う」というこぼれ落ちたニーズが存在する。

 と、瀬戸さんは語っておられます。これはカジュアルに入門したい人がいる、という話に繋がっているのですが、「こぼれ落ちたニーズ」という点では、わたしは多分、そこにいます。ただ、わたしみたいに「場」にいない人間でも俳句はできるし、「場」に赴かなくとも俳句を楽しめるまでは「場」に赴く、という選択肢もあると思います。
 ちょっと話がまとまりませんが、俳句をはじめたいと思う人が気軽にはじめられる、俳句に触れられる世界になっていっているのは間違いなさそうです。カジュアル万歳。いろんな入口があって、すてきな時代です。

俳句とITの近未来(1)/IT部 堀田季何

「Filmuy」は以前、話に出ていて聞いたことがあったのですが、字面ははじめてだったので改めて調べました。以下から飛べます。

 「妻恋坂書房」では句集や評論の本などを取り扱っているとのこと。これは知らなかったので、早速検索!

 大好きな岡田由季さんの「犬の眉」を発見! 回し者でもなんでもないですが、この句集ほんとに素敵で大好きです。今でもなにげなく手に取ってパラパラ捲ってはにこにこしています。わたしにとって、癒しの一冊になっています。

従来面倒だった年会費の支払いも、クレジットカードか一部大手銀行の口座があれば、協会ホームページからオンラインで行える。

 これね! これめっちゃうれしかったです。画期的だな、と思いました。言うても郵便振り込み大好きマンなので、まあ昼休み+時間休でランチがてら振り込みに行くんですけど、家にいても支払えるっていうのは便利ですよね。小さなことですけど、こういうことから便利になっていくと入口が広がるというか、つまずきが解消されていいなって思います。担当さんの努力の賜物ですね。ありがたやありがたや。

次回は、近未来に待っている快適な俳句生活を少し描いてみたい。

 とのことなので、どんな未来かわくわくしながら待ちたいと思います。このコーナー、いろんな方がITとのかかわり方を書いてくださっているので、とても興味深くておもしろいです。わたしはSNSに住んでいますが、画期的なあれこれには無頓着なので大変助かります。

「翌檜篇」(35)東海地区 現代俳句協会青年部

 毎月のお楽しみこと翌檜篇です。

ゆふるり  北口直敬

妖精のごと花びらは手のひらに
 語順にロマンがありますね。手のひらに舞い落ちた花びらが妖精に思える、という感性も素敵ですが、本当に妖精のように舞い降りてきたのかもしれません。そんなささやかなうつくしさ、きらめきが好きです。つい拾いたくなることって、ありますよね。

エイプリルフール眩しき水しぶき
 「眩しき/水しぶき」の韻はもちろんですが、「エイプリル」からずっと、くるくる~っと輪を描くような音がいいなぁと思いました。音がいいと口ずさみたくなるし、口ずさむと呪文みたいで楽しくなるんですよね。明るい光溢れる日の句にぴったりな音ですね。


あれこれ  朱夏

毛の処理の甘き翌日小春の日
 わかる~~~そういうときに限って、という。タイツかストッキングかって結構違うじゃないですか。タイツでもデニールの違いで印象が変わるから、今日はあたたかいし薄めのを、と思ったらすね毛がね。わかるわぁ……「処理の甘き」というのがいいですよね。処理が下手だったわけじゃないんですよ。油断なんですよねぇ……わかる(わかる)

就活のヒール五センチ寒夕焼
 わたしは就職活動をしたことがないのでアレですが、マナーと称した謎のルールがたくさんイメージです。もちろん、守ったほうがいいルールもあるんでしょうけど。ただ、そんな謎のひとつが「五センチ」なのかもしれません。いろんな理不尽と戦っているのかな。冬のパンプス、寒いね。


雨後の気  若林哲哉

軒に蛸乾かす秋の扇風機
 蛸が軒に吊るされている光景。本当ならしまうはずの扇風機が、蛸を乾かすために首を振って稼働しているんですね。実際の用途とは異なる使い方、というところも時期外れであることもユーモラスで面白いですね。説得力も感じるので、実際にあるのかもしれません。ありそうだなぁ。

