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「現代俳句」2022年12月号

 さて、いよいよ大晦日です。年の瀬になると、大抵「いつかのミス」が発覚したり、「やっておけばよかった」という後悔がチラついたりと、なかなか気分が上がらない時期でもあるのですが。それはそれとして楽しいこともたくさんあったし、うれしいこともあったよなぁ、わたし結構がんばったよなぁ、なにより倒れて休むことがなかったなぁ、とひたすら自己暗示を掛けまくる今日この頃です。
 卑屈of卑屈な部分を、来年は少しだけ薄くできたらいいな、と思います。そんな「誰が興味あんねん(CV.ヤナギブソン)」な雑談はこの辺にして、今年最後の会誌を読んでいきます。


翌檜篇(44)

 関西青年部編です。略歴でわかる年齢より、所属情報に「へー!」となる今日この頃です。現俳に入ってるだけの人って、逆に珍しいのかな。珍しいなら珍しい人でもありだな、なんっちゃって。

自薦5句  日向美菜

裸木の虚に羽音のあふれけり
 裸になった樹木は一見すると寂しい風景ですが、「羽音のあふれけり」といういきものの呼吸を感じられるところがあたたかくてすてきだな、と思いました。羽音の正体はきっとまだちいさいのだと思いますが、それでも冬の寒さを懸命に生きているところが好きです。

輪となれる白鳥風を生み出せり
 白鳥が輪になっている光景はきらきらしていて晴れやかです。確かに風を生み出せそう。ちょうど風が吹いただけだったかもしれないけれど、それが白鳥の仕業だと思えるおおらかさが眩い景色を昇華していて好きでした。


浜脇不如帰『ぷらずま・はいきっく』
――真剣勝負のハイキック
岡村知昭

 関現俳青年部の句会でお会いする浜脇さんの句集です。こういうときに見知った方の話だと、いつも以上に興味深いものがありますね。身近ってやつです。

 脳内に詰め込まれたあらゆる情報と知識を、独自の回路を通じて五七五に落とし込んでいくのが、浜脇不如帰氏の俳句である。

『現代俳句』2022年12月号 p.45

 こんなふうに「こういうのがこの人の俳句です」と言ってもらえるのっていいなぁ、と思ったので、いつか誰かに言ってもらおうと思います(好きにしぃ!?)
 それはそうと岡村さんはすごく的確に表現されているなぁ、と思います。
浜脇さんの頭の中は多分、浜脇さん自身でもわからない部分があって、その部分で俳句ができているんだろうと思います。しかもその情報量が多岐にわたるので、わたしはしょっちゅう「なんだろう、この言葉は」とGoogle検索しています。それくらい幅広い世界から言葉をかき集めていらっしゃるんだろう、と受け取っています。
 引用されている句の中から特にインパクトの強い句を。

低酸素社会激励勇魚鍋  浜脇不如帰

 それって激励なん……!? という不穏さが「激励」からビシバシ溢れているのがおもしろいです。


大島雄作句集『明日』  姫子松一樹

 浜脇さんの句集での岡村さんの評とは異なり、姫子松さんは一句鑑賞形式です。前作と比べて「少し挑戦的な句集」と評して、5句引用されています。

竹皮を脱ぐスタートは横一線  大島雄作

 姫子松さんは「同世代俳人の活躍を見るたびにぐぬぬとなるが、精進が足りないだけだと戒められたような気持ちになる。」と書いています。確かに、ついつい周りと比べてしまって悔しい気持ちになってしまうこともありますが、竹だってなんだって成長速度はそれぞれですからね。なんだか気の引き締まる一句です。


 今年も1年、毎月会誌を読むということをしてみました。好きな記事を読むばかりではありましたが、自分の関心ポイントがわかったような気がします。来年も好きなように会誌を読んでいけたらなぁ、と思います。
 今年もお付き合いいただきありがとうございました。
 来年も引き続きよろしくお願いいたします。

相田えぬ 拝

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