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会話は最小限で最大限の満足度を獲得する美容師になる方法

1.美容室での悩み

1.美容室でのお客様と美容師共通の悩み

3年ほどのコロナ禍で、美容室ではマスクをしたまま施術をしたり、会話を控える風潮ができましたが、それ以前から美容室での会話が苦手なお客様というのは、アンケートをみても6割~7割いました。

中には「プライベートな話を聞かれ過ぎて行く美容室を変えた」という声もありましたが、マスクをしていることで話しづらくなり、自然と無理に会話をしなくなっていた近年ではないでしょうか。

美容師さんでも「実は人見知りなんです。」という人もいますが、美容師さんの悩み事の1つに「会話」というのは、しばしば見受けられます。

2.2022年頃から急激に増えてきたサービス

「黙カット」
会話をせず施術だけすることです。

2022年にはクーポンに「施術+会話なし」を作るサロンが現われ、これが人気になったり、「会話のいらない美容室」をコンセプトにした美容室も登場しました。

美容室でカットとカラーをすると、お客様の滞在時間は約2時間。この間、会話の相性が良い人同士であれば楽しい時間になりますが、会話のテンポや空気感が合わないと、非常に気まずい時間を過ごすことになります。

お客様が美容室へ来店する目的は、「キレイになるため」が根本的な目的ですが、お互い探り探りの状態で会話をはじめると、どちらかが会話の達人でない限り、気を使い合って思わぬ疲労を感じて終わりの時間を迎えます。

3.それでも必要なヒアリング

美容室でお客様の満足度を高め、リピートしてもらうには、ヒアリングは必要不可欠です。

お客様からの要望を受けるだけでは、残念ながら満足度アップは実現しないのです。
お客様のライフスタイルや好み、そのヘアスタイルにしたい理由、周りからどう見られたいか、イメージする人はいるか、家でのお手入れ状況など、把握できてこそ、お客様からは言葉にされない本来の理想像を正確にキャッチし、提案と実現することができます。

ただ、それを一問一答のように質問されては、特に初来店のお客様は緊張されているので、うまく話すことができなかったり、より緊張感を強めてしまいます。だからこそ、自然な会話の中で引き出せることがベストであり、会話が必要なのです。

4.二度、同じことは聞かない

会話に苦手意識があるお客様の理由として、「行く度に同じことを聞かれる」という点があります。
例えば、
「いつもスタイリング剤使ったりしていますか?」
という質問を一度したとします。それに、「ヘアオイル」と答えたお客様に対して、再来店時に
「スタイリング剤何を使っていますか?」
と、質問したら「また同じことを聞かれている」と感じられます。
この場合は、
「ご自宅でのスタイリングはヘアオイル続けられていますか?」
であれば、前回の会話を覚えてくれているという親近感に繋がります。

テンプレートな会話や質問形式ではなく、お客様から得た情報を記憶して繋がりのある会話ができれば、お客様との信頼関係を深められます。

会話が苦手となる原因は、実は「聞き方」の問題だったのです。さらに信頼関係が薄い状態で、プライベートな情報をヒアリングしてしまうと、「聞き出されている感」が生まれます。

また、例えば、
「この後、どこか行かれるんですか?」
という質問が苦手というお客様の声もよく聞きます。
これも、美容師側からすると、この後の予定に合わせてセットの仕上げ方を変えたいだけなのですが、お客様からすると、「プライベートに踏み込まれている」と捉えられることがあります。

このような場合は、
「よろしければ、この後の予定に合わせてセットしますが、お出かけされますか?このままお帰りなら何も付けずに仕上げますが、どうしましょう?」
と質問する理由を添えて伝えると、お客様に不要な警戒心を抱かせずに済みます。

2.会話上手にならなくて良い、記憶の達人になる

1.お客様の理想を叶える美容師になる

お客様との会話で得た情報を記憶しておくことこそが、接客のスペシャリストへの近道であり、お客様の要望を叶えることに繋がります。

「この美容師さんとは、なんかセンスが合うんだよね。」
「色々説明しなくても、この美容師さんはいつもステキに仕上げてくれる。」
そんな美容師になりませんか?

人間、十人十色。相性も合う合わないがあって当然です。しかし、相手をよく知ることで相手の好みや傾向を知り、合わせることができます。
いくら素晴らしい技術力があっても相手が思い描く方向性と違う仕上がりになってしまっては、満足は得られません。
お客様の思い描く理想像と合う確率を高めることが、プロ美容師の仕事と言えるのではないでしょうか。

2.記憶の達人になるには?

