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【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について

【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について(本文4,006文字)
 
内閣府消費者庁は、令和6年8月30日に「機能性表示食品の届出について」として、食品関連事業者向けに「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」を公表しました。公表された内容はかなり多岐に渡りますので、詳細は<一次情報>からご確認ください。ここではマニュアルの概要をご案内します。
 
 
<改正について>
令和6年8月23日付けの食品表示基準の一部改正については、紅麹関連製品に係る事案を受け、制度の信頼性を高めることを趣旨としていることを踏まえ、速やかに改正後の規定に基づく対応を関係事業者に求めるものです。
規定の改正は、消費者の安全を確保し、適切な情報提供を行うためのものです。届出者は、これらの基準を遵守し、消費者庁長官に報告する義務があるとしています。
 

<機能性表示食品届出の流れ>

出典:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/foods_with_function_claims_200414_0001.pdf



<機能性表示食品の届出等に関するマニュアル>
前書きから;

本マニュアルについては、令和6年9月1日の食品表示基準の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第71号)等の施行に伴い食品関連事業者が改正内容を踏まえた届出時の諸手続を網羅的に参照できるよう、新たに制定したものである。なお、令和7年4月1日に予定している届出に関する告示の施行等に併せて、本マニュアルの内容をそれまでに見直す予定である。


Ⅰ 趣旨
このマニュアルは、食品関連事業者が機能性表示食品の届出を行う際に必要な手続きや資料作成の指針を提供することを目的としています。
 
Ⅱ 対象食品
機能性表示食品とは、特定の機能性を表示することができる食品であり、科学的根拠に基づいてその機能性が確認されているものを指します。
 
Ⅲ 対象事業者
このマニュアルの対象となる事業者は、機能性表示食品を製造、加工、販売するすべての食品関連事業者です。
 
Ⅳ 資料作成に当たっての考え方
(Ⅰ)総論
第1 機能性表示食品とは
機能性表示食品は、科学的根拠に基づいて特定の機能性を表示する食品です。消費者に対してその機能性を明確に伝えるため、適切なエビデンスが必要です。具体的には、機能性表示食品は、特定の成分が健康に与える効果を科学的に証明し、その情報を消費者に提供することを目的としています。
第2 可能な機能性表示の範囲
表示可能な機能性は、消費者の健康維持や増進に寄与するものであり、具体的な効果や効能を示す必要があります。例えば、「血圧を下げる」「腸内環境を整える」「疲労回復を助ける」などの表示が可能です。これらの表示は、科学的なデータに基づいている必要があります。
第3 著作権法上の留意事項
機能性表示に関する資料作成時には、他者の著作物を無断で使用しないよう注意が必要です。引用する場合は、適切な引用方法を守ることが求められます。具体的には、引用元を明示し、引用部分が全体の一部であることを示す必要があります。
 
(Ⅱ)安全性に係る事項
第1 食経験の評価方法
食経験の評価は、対象食品の歴史的使用実績や消費量、消費期間を調査し、安全性を確認します。例えば、伝統的な食品や地域特有の食材について、その使用歴や消費量を評価します。また、既存の文献や消費者からの報告を基に、健康リスクの有無を判断します。これにより、対象食品の全体的な安全性を総合的に評価します。
第2 安全性試験に関する評価方法
安全性試験は、動物実験やヒト試験を通じて行われ、その結果を基に安全性を評価します。例えば、急性毒性試験、亜急性毒性試験、慢性毒性試験、発がん性試験、遺伝毒性試験などが含まれます。これらの試験は、食品の摂取が健康に及ぼす影響を評価するために行われます。
第3 届出をしようとする機能性関与成分と既存情報で使用された機能性関与成分の同等性の考え方
新規成分と既存成分の同等性を評価するためには、成分の化学的特性や生理的効果を比較します。例えば、成分の分子構造、純度、安定性、生物活性などを比較し、同等性を確認します。
第4 機能性関与成分等の相互作用に関する評価
複数の機能性関与成分が相互に影響を及ぼす可能性があるため、その相互作用を評価することが重要です。例えば、成分同士が相乗効果を持つか、逆に効果を減少させるかを調査します。これには、成分の組み合わせによる生理的効果の変化を評価する試験が含まれます。
第5 提出資料
届出に必要な資料には、安全性試験の結果や成分の同等性評価のデータが含まれます。具体的には、試験報告書、分析データ、成分の特性に関する資料などが求められます。
 
