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法務業務改革に向けたリーガルテックの活用

9月8日にLegal Force Conference2020が開催されました。私の周りの参加者の間で、一番評判が良かったのが、太陽誘電株式会社の法務責任者である佐々木毅尚さんの「法務業務改革へ向けたリーガルテックの活用」と題したsessionでした。

伝統的な法務から、あるべき法務へ、非常にロジカルかつ実践的なお話でした。概略は以下のとおり。

・伝統的な法務の考え方は、契約審査は職人芸、法務スタッフは法律の専門家、能力は品質で判定、時間とコストはかかって当たり前。

・法務部長になり、業務の中身を分析してみたところ、定形契約(均一な業務、標準化、生産性追求可能)が全体の80%、非定型契約(個別対応、創意工夫が必要、品質追求が必要)が全体の20%であることがわかった。それまで、定量的評価が難しいと思っていたが、一定程度可能だと思った。

・これを踏まえ、法務部門の業務改革として、支援システムの導入し、データ取得と管理(モニタリング)することによって、ルーティンワークの効率化を図ることとした。支援システムは、自社システム、Agree、Hubble、Legal Forceなど。導入にあたっては、トライアル(一部)でスタートし、1年はデータをとって検証するのがお勧め。

・業務改革の結果、平均契約審査期間が短縮された。(5日処理62%が3年で86%となった)

・業務改革をおこなってわかったことは、
 ・支援システムとデータによる管理が重要、そのための予算確保
 ・メンバーの意識改革(品質だけでなく、生産性とのバランスが大事)
 ・データで課題を語る(処理件数、納期)
 など。

・なお、マネジメントの視点としては、①業務基盤(法務組織体制、業務フロー、支援システム、マニュアル化)をしっかり作りながら、②品質(専門性、顧客満足)と③生産性(処理件数)のバランスを図っている。

・品質の確保に関しては、圧倒的に人材が重要であり、弁護士等ハイスペック人材の採用と育成を方針としている。
以上

その他、法務部門にとって、e-mailは便利なようで、便利じゃない、という言葉が印象的でした。大量に送られてくるし、昔送られてきたメールを時間をかけて探すといったことは、みなさんも経験があるのではないでしょうか。

業務効率は、まずは数字をとって分析することが効率化の出発点ですので、伝統的な法務部門にとっては、事業部とのやりとりをシステム化することが第一歩といったところでしょうか。その際は、全てのやりとりをシステム化するのは難しいというところで止まらないで、できるものからシステム化するという発想が大切そうですね。





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