記憶の達人になるには、記録することです。頭の中に記憶できれば最高ですが、一般の人間には限界があります。

そこで、カルテを使いましょう。紙カルテではなく電子カルテです。
電子カルテなら、記録、探す、見返すという3つの手間を最小限にできます。

▼電子カルテを利用するメリットはこちらのブログが分かりやすい

3.情報を記録するポイント

①ヒアリングすべき項目を決める
本当に必要な情報を整理しておきます。
例えば、当日のオーダーは別として、
・日頃のヘアケア
・来店までの施術履歴
・アレルギー
・好み
・好きな雰囲気
など、施術をするにあたり必要となる情報をピックアップ。
これらを最初のカウンセリングやウェルカムトークでヒアリングします。ヒアリングすべき項目が決まっていれば、情報を収集した後は会話しなくてもOK。お客様にもゆったり時間を過ごしてもらえます。
そして、初回で必須項目をヒアリングできていれば再来店時に再び聞く必要はなくなります。カウンセリングシートやアンケートを利用するのも一つの手です。

②記録は漏らさず
電子カルテに、選択するだけで登録できる機能があれば、チェックするだけで記録完了。項目を決めておくことで、聞き忘れも防げます。
施術記録を作るにも、登録に手間が掛かったり、施術カルテを作ることに時間が掛かると業務負担となってしまいます。できるだけ簡単に登録できるシステムを選びましょう。
美容室の場合、写真をそのまま保存できる機能は必須です。施術記録に細かく記載しなくても見た目で思い出しやすいし、正面から写真を撮ることが可能ならお客様の顔も覚えやすいので、再来店の際、受付で名前を呼んでお迎えすることができます。高級ホテルや人気のサービス業では、ほとんどの受付で名乗らなくてもスタッフ側から「〇〇様、いらっしゃいませ」と言ってもらえます。驚きと特別感を感じられる一瞬です。

③来店時はカルテを必ずチェック
再来店時には、事前にカルテをチェックしておき、当日の要望と前回施術後の様子や感想だけお伺いすれば、会話は最小限で済みます。
もちろん、会話を楽しみにされているお客様とはお話してコミュニケーションを楽しむことも良いですが、お客様が美容室に来店され一番に期待されていることは、「気持ちが上がるヘアスタイル」に仕上がることなので、施術に集中してプロの技術を披露すれば良いのです。
そして、最後にキレイをキープするためのアドバイスを提供することで、親身さが伝わります。このアドバイスも、どんな内容を伝えたか忘れずカルテに記録しておきましょう。

3.美容室で使いやすい電子カルテ5選

1.Bionly

ビオンリーはサロンワークに必要な全ての機能を標準装備したiPad専用のサロンシステムです。
美容室向けのカルテ台紙が標準装備されており、そのカルテ台紙またはお客様の施術状態を撮影した写真に直接Appleペンシルなどで手書きメモを残せるなど、紙カルテのように気軽に使え、来店ごとに写真を6枚保存可能、選択式の登録で電子カルテとしての使いやすさが抜群!

2.Beauty Merit

ビューティーメリットは、基本的なサロン管理機能はもちろんオリジナル機能を多数揃えたクラウド系WEB予約システム。
ビューティーメリットのカルテ機能は、予約機能や分析と連携させることで、お客様一人一人の来店回数やご利用金額をデータ化可能。単価アップやリピート率アップの対策を効率的に導くサポートをしてくれます。様々な契約プランから必要な機能を選んで利用できます。

3.ペンギンカルテ

ペンギンカルテは、PC、タブレット、スマホでご利用できるサロンワークの効率化と情報資産活用を支援する電子カルテ。
比較写真、重ね撮り、合成などサロンで求められる写真の簡単撮影が可能なサロンワークに特化したカメラが特徴で、撮影した写真や登録したカウンセリングシートに自由に手書きができます。

4.VitaminC

ビタミンシーは、美容室・エステ・整体リラクゼーション・ネイルサロンなどのサロン向けのシステムとして、30年以上の開発実績があります。
過去の施術内容や来店サイクルなどを確認できる基本カルテをはじめ、画像カルテでは写真で過去の履歴をチェック、ビフォーアフターモードで比較も簡単。さらに専用薬液カルテやスタッフ工程管理機能など、美容室ならではの管理を電子カルテで可能にします。

5.LiME

ライムは、スマホでカルテ管理ができる美容室のためのカルテ&予約管理アプリです。
美容師が企画設計し制作したサービスで、サロン現場での圧倒的な使いやすさを追求しています。カルテ機能は、写真保存、メモ(薬剤簡単入力、テンプレ、音声入力、過去履歴入力)、スケッチ、アシスタントメモができ、シンプルな使いやすさがポイント。


美容師側もお客様側も、サロンでの会話に対して悩みの種となっている人は半数以上もいる現状ですが、本来の目的である施術に必要な情報を把握していれば、「会話をしなくちゃ」と無理に頭を悩ます必要はありません。

人と人との関係である美容師という職業は、サービス業でもありますが、会話のネタを考えるより、本来のお仕事に力を注ぎたいですね。

しかし、ただ話さないということではなく、会話は少なくとも、お客様の「なりたい」を叶えられる満足度の高い美容師になれるかどうかは、情報管理にかかっています。少しの会話の中からヒアリングできる一つ一つの大切な情報を漏らさず記録して、お客様の喜びにつながる財産(顧客情報)を蓄積していきましょう。そうすれば、一を聞いて十を知る美容師になることも夢ではありませんね。

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