『服が爆散する病』第一話

あらすじ
男子高校生である網代蓮は『エッチな方向に興奮を覚えると服が爆散してしまうという病』にかかっていた。そのため、彼はエッチによる興奮を覚えないために、スポーツや芸術など、様々なことに取り組み、その精神性を高めていった。しかし、そんな折、彼のクラスに転校生・七瀬美里が現れる。その美里は彼が小学生二年生の時に病になってしまったきっかけを作ったエロス満載な教育実習生の妹であった。蓮は美里に、実習生のエロスを重ねてしまう。その日から、服の爆散という恐怖に怯えながらも、転校生との絆を深めていかざるを得ない日常に彼は身を投じていくことになるのであった。


 とある高校。
 2年1組教室内。
 既に登校時間と言うこともあり、多くの生徒が終わっていない課題に追われたり、楽しそうに談笑していたりする。

「おはよう、みんな」

 そんな穏やかな雰囲気漂う教室のドアを開け、一人の男子生徒が入ってきた。
 瞬間、室内の空気は華やいでいく。

「蓮君、おはよう!」
「よう、蓮。今日もイケメン過ぎてひくわ」
「きゃあああああ! 蓮君今日も素敵いいいいいいい!」

 ドアを開け入ってきた、蓮、と呼ばれた男子高校生の元に、多くの生徒が駆け寄っていく。
 そして、次々と言葉を蓮に投げかけていく。

「ねえねえ、蓮君。昨日の配信見た?」
「うん、もちろん。今回もみんなの息ぴったりで盛り上がったね」

「蓮、今日は帰りに買い物ついて着てくんない?」
「いいよ。どこに行くんだい?」

「蓮君素敵」
「いつもありがとう。でも、君の方がもっと素敵だよ」

 蓮はクラスメイト一人一人の言葉に丁寧に対応していく。
 そして、言葉を返してもらった生徒は例外なく、幸せそうな笑みを浮かべる。

「じゃあ、みんな、そろそろ先生も来るし席に着こう」

 十五分ほど、蓮は続けざまにクラスメイトと会話の応酬を続けた。
 蓮は一通り、対応し終えたタイミングで、その疲れを微塵も感じさせない爽やかな笑顔のまま着席を促した。
 すると皆、特段

 男子高校生・網代蓮は多くの生徒に慕われ、敬われ、恋慕の感情を抱かれている。
 品行方正、質実剛健、文武両道、容姿端麗、眉目秀麗などなど、この世に存在する様々な美辞麗句を並べてもなお、彼はそれ以上に皆からポジティブ過ぎる感情を抱かれている。
 しかし、彼がそれを鼻にかけることない。
 常に自然体。 
 だからこそ、多くの生徒が彼を慕う。

 皆が着席して一分も経たないうちに先生が教室へと入ってきた。
 年齢は二十代半ば。
 女性教師である。
 まだまだ教師としての歴は浅く、本来であればクラス運営に四苦八苦している年齢である。
 些細なクラスの機微に一喜一憂し、精神をすり減らしていておかしくはない、
 しかし、彼女のクラスは網代蓮という存在を中心に強く結束しているため、その機微すらも存在していなかった。

「うん、今日もみんな着席してるね。さすが網代君。毎日ありがと」
「いえ、そんな。皆が先生のお話を楽しみに待っているだけです」

 言って、彼は男子高校生らしい、どこか大人びていて、しかしどこか幼さを含んだ表情を浮かべる。

(うはあ。我が生徒ながら可愛すぎて弟にしたい)

 先生すらも蓮という生徒の虜であった。

 こうして、彼は日々、多くの人からの熱いまなざしと想いを受け止めながらも、それらを一切に重荷などと感じず、軽やかに日常を送っていた。
 それが『網代蓮』という男子高校生であった。 