(Ⅲ)生産・製造及び品質管理に係る事項
第1 生産・製造及び品質管理の体制
生産・製造過程における品質管理体制を整備し、一定の品質を維持することが求められます。例えば、GMP(Good Manufacturing Practice)に基づく管理が必要です。これには、製造設備の管理、従業員の教育訓練、製造工程の監視と記録などが含まれます。
第2 食品の分析
機能性表示食品の成分分析は、正確かつ信頼性の高い方法で行う必要があります。例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やGC(ガスクロマトグラフィー)などの分析手法が用いられます。これにより、成分の含有量や純度を確認します。
第3 食品の保存
食品の保存条件は、品質を維持するために適切に設定されるべきです。例えば、温度や湿度の管理が重要です。冷蔵保存や冷凍保存が必要な場合もあります。
第4 文書、記録の保管
生産・製造に関する文書や記録は、一定期間保管し、必要に応じて提出できるようにしておきます。例えば、製造記録、品質検査記録、出荷記録などが含まれます。これにより、トレーサビリティを確保します。
 
(Ⅳ)健康被害の情報収集に係る事項
第1 健康被害の情報収集体制
健康被害情報を迅速に収集し、対応するための体制を整備します。例えば、消費者からの苦情や報告を受け付ける窓口を設置し、収集した情報を分析して対応策を講じます。
第2 届出後における健康被害情報の提供
届出後も継続的に健康被害情報を収集し、必要に応じて消費者や関係機関に提供します。例えば、定期的な報告書の提出が求められます。また、重大な健康被害が発生した場合には、速やかに関係機関に報告することが義務付けられています。
 
(Ⅴ)機能性に係る事項
第1 表示しようとする機能性の科学的根拠を説明するものとして必要な資料
機能性の科学的根拠を示すためには、臨床試験や研究レビューの結果が必要です。例えば、ランダム化比較試験(RCT)の結果や、システマティックレビューの結果が含まれます。これにより、機能性表示の信頼性を確保します。
第2 最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)の実施及び資料の届出
最終製品を用いた臨床試験は、ヒトを対象に行い、その結果を資料として提出します。例えば、試験デザイン、被験者の選定基準、試験結果の詳細などが求められます。これにより、最終製品の効果を科学的に証明します。
第3 最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビューの実施及び資料の届出
既存の研究をレビューし、その結果を基に機能性を評価します。例えば、システマティックレビューやメタアナリシスの結果が含まれます。これにより、既存のエビデンスを総合的に評価します。
 
(Ⅵ)表示及び情報開示の在り方に係る事項
第1 容器包装への表示
容器包装には、機能性表示や成分情報を明確に記載します。例えば、成分名やその含有量、機能性の説明が必要です。また、消費者が誤解しないよう、適切な表示方法を採用します。
第2 容器包装への表示以外の情報開示
ウェブサイトやパンフレットなど、容器包装以外の媒体でも情報を開示します。例えば、詳細な成分情報や使用方法の説明が含まれます。これにより、消費者が十分な情報を得られるようにします。
 
(Ⅶ)届出の在り方に係る事項
第1 届出者の基本情報の届出
届出者は、事業者名、所在地、連絡先などの基本情報を正確に記載し、提出する必要があります。これにより、届出者の身元を明確にし、連絡を取るための情報を提供します。
第2 機能性表示食品の届出
機能性表示食品の届出には、以下の資料が必要です。
①届出書: 機能性表示食品の基本情報を記載した書類。
②科学的根拠資料: 機能性を裏付ける科学的なデータや研究結果。
③安全性資料: 食品の安全性を証明するための試験結果や評価データ。
④製造・品質管理資料: 製造過程や品質管理の体制を示す資料。
⑤表示内容資料: 容器包装や広告に使用する表示内容の詳細。
 
