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書店にて

思えば、「憧れの人」「尊敬している人」が私は多い。手に届かない方から身近な方まで。

その彼女も、そうだった。中学時代、彼女はクラスメートで 二つ前の席だった。彼女の立ち振る舞いに憧れた。常に歩く時も、階段の昇降もつま先で歩く。セーラー服で歩く姿は、白百合である。

社会人になり 近くの書店で、久し振りに その姿を見る。相変わらずだ。しかし、全身黒。しかし、なぜか彼女は輝いて見えた。久しぶりで感激した私は、当時 憧れて つま先で歩くまねていたことを伝えた。「貴女のようになりたかった」と。彼女から思いもよらない言葉が出た。

・ ・・・。有難う!思ってもいなかったわ。そうなの・・・。〇〇に そう言われるとは。私ね、高校で中学時代の〇〇のようなことにあったの。自信がなくなってね。あなた、いつも 酷い環境だったのに笑っていたでしょ。いつも笑顔だったよね。私は、(同じ環境になったのに)笑えなかった。いつも 今みたいに笑顔でいてね。今、私は〇H〇の脚本をたまに書かせて頂いてるの。物書きになりたくてね。あなたに褒められたら元気になるわ。ありがとう。

私は、「物書き!?凄い!!TV局の脚本書いてんの?応援してる!!絶対になれるよ!」。私は、ワクワクした!憧れの人は、相変わらず立ち振る舞いが綺麗だった。

これから5,6年後に、芥川賞を受賞した。

涙が出るほど嬉しかった。きっと中学時代から何らかの輝きを持っていたのかもしれない。

今朝の西日本新聞 朝刊に、久し振りに姿とコラムを見る。芥川賞の後にも賞を取っている。彼女の読み残した他者の本の書評を読むことも増えた。相変わらず、知的で綺麗な姿である。ほんとうに・・・手の届かない人になってしまった。しかし、それだからこそ、今後も楽しみである。

立派になったな~。