 けれど、一つそんな彼にも抱えている問題があった。
 それは、エッチな方向に興奮を覚えると服が爆散してしまうという病にかかってしまっていることだった。

 あれは彼が小学二年生の時。
 蓮の通う小学校に一人の女子大学生が教育実習生として訪れた。
 その当時の彼は、今のようにすべてにおいて完全完璧超人のような存在ではなく、極々普通の男の子であった。
 しかし、その教育実習生がいけなかった。
 彼女は決してエッチではなかった。
 むしろ、どちらかと言えば控えめで、大人しく、エロスとは対極に位置するような存在だった。
 安心感。
 安堵感。
 母性。
 そのような言葉がぴたりと当てはまる彼女に、児童も先生たちもまるで最初から彼女がその小学校の先生であるかのように、親密に接していた。
 もちろん、蓮もその一人であった。

 しかし、彼は見てしまった。
 
 ある日の夕暮れ時。
 宿題を忘れたことに気づいた彼は、夕日色に染まる街中を走り、学校へと急いでいた。
 彼が着いたころには既に周りには暗闇が広がり、学校も静まり返っていた。
 そんな校舎内を恐々と進んでいた彼は、職員室のドアから灯りが漏れていることに気づく。
 こんな時間に誰がいるんだろうかと不思議に思った彼は窓からそっと覗いた。
 そこには、普段のフラットな体型とは異なり、出るところは出て、引っ込んでいるところは引っ込んでいる教育実習生がいた。
 彼女の傍には矯正下着が置かれていた。

「ううーん。今日もきつかった。やっぱりこれつけるのはしんどいなあ」

 そう、彼女は溢れんばかりにエロスの詰まったボディラインを隠すために矯正下着をつけていたのだ。
 彼女はその天性のエロスゆえに、男女問わず多くの人からあらぬ誤解と偏見を受けてきた。
 時には、全く関係のない男女関係の修羅場に巻き込まれることもあった。
 そのため、できるだけ服を着こみ、背を丸め、目立たないように生きて来た。

 けれど、そんな彼女には夢があった。
 それは小学校の先生になることであった。
 小学校の時、既にあふれ始めていたエロスを、担任の先生はどのようにして抑えるのか、一緒に悩んでくれた。
 そんな担任の先生を見て、彼女は自然と小学校の先生を志すようになった。

 けれど、教育実習に行くのであれば、背中を丸めたり、目立たないようにすることはできない。
 かと言って、あまりにも艶めかしいそのボディラインは、背筋を伸ばし、パンツスーツにでもなってもみれば、おそらく多くの人々が卒倒するレベルのエロスになることは火を見るよりも明らかであった。

 悩みに悩んだ彼女は、最終的に教師を志すきっかけとなった先生の元を訪れた。

『矯正下着をおつけなさい』

 先生は以前と変わらぬ慈愛に満ちた笑みで彼女にそう告げた。

 彼女は恩師の教えのままに、矯正下着を身に着けてみた。 
 するとどうでしょう。
 彼女を悩ませていたボディラインはものの見事に消え去ってしまったのです。
 これにより、彼女は胸を張り、しっかりと前を見て教育実習に臨むことができるようになったのだ。

 しかし、これが予想以上にキツかった。
 なんとか他の先生の終業時までは我慢できるものの、自分一人となる夜の時間帯までは我慢ができなかった。

 教育実習生は忙しい。
 先生たちは働き方改革の一環で夕方には帰っていくが、まだまだ教師というものに不慣れな彼女は自然と一人で残り、授業準備などに追われることが多かった。
 そんな時は、誰も校内にいないことをいいことに、矯正下着から普通の下着へと変えていたのである。

 そこを蓮が目撃してしまった。
 本来であれば、性癖の歪み、程度のもので済んだであろう。

 しかしあまりにも普段とのギャップが著しい彼女の姿に、そしてそのエロスに彼の服は爆散してしまったのだ。
 あまりにも突然のことに、彼は慌てふためき、そのまま家へと帰った。
 幸い、夜の闇が彼の体を守ってくれたのだ。
 幼い彼は懺悔した。
 きっと、先生の見てはいけないものを見てしまった自分に対する罰なのだと。
 
