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【小学校準備】小学校入学前におさえておきたい デンマーク流 親の心構えに必要な2つの視点とは?

デンマークにはペタゴウがいる

Sue:今、私は息子が今年小学生、ということもあり、小学校準備にとても関心があります。千葉さんの視点から、デンマークにおいてこの時期に大切にしていることってなんですか?

Chiba: デンマークでは働く世代の約8割に上って、殆どが共稼ぎ世帯です。ですから、子どもを保育施設に託す時間が必然的に長くなります。

預かった子どもたちを社会性と個性や生活を大切に世話をする専門家
デンマークでは「ペタゴウ」と呼びますが、
教師と一緒になり、小学校進学に向けて、
心身ともにゆったりと準備期間を過ごし、
挑戦する気持ちを育むこと、を
まずは一番に大切にしている
と思っています。

Sue:確かに大切な我が子ですから、
初めての学校生活へのスタートを専門家が
フォローしてくれると思うと安堵感がありますね。
私自身、5、6歳の頃の記憶があるのですが、この時期「小学校怖い・・・」と不安だったなぁと覚えています。

Chiba:デンマークでは、2009年から0学年生が教育の義務に入りましたので、読み書きそろばんを意図的に教えるようになってきました。
その他に時間の概念、季節の概念、社会情勢(付近の交通状況)、社会ルール、社会性(個人の責任、義務、友情)、などをおしえています。

Sue:内容としては、日本の幼稚園や保育園もとても似ています。
年長さんになるとできることがとても増えますから、見ていてたくましさすら感じたりします。

子どもの気持ちをゆっくり聞かせてもらう余裕は?

Sue:ただ、3月31日が終わって4月1日からいきなり小学生!と気持ちがくるっと変化するわけでなく・・・
そんな時に、気持ちをゆっくり話を聴いてあげる時間が仕事などで限定されるのは、どこか親としても罪悪感というか、後ろめたさを感じたりします。

Chiba:その気持ち、Sueだけでなく、他の方もきっとあるでしょうね。
大人にも心を整える時間が必要なのですよ。
その後ろめたさの元は、どこにあると思いますか?

Sue: 子どもを育てながら、やっぱりフルタイムで仕事することに、いまだどこか引目が無意識にあるのでしょうかね・・・

子どもが少し不安定になったり、気になることがあると、話を聞いてあげたいと思い、仕事していることが難しいなぁ、と感じる時があります。余裕があれば違うんでしょうけど、私いつもドタバタで💦

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Sue;すこし余談になりますが、
『三つ子の魂百まで』という言葉が私はどこかでひっかかっているように思います。
私にも社会的責任もあり、仕事もあり、自分なりの考えがあるので、普段はあまり思いもしませんが、こういう時になると頭をよぎりますね。仕事してていいのか?って。


Chiba:仕事をすることが後ろめたさを運んでくるのですか。
日本では、昔から子どものしつけ・幼児教育などに精通していた方がそういった論を展開されたのでしょうかね。
この『三つ子の魂百まで』という言葉が世に出るまでにはそれなりに沢山の実例が証明されていたからでしょうし。

Sue:デンマークにも同じような言葉や考え方があるのですか?

Chiba:デンマークでは人格形成の約85%は6歳ころまでになされると言っていますから、日本の三つ子魂の方がすご~いですね!

Sue:(笑)生まれた言葉の背景にはきっと様々なドラマがあるのでしょうね。

Chiba:そうですね、ことわざとは、多くの人の経験から生み出されていると思います。

三つ子の魂百まで論(というかはわかりませんが)は、
世間では、
「あの子は子どもの時、親がああしたから、こうなった」
「ああしなかったから、こうなった」
という数々のうわさ?の結果から出た言葉なのでは、と私は思いますよ。

Sue:ひとつのケーススタディということですね。人の未来のことは予測できないからこそ、過去のケースを分析して、よりよい勝ちパターンを導き出すという・・・リスクヘッジ。
すごい戦略的。

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長期的視点でこのスタートをとらえよう

Chiba:そうです。だからこそ、日本では小学校準備も用意周到に考えられるのです。きっと、たくさんの情報から、小学校ではこれが必要だ、あれができた方がいい、親はこういう準備をしておこう、というシミュレーションは皆さん得意だと思います。

だからこそ、もっと長期的視点で幼児教育を眺めることだってできるはずです。

先ずは、最近の小学校準備で良く聞く、
「子どもの準備=読み書きそろばん、プログラミング・挨拶・ルール」に焦る前に、
まずは親の心構えが大切だと思います。

そもそも、日本の宝である子供たちを、どのように初めての環境に暖かく送り出すか、受け入れる側は迎い入れるかを、そのスタートがより良くあるように、私たちは考える必要があると思いますよ。

Sue:マインドセットを親側もする、ということですね。
先ほど、長期的視点、とおっしゃいましたが、どのように長期的視点をもつとよいのですか?

デンマーク流 親の心構えに必要な2つの視点

Chiba:それには2つの視点が必要です。

まず1つめの視点として、それは、
「子ども=未来に向かい長い人生を歩み始めた一人の人間」として、ながめる視点です。

人生は長いのですよ。
そのスタートを楽しめるようにするにはどうすればよいか、と考えることができます。

2つめの視点として、デンマーク流に言えば、
「国の資源として子どもの存在(意見・考え含)を尊重する心構え」
が大切であると思います。

将来、この国を支えていく子どもたちです。

心身ともに健やかである方がいい国づくりに力を発揮してくれること、間違いないのです。

ですから、彼ら・彼女たちの主張にきちんと耳を傾けることが大切です。

もちろん、自分の可愛いお子さんには間違いありません。心配になるのもわかりますが、客観的に、このような見方を持てるといいと思います。

Sue:なるほど。彼・彼女がこの社会で新しく人生をスタートするときは暖かく楽しいものにしてあげたい、と思う親はきっと多いと思います!

Chiba: そうですよね。そして、親御さんにとっても暖かみを感じる社会であることが大切です。安心して自分も生活ができるのですから。

Sue:私の祖母が「子どもはいずれ社会にお返しするもの。今は私に預けてもらっているの」とよく言っていたのを思い出しました。
言葉は違えど、ニュアンスは似ているのかもしれないです。

ところで、小学校準備、というお話から始まりましたが、長くなってきたので、今日はこの辺で。

Chiba:次回は、この小学校準備にも大活躍する幼児教育におけるペタゴウの役割について、お話ししましょう。

〈次回へ続く〉

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