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タイムリミット


「荷物送ったから」
唐突な言葉


「東京を引き払ってフランスに早く
行かないと行けなくなるから」

世界が流行病の中
出入国が面倒になるからと
移住先の部屋の家具は投げ捨て
リュック一つとパスポートのみを持ち

フランス外人部隊の「試験会場」的な場所
のよくわからない地名を便りに行くと言う
バズライト予備軍は鼻息が荒い



あの時の最後の話し合いの時…

「30歳になって後悔したくない」と呟いた彼の顔を
私は死ぬまで忘れないだろう・・・


彼の夢を諦めさせて
やりたくもない仕事に就かせ
抜け殻の彼を見て
私は安心、安堵を感じて生きていける?

異国の地で危険が常に付いて回る場所だとしても

見たことのない世界を歩き
価値のある人生感を手に入れ
夢に見た世界を見て生きる

そんな彼を遠くの場所で祈り
心配な日々が続き眠れない
日々が続いたとしても
私は
私が苦しい方が楽だった



抜け殻で後悔に苛まれる
くたびれたサラリーマン姿の彼を
けしてみたくはなかった


もう逢えなくなってしまっても


私は人生を飛び回り
死ぬために生きるのではなく
生きるために進む彼を見たかった



私は大切な決断で
「大きな間違いを」
起こしてしまったのかもしれない
何ヶ月も音信不通の間
すぐに後悔していた



この問いは
あれから月日が経った今でも
眠れない日々を送る中で
何度も 何度も
自問自答している










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