鼻歌にうらごゑ混じる野菊かな
 どんだけ高い音出すんだ、この人。「白日」でも歌ってたんかな。思わず笑ってしまうようなおだやかでかわいらしい光景です。野菊が愛らしく揺れているのが想像できて素敵だなぁと思いました。


今日のこと  向井由衣子

夏めくやストローに濃き紅のあと
 夏になるとアイスティーやアイスコーヒーと、冷たいものを飲みがちですよね。だからこそ、口紅がついてしまう、というね。べったりついちゃって、あーあってなるんですよね。化粧直ししなきゃな、って。この句はそんな「あーあ」より「あら、ついちゃったわ」くらいの軽やかさがあっていいですね。夏になりましたねぇ。

初仕事口紅だけをひいてゆく
 こちらも口紅の句です。わたしは口紅はつけないタイプなので、普段化粧っ気がないと言われます。聞くところによると、口紅をひくことで化粧をしている感が増すみたいですね。だから「口紅だけをひいてゆく」のは正解かもしれません。でも、まだ休みから抜け出せない感じもあって、ゆるくていいな。

 翌檜篇のために読んでいると言っても過言ではない会誌。今月も楽しく読ませていただきました。毎度ながらちょっとしたラブレターだと思ってもらえたらさいわいです。

裏表紙 みんなで俳句を楽しもう!

 入会申込書が綴じ込んであって、会員特典がずらりと書かれております。年会費がぐっと安くなって、常々財布がさみしいわたしとしてはありがたい限りです(全部言う!)
 入会には一応推薦者が必要なので、もし、「入りたいけど推薦者がいないな」という方がいらっしゃったらお声かけください。わたしの名前くらい安いもんです。使ってください。

 わたしが現代俳句協会に入ったきっかけは、関西現代俳句協会青年部の部長を務める久留島さんからのお誘いでした。俳句を続ける以前に、当時のわたしは健康維持すらままならず、と言ったところで、俳句だけはなんとか続けられんもんかな、と思っていました。そんな話をしたわけではなかったので、ただの偶然の一致なのですが「現俳協に入って手伝ってもらえるとうれしい」くらいのニュアンスだったので「あ、じゃあお世話になってるし入ります」というノリで入ったら、こうなりました!(どれだよ)
 それから青年部の句会の運営に携わったり、句会で司会をさせていただいたりしながら、今日に至ります。会誌を読もうと思ったのも、コロナ禍でなにもしていないことに気づいたものの、句集をたくさん買い占めるわけにもいかず(そんな財力はない)、かと言ってネットというのも気乗りせず(そんな気概もない)、ふと思い出したのが会誌だったというだけのことなのですが。問答無用に届くので、じゃあこれを読もう、まずこれだ、と思った次第です。
 おかげさまで現俳協でのイベントや勉強会を通して、いろんな方にお会いすることができました。それこそ今ではITを使ったコンテンツも増えていますし、地区を超えた交流も現俳協という大きなコミュニティの中では可能なので、ゆっくりまったりやるもよし、はりきって参加するもよし、という自由度の高さは、コミュニティが苦手なわたしでも続けていける部分だな、と思っています。

 関係ない話になっちゃいましたが、普段わたしは「俳句やろうよ」と言うタイプではないし、どちらかと言えば「俳句読まない?」なので、最後に「定期購読」のお知らせだけしておきますね!(するんだ~~)

https://gendaihaiku.gr.jp/about/member/

「6.『現代俳句』を定期購読したいのですが?」のところをご確認いただきますと、わたしが今年一年読んでいた会誌の定期購読案内があります。「作るのはちょっとなぁ」という方はぜひ。1冊からの購入も可!(ここで自分が掲載されている号のお知らせができればなおよしなのになにもない! 残念!)

 はい、そんな感じで半分くらい関係ない話になってしまいました。今月、いろいろ立て込んでて「えーん💦」って感じだったんですが、なんとか落ち着いて会誌を読むことができてよかったです。翌檜篇、やっぱり励みになっていいな。大好きです。
 それじゃあまた来月。あ、次回で今年の目標達成です。次回もゆるっとお付き合いいただければと思います。ありがとうございました。

よろしければサポートお願いします! サポート代は句集購入費として使わせていただきます!