 翌日。
 彼は昨日のことはもちろん誰にも言わないでおこう。
 そう決めて学校へと向かった。
 それは、彼が教育実習生の彼女のことを慕っていたからに他ならない。

「おはよう、蓮君」

 廊下で蓮は件の実習生から挨拶をされる。
 後ろから聞こえた声で実習生であることを把握した彼は、一度大きく深呼吸をして彼女の方を振り返った。

「おはようございま……」

 蓮の視界に教育実習生が入り込んだ瞬間、服が爆ぜた。
 彼は昨日と同様、一糸まとわぬ生まれたままの姿になってしまったのだ。
 けれど、そこは朝の校内。
 蓮は他の生徒よりも早く来ていたため、奇跡的にその時廊下にいたのは蓮と実習生のみ。
 一気に涙でいっぱいになる彼の瞳。
 そんな彼を見て、彼女は咄嗟に自身の上着を脱ぎ、被せた。

「大丈夫。私がなんとかしてあげる」

 目の前で起きた不可解な事象。
 本来であれば、そのことに気をとられてしまうところ。 
 しかし、彼女はそうではなかった。
 そう、彼女のメンタリティーは既に、一教育者としてのものになっていたのである。
 彼女はすぐに人目のつかない場所に彼を連れていき、蓮の保護者に連絡。
 迎えに来てもらうことに成功した。
 もちろん、アフターフォローも欠かさない。
 彼女は蓮が風邪をひいたことにしてくれたのである。

 こうして、一難さったことは僥倖ではあった。
 しかし、蓮にとって、ここからが本当の苦難の連続であった。
 
 少しでもエロいことを考えると、彼の服は爆散してしまうようになったのだ。
 TPOをわきまえることなく。
 そのため、彼は家からでることができなくなってしまった。
 
 もちろん、親は必死になって原因を探した。
 病院を巡り、研究機関を訪れ、怪しい宗教にまで手を出しそうになった。
 しかし、なんとかそれを踏みとどまりつつ、たどり着いた病院。
 そこで蓮は『服爆散症候群』であると診断される。
 それは数億人に一人の奇病で、世間的な知名度もなく、まだまだ未知の部分が多い病とのこと。
 本当に、本当にたまたま蓮の住んでいた町から二駅ほどのところにそれを専門とする医者がいたのである。
 奇跡ってすごい。

 医師は言った。

『君の中に存在するエロス。それを別の何かに変換できたとき、この病気は自然治癒へと向かいますよ』

 そこからは彼は様々なことにトライした。
 スポーツ。
 勉学。
 芸術。
 それ以外にも、彼が打ち込めると判断したものにはなんでも挑戦した。

 彼は基本的に優秀であった。
 挑戦したそのどれもで全国クラスの成績を残していったのである。
 そして何より、それらに没頭することにより、強靭なメンタリティーを獲得することができた。
 自分を律するほど、人に優しくなれた。
 人に優しくするほど、自分をより律することができるようになった。

 気が付けば、彼は多くの人から慕われる存在となったのである。


 
 そして現在。
 彼は実に穏やかな顔と雰囲気をもって日々を過ごしている。

 ホームルームの最中。
 彼は先生の言葉を一言一句聞き逃さないように、集中しながらも、先ほどの多くのクラスメイトとの戯れを振り返っていた。

(うおおおおおおおおおおおお! 瑠々ちゃん今日も良い匂いがしたあああああああああ!)
(可憐さんも胸元すごかったあああああああああああああああああ!)
(野庭さんに至ってはなんかもうまとう空気感がエロみ深い!)

