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世界一幸せな国フィンランドの幸せじゃない部分

日本ではフィンランドは世界一幸せな国、男女平等、SISUのマインド、定時で終わる働き方、という風に崇められています。これはこちらにきても日本と比較するとその通りだなと思います。もちろん日本が参考にできる、社会制度を変えたり、生活を豊かにするためのヒントはたくさんあります。

ただ、日本の友人と話をしていて、こんなに日本で崇められているけどフィンランドもどこか問題があるよね、と聞かれました。
そんな完璧でないことを聞いて安心をしたい。もしくは留学をする前に知っておいて心の準備をしたい事実。今回はそんな光の裏にある影を私の視点になりますが、紹介できればと思います。

■気候と精神の不安定
一年の約半年は日照時間が6時間以下、さらに曇り、雨の日が多く、暗い雰囲気です。その反面4月から夏にかけては日が長く、夏は15時間ほど日が上っています。そのような気候のせいもあり、精神疾患がある人や精神科に通っている人は多くいます。日本との精神科の捉え方が異なるからか、友達も「この前精神科に行ってきたよ」「え、どこの??そこの先生いい?」と平気で会話に出てきます。やはり私の周りでもどこ出身であっても冬の時期は春になった今と比べて、多少なりとも心が不安定になっているように思います。

フィンランドは離婚率がとても高く(統計によっては日本の約2倍弱)、家庭によりますが、子どもが離婚した両親の元を週替わりで行き来することは、割と自然な光景です。母親や父親の異なる兄弟たちと一緒に住むことも珍しくないです。再婚している友人も同様で、子どもがいない週に私たちを家に呼んでくれたり、夫婦だけの時間を過ごしたりしています。そういった家庭環境が変わることで精神を病んでしまう子供もいるそうです。

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■ジェンダー平等の意味
男女平等になっていくのはとても良いことです。ただ、精神が自立していないときついこともあります。女性だからと特別扱いされることもないので、同じように働き、女性だからという甘えがききません。フィンランド人と結婚した日本人数人が言っているのが、奥さんが家庭に入るという考えは旦那さんにはほぼない、ということです。また恋愛においても男性がリードをしてくれたりということは日本に比べて少ないと聞きます。ある意味で一緒に関係を作っていくといった感覚だそう。

■アルコール中毒者の多さ
アルコール中毒者が多く、ヘルシンキ中央駅に行くとそういった人をよく見ます。ある人はスーパーのカートにお酒を入れたまま道を歩いていて、警察に捕まっていました。また一度お金をくれとアルコール臭い人に言われたこともあります。
フィンランドは幸せな国に選ばれたねと話すと、友人が「どこが??」と、友人の叔父さんもアルコール中毒者でずっと死んだように生きている、そんな風に生きているか死んでいるかわからない人がこの国にはたくさんいると話してくれました。統計的にはアルコール依存度ランキング190各国中フィンランドは20位、日本は139位 。                                                                                さらに、アルコール度数が5.5%を超えるお酒はAlkoというお店でしか買うことができず、そこではIDの提示を全員が求められます。そしてAlkoは平日は9時までの営業、日曜日は閉まっています。

参考:http://top10.sakura.ne.jp/WHO-SA01461R.html 

■経済規模の小ささ
フィンランドの人口560万人、日本の20分の1。ただ、一人当たりのGDPは日本より上ですが、国全体のGDPは日本はフィンランドの約20倍です。
またコロナの影響もあり、失業率が2021年3月 日本2.9%の対し、フィンランドは8.4%です。フィンランド人に日本で働くか、フィンランドで働くか迷っているというと、日本の方が経済が豊かで楽しいものをたくさんあるしなんで?とフィンランド人に言われました。
確かに、自然が近くにありのんびりとした生活ができ、勉強に集中はできますが、煌びやかな生活はあまりないのかなと思います。

参考:https://countryeconomy.com/countries/compare/japan/finland

■自由の捉え方
私がまず日本にいた時にフィンランドに行くことを知り合いに言うと、いいね、サウナとかムーミンとか、世界一幸せな国だよねと言われることが多かったです。
その中で唯一マイナスな意見をもらったことが印象に残っています。
2歳のお子さんがいる知り合いの方に「フィンランドは教育がいいと聞くけど、私の娘が通っている幼稚園にフィンランド人の子がいるけど、自由すぎて先生が手を焼いている」と。その子の性格の問題もあるかもしれませんが、日本のように規律が細かくある学校生活の中かつ集団行動が多い社会にいるとそうなのかもしれません。国によって良し悪しが変わってくるのでしょう。
また自分の時間や自由を奪われるのを嫌う傾向にあると思います。無理をして、犠牲にして何かをするというのが、仕事は別かもしれませんが、日常生活、勉強において少ないように思います。ある意味で自分が幸せでいることができる状態を知っている、自分を大切にしているということでもあります。

■学費がEU外の人は有料
フィンランド人はもちろん、EU加盟国の人なら授業料が無料でさらにKelaという生活補助を受けることができます。
周りがそういった人ばかりの中年間約180万円もの学費を支払っているのが馬鹿馬鹿しく感じてしまうこともあります。Kelaは応募しましたが、フィンランドに永住することがわからないためと排除されました。もちろん税金も払っていないので当たり前なのですが、学費、ビザなどEU圏内外の格差を感じます。

■原住民サーミ民族への差別
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4か国に渡っているサーミ族。こちらは私もまだ勉強できていないのでまた別の記事で紹介できればと思います。

■Finnish-Swedishのコミュニティー
フィンランドはフィンランド語とスウェーデン語が公用語です。スウェーデン語を話す人はフィンランドの人口の5%ほどですが、フィンランドにおける特権階級の人に多く、学校も別にありコミュニティーが別途あると聞きます。分断はされていませんが、交わることが少ないようです。Finnish-Swedishの友人に聞くとそんなに得をした記憶もないし、周りも普通に生活していると言っていました。コミュニティーや就職先などにもよるということを加えておきます。


友人が言っていたのが、ランキングをして、白黒をはっきりつける方が脳への負担が少ないと。そのため、良し悪しを決める方がわかりやすく広く人に受け入れられるのかもしれません。そしてフィンランドは日本ではどちらかというと良いイメージの国になっています。ただ、日本で言われているその国についての事実をそのまま本国の人に言ってしまうと、その国の人は気持ち良い受け取り方をしない場合があることを知っておかないといけないなと学びました。そして私にとってはフィンランドでの生活がとても合っていますが、生活に求めていることによって、フィンランドでの生活は合う、合わないがあります。ただ、これだけ暗い面がありますが、それはどこの国も同じであって、暗い面も受け入れてその国で生活できるかはその人次第。両方の面を受け入れてフィンランドで生活していこうと思います。

余談:日本食はやっぱり最高
気候や地形の関係もあり、やはり食べ物が日本の方が豊かだなと感じます。スーパーに行っても新鮮なものが少ない気がします。日本の商店的なものがほぼないので、日本に行ったこともあるフィンランド人にそれをもらしたら、そりゃそーでしょ!と同意してくれました。なるべく工夫して日本食を自炊していますが、刺身、新鮮な野菜、和牛、ラーメン、山菜、豆腐全般、和菓子が恋しくなります。また日本の細やかな味付け、食材はやはり最高だなと。考えや生活習慣は変えることができても、28年間食べることを楽しみに生きていた食習慣で染み付いた体が求めるものは変えることができないと痛感しました。

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