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事業再構築補助金の手引き 〜新分野展開"類型"の深掘り編〜

こんにちは、予算管理に特化した税理士&コンサルタントのT.Hiroです。

ついに事業再構築補助金の手引き が発表されましたね!前回記事で、「事業再構築補助金の手引き」に関する情報をお伝えしましたが、続報として、新分野展開の深掘りをお届けします。


公募要領は来週以降の公表になるかと思いますが、最新の情報をお届けしたいと思います!


(その他前回記事もご参照ください)


1.5類型のうち"新分野展開"がイメージつきやすい訳


今回、事業再構築補助金の対象となる事業を定義するために、新たに"事業再構指針"という新しい用語がでてきました。

その中で、

「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。

と5つが定義され、そのうちのどれかに該当するものが、事業再構築にあたるとされています。

その中で、「新分野展開」がもっともイメージがつきやすいものとなっているかと思います。


新分野展開の要件は前回記事でご紹介したとおり、

 ①製品等の新規性要件

 ②市場の新規性要件

 ③売上高10%要件(総売上高に対する再構築事業の売上高割合)

の3つを満たす必要がありますが、その中身を具体的に"事業再構築補助金の手引き"のパワーポイントでは触れてくれています。

しかも、パワーポイントでは新分野展開について割かれているページが8ページと最長であることから、

事務局側も"新分野展開"が実態として最も申請数が多くなる類型と考えているのではないでしょうか?


実際に事業計画を立て、申請書を作成し、実行していく経営者の立場からすると、一番わかりやすく、かつ取り組む上での気持ち的なハードルも高くはないものですよね。

では、"事業再構築補助金の手引き"のパワーポイントの中でどのような具体例に触れられているでしょうか?


2."新分野展開" 製造業の場合


事業再構築補助金の手引きにおいて、製造業における新分野展開の事例は下記の通り示されております。

【具体例】

航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手し、5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定している場合


航空機用部品を製造していた企業が、昨今の状況で事業環境が悪化し、新たな分野に進出したいという事例ですね。

非常にありがちなケースに思われますよね。

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航空機部品には、精密な製造技術や研磨技術、厳しい検査要件などを満たす必要があることから、

技術力には定評があるということが窺えます。

その技術力を生かし、医療機器向けの分野に進出する計画が本事例です。

そして、5年後の売上高が、総売上高に対して10%以上を占めるような計画を策定する必要があるわけです。

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この具体例では直接言及されていませんが、”設備導入”も要件の一つになります。

つまり、医療機器向けの製造に乗り出す上で、既存の設備では対応しきれない部分があることから、新設備を導入し、その設備を活用して製造するというストーリーが必要になるわけです。

また、医療機器向けの製品は、過去に製造した実績がないことも要件となってくるので注意が必要になります!


3.市場の新規性要件について


市場の新規性要件では、下記2点が求められています。

 ①既存製品等と新製品等の代替性が低いこと

 ②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること


この2点、具体例(航空機部品→医療機器向け部品)に当てはめてみると・・・

 ①既存製品等と新製品等の代替性が低いこと

医療機器部品と航空機用部品では、その用途が全く異なり、医療機器部
品を新たに製造・販売することによって、航空機用部品の需要が代替され、
売上が減少することは見込まれない
と考えられることを説明することで、要件を満たす。

 ②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること

例えば、医療機器部品と航空機用部品では、サプライチェーンが異なり、
新たな販売先に販売することとなる
ことを示すことが考えられる。


ここで、「全く用途が異なる」「需要が代替されることで売上が減少することは見込まれない」といった点がキーワードに挙げられます。

つまり、既存分野とは、需要家の分野も違い、既存の需要と食い合いになることもなく、新規事業による既存事業の売上減少が見込まれないという点が必要となります。


また、サプライチェーンが異なることにより、新たな販売先に販売する必要がある点も、要件として挙げられております。


このように、新分野展開と製造業は、親和性が高いと考えられるため、製造業で事業再構築補助金の活用をお考えの事業者の方は、新分野展開を軸に考えていくのも一つの手ではないでしょうか?



最後までお読みいただきありがとうございました!

次回は、事業再構築補助金の手引きの中で、「事業転換」について情報をまとめていきたいと思います。


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