 ちなみに今、心の中で叫んでいるのは決して興奮しているからではない。
 あえて、心の中で言葉にすることで、心と興奮を切り離すという作業をしているのである。
 そう、本質的なエロスではなく、表面的なエロスをなぞることで、心からエロスというものを排除しているのである。

 溜め込み過ぎた欲望は服を裂く。

 彼はそのことを十二分に理解していた。
 そのため、表に出さずに心の中で言葉と言う人間の発明した叡智に形式的に変換させ、具象化することで服の爆散を防いでいるのである。
 しかし、それでもなお、服は爆散とまでいかずとも、裂ける。
 いや、むしろ裂けさせることで爆散を防止しているとも言える。
 なので、彼は常時、肌着を五枚ほど着ていた。
 一日最低二枚は破れる。
 多い日には五枚全て破れる。
 時代は今、多機能性肌着の時代。
 多少重ね着しても暑くなく、さらに着ぶくれもしない。
 彼は時代の進化に感謝していた。
 けれど、それでも多少着ぶくれはするので、その着ぶくれを誤魔化すために、彼は筋トレと食事制限により体のラインを同年代の男子よりも遥かに引き締めていた。
 臨戦態勢。
 彼はいつでもフィジークの大会に出る素養を有していた。

 それはさておき、こうして彼は表面上は平穏な日常を謳歌することができていたのだ。

 ーーー彼女が彼の目の前に現れるまでは

 とある日のホームルーム。 
 いつもより上機嫌な雰囲気を醸し出しながら、担任の先生が教室へと入ってきた。

「はーい、皆さん注目」

 教壇前に来ると、その上機嫌な雰囲気以上に上機嫌な声色を出す担任。
 皆、何事かとソワソワする。 
 そんなソワソワを十分に感じ取ったあと、担任はドアを指さした。

「実は今日、転校生がいまーす」

 瞬間、クラスは盛り上がる。
 それは蓮も同じであった。
 エロスを抑えるために幼き頃から人並み以上のストイックさで人生を過ごしてきた彼であるがゆえに、こうしたささやかなイベントごとに幸せを感じるようになっていた。

「楽しみだね、蓮」
「ああ。同じ学び舎で、同じ志を持つ友が増えることは素晴らしいことだ」
「もう、蓮はかたいなあ」

 前の席に座る少女。
 笹井麗奈はいつもと変わらぬ幼馴染の様子に、おかしそうに笑う。

 そして、クラスのボルテージがマックスに達した時、教室のドアが開かれた。
 入ってきたのは、女の子。
 おそらく幾度も袖を通していないであろうはずの制服は、前からそうであったかのように彼女に馴染んでいる。
 彼女の歩に合わせて、腰ほどまでに伸びた黒髪が揺れる。
 深窓の令嬢。
 そう思わせる雰囲気を彼女は纏っていた。

 そんな転校生のある種の神々しさすら感じる佇まいに、クラスのテンションは上がり続ける。

「じゃあ、自己紹介お願いできるかな?」
「はい」

 言って、転校生は微笑む。

「七瀬美里と言います。親の仕事の都合でこの街に引っ越してきました。緊張していて初めはうまく喋れないかもしれないけど、仲良くしてもらえると嬉しいです」

 最後にぺこりとお辞儀をする彼女。
 そんなお淑やかさを感じる彼女の所作に、クラスのほぼ全員が心穏やかになっていた。

「はえー、すっごい美人さんだね」

 麗奈はとんとんと蓮の肩を叩く。

「あ、ああ、そうだな」

 そう、蓮を除いて。

 蓮は額から流れる汗を拭うことなく、転校生である美里を凝視している。

(どういうことだ?)
(どうして、どうしてこんなことが?)

