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ラッセルとハイリゲンシュタットの遺書

つれづれ音楽雑感 第17回


今、ラッセルの幸福論を読んでいる。
ラッセルが数学への情熱によって自殺を思いとどまったエピソードを読んだとき、ハイリゲンシュタットの遺書を連想した。

ベートベンも断ちがたい音楽を愛する気持ちが自殺を思いとどまらせた。

ラッセルも純粋な数学への興味が自殺願望の淵から自分を救出したと告白します。
そして、不幸の原因を自己没頭にあると指摘します。


今なら、虐待確定の強制的な音楽教育の延長線上で、一流の音楽家の地位を確立した。
彼は読書家で啓蒙思想に感化されつつ、貴族の令嬢等に恋愛し、社会の中で自分にふさわしい地位を確立したい野心を抱えていました。
勿論、無残に砕け散って絶望するのですが、
最後にやはり、音楽に対する純粋な喜びが彼を生かすのです。
ハイリゲンシュタットの遺書の2年後に傑作の森の快進撃が始まります。

ラッセルの指摘する幸福の要点です。ベートベンもここに至ったと思う。

自分がいちばん望んでいるものが何であるかを発見して、徐々にこれらのものを数多く獲得したこと」。

②「望んでいるもののいくつかを、本質的に獲得不可能なものとして上手に捨ててしまったこと」。

③「自分の欠点に無関心になることを学」び、「だんだん注意を外界の事物に集中するようになった」こと。

小川 仁志. NHK「100分de名著」ブックス バートランド・ラッセル 幸福論 競争、疲れ、ねたみから解き放たれるために (p.12). NHK出版. Kindle 版.



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