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「現代俳句」2021年10月号

 気づけば今年もあと三か月です。早いもので、今年の課題としてはじめた「現代俳句を毎月読んで感想を書く」も、あと三回となりました。最初は「とにかくパラパラめくるところから」という勉強嫌いの学生が受験でやむなく参考書を読むときのモチベーションだったのですが、今では届けばすぐに出し、パラパラと記事を確認し、ひとまず巻頭から句を読み始める、というところまで進歩しました。
 とは言え、現代俳句の風のページは相変わらず圧がすごいので、偶然目に留まったものがあれば、という気持ちで捲っています。すいません。鑑賞と言うにはほど遠い感想文ではありますが、地道に一年書き切れたらと思います。というわけで、今月です。

薄墨桜

花すみれみんなやさしい人ばかり  棚橋麗未
 しみじみと共感する句だなぁ、と思いました。すみれ色というように、すみれにしかないうつくしい色があります。「みんなやさしい人ばかり」だと思いたいのか、本当にそう思えたのか。わたしは俳句をはじめて7年目ですが、俳句を通して「みんなやさしい人ばかり」だとしみじみ感じます。

列島春秋

手抜きせぬ父の生き方吾亦紅  高尾田鶴子/三重
したたかは母の遺伝子吾亦紅  松家京子/徳島

 はじめに「手抜きせぬ父」を見て、ページをめくって「したたかは母」ときたもんで、思わずページを戻りました。吾亦紅って家族を思い起こさせるものなんでしょうか。声に出して読んだら、聞いていた母が「したたかは、のほうが好き」とリアクションをくれたので少しうれしくなりました。わたしの句じゃなくても、こういう会話ができるとうれしいです。
 それはそうと、調べたところ一説では「われもこうありたい」と名付けられたという吾亦紅。なるほど、だから家族か。そう考えると実直そのもの、という感じがしますね。手抜きをしない父もしたたかな母もどちらもすてきなご家族です。歳を重ねると、不意に「ああ、この人の子どもなんだな」と思うことがあります。そういう気持ちを吾亦紅が受け止めてくれる。季語っておもしろいなぁ(小並感)

特別作品「言葉/田中朋子」より

退屈がのさばっている夏座敷
のっけからドリルの答え見て残暑
星見えぬ七夕誰も愛せない

 田中さんの句を読んで「こんな小気味よい句が作りたいと思ってたなぁ」と思いました。無造作な素直さ、という不思議な感覚が好きでした。自暴自棄とも取れるし、諦めもあるような言葉選びではあるけれど、どこかそれだけではない感情を含んでいるような気がしました。どの句も魅力的で引き込まれました。

翌檜篇(34)中山奈々 自薦5句より


 な、奈々さんだ~~~~! と開いて声を出してしまいました。文フリでつい最近お会いしたので、「この間はありがとうございました!」という気持ち。いや、直接言えよという。Twitterいつも見てます!(だから直接言えって)ここまで言っててべつの奈々さんだったらどうしよう(べつの奈々さんってなに)

店の灯はひとつ鶏頭花を咲かせ

 鶏頭花の句が5句。わたしは鶏頭花を見たことが(おそらく)ないので、Googleの写真で確認しました。とさかでした(察してはいた!)
 店の灯りがぽつんとある景色。秋風も吹いていることでしょう。住宅街の中のお店でしょうか。ビルや道路沿いというわけではなさそう。鶏頭花は店先にあるものかもしれません。店の灯りに「あ、」と足を止める。こういう生活をしたい(知らんがな)
ミイラ寄りのゾンビ鶏頭を持つて
 ミイラは死体。ゾンビは動く死体。大雑把にそう認識しているわたしとしては、「ミイラ寄りのゾンビ」は、ほぼ死んでいる(というか元々死んでる)けれどやや生きている(いや死んでんだけど)という状態なのかな、と。どんな状況!? と思いましたが、そういう映画もあるし、うん。だから、結構乾燥しているんでしょうね、体もね。あいつほぼミイラだなぁ、みたいな。もしかしたら自分のことを言っているのかも。鶏頭だけが色鮮やかに感じるところに惹かれました。

「翌檜篇」作品を読む

 藤田俊さんの感銘の一句に、わたしの句が取り上げられていて「わわわ~~~!(オタク特融の第一声)」となりました。路上生活者……なるほど、確かに。確かにね!?(思ってなかったやろ~~~!)
 こうして自分の句を鑑賞していただくと、「あ、そんなふうに読めるんだぁ」と発見があっていいですね。句会でそのリアクションすると、なにも考えてないのバレちゃうんですけどね。
(ここを読んでくださっている方はお気づきでしょうけれども、あの記事はわたしが使いまわしたわけではなくてですね、使っていいか訊かれたので「お好きなところをどうぞ」と答えたらああなっただけなので、多分、他の方とのバランスを見て抜粋されたのだと思います。感銘の一句であることには間違いないですし、わたしの言葉にも違いないんですが、藤田さんと横井さんがものすごくきっちり書いていらっしゃるもんで、なんかこう、急にフランクというか、ふわっとしてますね。まあ、緩衝材だと思ってもらったら。笑)

第3回 ITを使った俳句生活のすすめ
青年部 川嶋ぱんだ

「朝活句会」をされているぱんださん。朝、頭が冴えている(気がする)のは確かにそうだな、と思います。おっと、ORコードも載っていますね。親切。
 モチベーションっていろいろあるなぁ、と思います。わたしは自分がいかに楽しく続けるか、ということしか考えていないので、コミュニティも選びますし、作るペースもまちまち、俳句の話をしたりしなかったり、と「つかず離れず」のスタンスですが、がっつりやりたい! 切磋琢磨したい! という人はたくさんいると思います。
 そうしたコミュニティも、このIRORIのようにあちこちに存在しているわけで。こうやって「やってるよ!」とアピールすることも、これからの時代には必要だな、と思いました。知られるって、大事。

 というわけで、10月号でした。ゆるっとまったり感想を書いていますが、これもあと2回か……先月、ゆるふわを封印してきちんとした文章を心がけてみたものの、やっぱりきちんとした文章というのは下ごしらえが必要で、こうやってゆるふわな文章は、雑談のようにするすると書けるので、どっちがいいとか悪いとかって話じゃないんですけど、圧倒的に楽だね、自分の言葉でしゃべるほうが!(そりゃそう!)
 まあ、わたしがきちんとした文章を必要とされるときが来るかはわかりませんが、来たるときにはちゃんと書けるようにはなっていたいなぁ、と思います。どうなん、ぶっちゃけ。こんなんで大丈夫ならこういうので生きていきたいよ、わたしは(あかんやろ)

 近況報告もままならないところですが(べつにいらんか)、元気に過ごしております! 世の中の、というより職場での理不尽にいちいち「おかしくないっすかぁ!?」と声をあげてしまうので、上司の苦笑いが尽きません。もうちょっと大人になりたい。でも、理不尽を甘受したくない。そんなお年頃のわたしです。
 最後まで気ままなお話にお付き合いいただきありがとうございました。では、また来月。

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