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新規事業の立ち上げを1年半やってみて分かった、3つの大事なこと~組織編~

こんにちは。Fintertech ストラテジーグループの大島(@takuji0807)です。

半年前ぐらいに下記の記事を書いたのですが、いつの間にか「新規事業 立ち上げ」でググると検索のトップに出るようになっているらしく、まぁまぁ反響もあったので続編的なものを書こうと思います。
※「続編もいいけどやっぱり無印が一番だよね」と言われないよう頑張ります。
※ちなみに「新規事業 大変」とググってもトップに出てきます笑

序文

お決まりというか何と言うか、あれから半年経っても思うことは変わりません。

新規事業の立ち上げって大変じゃないですか?

nuggetはあれからいくつか実案件をこなしていて徐々に事業としてのフェーズも変わりつつあるのですが、相変わらずタスクの幅は広くて量も多く、むしろ違うことを考える必要が出てくるので総合格闘技感は全く抜けません。この大変さについて、前回は個人としての重要なポイントに着眼点を置いた内容だったのですが、今回は組織的なところについて語っていきたいと思います。

注:本記事は所謂「大企業の新規事業」について扱う内容ですので、ベンチャーやスタートアップにおける新規事業とは少し性質が違うかもしれません

注:大企業の新規事業にも「崖っぷちからの起死回生を狙って」「本業が稼いでるうちに新しい事業を仕込んでおく」など様々ありますが、本記事は後者のスタンスにおける新規事業として読んでいただければと思います

正論を取捨選択する

これは個人的な理解なんですが、新規事業と既存事業は目的が異なると思っています。最終的な目的として営利企業である以上『稼ぐ』ことが重要なんですが、その『稼ぐ』に至る道筋やフェーズが異なると言いましょうか。

まず、多くの既存事業は既に勝ちパターンがあって、固く勝つことが求められます。負けは基本無し。勝ちを計算できることが重要です。

しかし新規事業はそういうものではなく、新しい勝ち方や戦略を出来るだけ多く試す場のようなイメージです。もちろん勝つに越したことは無いですし、プレーヤーも勝つ気満々で戦っていますが、次のメイン事業になり得るものの探索、構築が主目的になります。

なので既存事業と全く同じ戦い方をしては意味がなくて、きちんと新規事業の目的を達成し得る戦い方をしなければいけません。

ここで大事なのは、戦い方に合った正論を選んでいるかという点です。これはけんすう氏のこちらのブログでなるほどと思った内容なのですが、「個別では正論だけど、すべての正論を成り立たせることは不可能。そこで、どの正論を捨てどの正論を選び結ぶのかが重要」ということです。

「実験の場」「チャレンジの場」「売上目標の達成は絶対」「リスク管理の徹底」「ミスをゼロにする」「規律順守を徹底」etc...。これらは全部個別に語られると「そうですね」となるし反論はないのですが、複数を合わせると途端に難易度が上がります。例えば「ミスがゼロのチャレンジの場」と聞いて皆さまどう思うでしょうか?「それはチャレンジとは言えないのでは?」となるかと思います。

つまり、組織としてどの正論を選ぶかということはとても大事で、既存事業と新規事業では選ぶ正論が違うよね、ということです。(選ぶ正論が少なければ少ないほどシンプルゆえに組織のアジリティは上がるのですが、その話はまたどこかで…)

選んだ正論を共有し、実行しやすい環境を作る

そしてこの「選ぶ正論が違う(どの正論を選んだ事業・組織なのか)」ということを組織として理解してそれを実行できる環境があるということは非常に重要です。

まずどの正論を選んだのかが組織内に浸透していることで、各個人の動き方に差が出てきます。自分の目の前のタスクは何のためのタスクか、重要とすべきタスクがどれなのか、どのタスクを捨てるのか、都度人に聞かずとも自分で判断し行動に移すことを可能にします。これはタスクの量が膨大な新規事業においてとても重要な指針となります。

また、特に大企業の新規事業おいては「異動」で人が集められることが多いです。例えばベンチャーやスタートアップであれば自ら望んでジョインするという流れが普通と思いますが、異動の場合は「希望して異動する」とは限りません。

つまりは「選んだ正論」に初めから同意する人たちばかりではないと言うことです。その組織や事業がどの正論を選び何を大事にしているのかということを共有し、浸透させることの重要性が「大企業の新規事業の部署/組織」においては特に大きいと考えます。

次に環境面についてですが、「選ばなかった正論を叫ぶ人」が出てくると途端にスピードは下がります。「何故選ばなかったのか」をイチから説明せざるを得ないからです(しかもどれも「正論」なので説得する難易度はめちゃ高いです)。

例えば新規事業については「とりあえずやってみる」「スピード!スピード!」など、「検討は最小限にとどめて、とりあえず市場に出してみる」系の正論を重視すべき場合が多いです。一方既存事業は固く勝つことが求められるので「巨大な収益源を失わないためにリスクは限りなくゼロに近付ける」といった守りの側面を強く求められることが多いです。

上記の通りではありますがこれらの正論の共存は極めて難しいため、「それはそれ、これはこれ」と分けて考える必要があります。ということで、そういった声の干渉を受けにくい『出島戦略』が有効になるわけです。極力既存事業の考え方や戦い方に影響を受けず自分たちの選んだ正論で戦える場所というのは、新規事業をスピーディーに一体感を持って進めるうえで非常に重要な環境と思います。

既存事業のアセットを活かすための調整

新規事業なりの正論を選び、共有し、出島で戦うことの有効性について語ってきましたが、ここまでは基礎でありスタート地点だったりします。そして単純に出島で小さくやっていては折角の「既存事業のアセット」がMOTTAINAI。大企業なりのメリットはやはり活かしたいものです。

ということで、美味しい所をしっかりと頂くべく「泥臭く」「地道に」共通点と落としどころを探っていきましょう。我々が選ばなかった正論を再び選ぶ、先方が疑問に思ったことは懇切丁寧に論理的に説明する、まずはスモールスタートと言うことでリスクの小ささを改めて説明する、etc…調整する先が多くじれったいときもありますが、そこは粘りの一手で根気強く対応していくことが一番の近道です。

対応しきった暁には、資金力や既存顧客網、営業リソースなど、普通のベンチャーやスタートアップが喉から手が出るほど欲しがる「大企業のアセット」を手に入れることが出来ます
※この辺の細かいところは先日ローンチした「デジタルアセット担保ローン」が本当に泥臭くやっていたので、そのうち書いてくれると思っています

まとめ

今回は新規事業を推進するための組織として、重要に思うことをつらつらと書いてみました。前回の記事で書いた通り、新規事業において事業を担当する責任者の熱量は不可欠です。同時にその熱を効率よく伝播させ、結果につなげるためのシステム=組織も重要と感じています。両方が成り立って初めて、新規事業は世に出ていくのです。(だからこそこの世の新規事業はどれも尊いのです…)

そんな経緯を辿ってローンチしたのが「デジタルアセット担保ローン」であり、クラウド型投げ銭サービス「nugget」でございますので、興味のある方は是非下記からお問い合わせください!お問合せお待ちしております!(ダイレクトマーケティング)