(Ⅷ)遵守事項
法令遵守
機能性表示食品の届出に関するすべての法令やガイドラインを遵守することが求められます。これには、食品表示法や消費者庁の指針が含まれます。
定期的な自己点検: 届出後も定期的に自己点検を行い、法令遵守状況を確認します。必要に応じて改善措置を講じることが求められます。
監査対応
消費者庁やその他の関係機関からの監査に対応し、必要な資料や情報を提供します。
 
 
<注意事項>
①届出を行うに当たっては以下の動作環境を満たした機器を用いてください。また、ブラウザの設定を動作条件に合わせる必要があります。(詳しくは届出マニュアルを御確認ください。)
【Windowsの場合】
OS:Windows8.1、Windows10
ブラウザ:Microsoft Internet Explorer、Microsoft Edge(Chromium版)、Google Chrome
【Macの場合】
OS:MacOS10.15、MacOS11
ブラウザ:Safari
②機能性表示食品の届出にはユーザIDの取得が必要です。以下のリンク先から基本情報の届出を行ってください。
■食品関連事業者に関する基本情報届出(新規)
 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/ccsc01/kinoseiToroku
③機能性表示食品の新規届出・変更届・撤回届・販売状況更新は、以下のリンク先から行ってください。
■機能性表示食品の新規届出・変更届・撤回届・販売状況更新
 https://www.fld.caa.go.jp/certification/login_ini.do?login=KINOU
④新規届出等を行う場合、下記様式を用いて届出に必要な情報を事前に準備した上で、届出を行ってください。
■届出様式
※様式は7種類ありますので、下記から適切なものをご使用ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice#:~:text=%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82-,%E5%B1%8A%E5%87%BA%E6%A7%98%E5%BC%8F,-%E3%80%90%E5%B1%8A%E5%87%BA%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%85%A5%E5%8A%9B
 
 
【重要】
上記内容は内閣府消費者庁の概要です。詳細については、<一次情報>をご確認のうえ、必要な対応をご検討ください。
 
 
 
<一次情報>
【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice
 
<各個別資料>
「機能性表示食品の届出等に関するマニュアル」の制定について(令和6年8月30日消食第775号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_01.pdf
機能性表示食品の届出等に関するマニュアル(令和6年8月30日制定)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_02.pdf

また、マニュアルはファイル容量が多いため分割版も併せて公開されています。
表紙、目次
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_03.pdf
趣旨、対象食品、対象事業者
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_04.pdf
総論
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_05.pdf
安全性に係る事項(別紙様式2関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_06.pdf
生産・製造及び品質管理に係る事項(別紙様式3関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_07.pdf
健康被害の情報収集に係る事項(別紙様式4関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_08.pdf
機能性に係る事項(別紙様式5関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_09.pdf
表示及び情報開示の在り方に係る事項(別紙様式6関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_10.pdf
届出の在り方に係る事項(別紙様式7関連)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_11.pdf
(別紙)機能性関与成分の考え方(例)、エキス等の考え方について、軽症者が含まれたデータの取り扱いについて、ランダム化比較試験を報告する際に含まれるべき情報のCONSORT2010チェックリスト、システマティックレビュー(systematic review:SR)の実施手順に係る考え方(例)、PRISMA声明チェックリスト(2020年)、PRISMA声明抄録チェックリスト(2020年)、GENERAL PRINCIPLES OF FOOD HYGIENE(CXC 1-1969)SECTION2:PRIMARY PRODUCTIONの日本語訳
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/foods_with_function_claims_230929_0010.pdf
用語集
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_12.pdf
その他資料
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_13.pdf
「機能性表示食品に関する質疑応答集」の一部改正について(令和6年8月30日消食表第776号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_14.pdf
機能性表示食品に関する質疑応答集(令和6年8月30日一部改正)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_15.pdf
機能性表示食品に関する質疑応答集(新旧対照表)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_240902_16.pdf
 
<関連情報>

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