 蓮は感じていた。
 重ねに重ねた五枚の肌着が全て裂けてしまっているのを。
 それどころか、ブレザーにより外からは見えてはいないものの、カッターシャツの袖部分が裂けてしまっていた。

 一度に全ての肌着が裂けてしまったのは、初めてであった。
 まだ病になれていなころ、何度も服は爆散したが、病をコントロール下に置くことができるようになった中学生以降、肌着が一度に全て破れることすらなかった。

 そう、この日この瞬間までは。 
 言いようのない不安と恐怖が蓮を襲う。

 と、同時に、蓮は幼き頃の記憶がよみがえってくるのを感じていた。
 そこには、たしかに『七瀬美里』という言葉が存在していた。

(七瀬、美里。七瀬美里ってまさか……)

 七瀬美里。

 蓮が病を発症したきっかけとなった教育実習生の名字は『七瀬』であった。
 そして、思い出される実習生との何気ない会話。

『私ね、蓮君と同じ年の妹いるんだよ。美里って言うんだけどね、年が離れていることもあるんだけど、とっても可愛いの』

(じゃあ、もしかしてこの七瀬美里と言う転校生はあの人の妹?)
(いや、でもそうと決まったわけでは……)
(しかし、この服の裂け具合、感覚……)
(初めて爆散した時のそれと似ている)

 そんな蓮の動揺を知る由もない担任は非情な宣告をする。

「じゃあ、席は窓傍にいる蓮君の隣が開いてるから、その席で。蓮君、よろしくね」
「……はい」

 もちろん、蓮は断れない。
 もし自身が断ってしまえば、きっとこの転校生はクラスメイトからあらぬ誤解を受けてしまうし、転校生自身も傷つけてしまう可能性がある。
 そうなることは容易に想像できた。
 リスクが大きすぎる
 担任から指示を受けた美里は、嬉しそうに、軽やかな足取りで蓮の隣の席へと座った。
 ふわりと彼の鼻腔を擽る匂い。
 それは、あの時の実習生と同じ匂いであった。

(んんああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! いい匂い過ぎる! そして何より顔やボディラインに七瀬先生味を感じるエロいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!)

 蓮は必死に言葉へと変換していく。
 それでも想定以上に心の中に溢れるエロスは徐々に彼の制服を引き裂こうとしてくる。

「よろしくね、えっと、蓮君、だよね。初めての転校ですごく不安だったけど、みんな快く迎え入れてくれてとても嬉しい。先生から、蓮君がクラスの中心で、きっと優しくしてくれる聞いてるから、その、仲良くしてくれると嬉しいな」
「あ、ああ。もちろんだ。こちらこそ、よろしく頼む」
「ありがと!」

 美里は笑顔を弾けさせる。
 そこには確かに、彼のエロスの原点的存在だえる七瀬先生の面影があった。

 瞬間、エロスの許容量を超えた彼の制服は爆散した。

 しかし、不幸中の幸いだったのは、背面のみだったということだろう。
 窓際かつ美里と言葉を交わしていた彼の背面を目視できるものは一人としていなかった。
 おそらく、彼が何の研鑽も積まずにここまで生きてきていたら、全てが爆散していたのであろう。
 しかし、彼の鍛え上げられた精神と積み上げた徳により、背面爆散で事なきを得たのである。

 その後、彼はホームルームから連続して行われる授業の途中で抜け出し、予備として入れていた制服に着替えることができた。

「くっ。どうしてこんなことに……。俺は、俺はどうすればいいんだ!」

 転校と言う環境が変わり不安な中に身を置く転校生を蔑ろにすることはできない。
 蓮はクラスでの立ち位置を考えると、自身が転校生を無下に扱うことの恐ろしさは十二分に理解していた。
 しかし、その一方で、密になれば自身の服が全て爆散する可能性もある。

 彼はこれまで培ってきた清く正しい精神性と、自身のどうしようもない病の狭間で揺れる。

「神よ、どうしてこのような試練をお与えになったのだ」

 彼の嘆きはどこへ届くともなく、無情にもトイレの配管を清潔に保つための自動洗浄の音にかき消されていった。

 こうして、蓮の苦難の日々が幕を開けることになるのであった。


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