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【Tree of Savior M】スキルダメージと持続ダメージについて

2/25追記: プレイグドクターのクラス特性「悪魔型/変異型にダメージ1.2倍」がこっそりマスタークレリックにも適用されているのを見落としていました。しかし大方の結論には問題ありません。ただ、「4. 攻撃力と通常攻撃ダメージとの間の関係について」の部分の細かい数字については修正が必要ですので、そこを修正しました。
4/3追記: 大抵のスキル攻撃において「1.5倍」特性の効果が「1.5倍」でなかった理由が分かったかもしれません。興味ある方は該当箇所を参照してください。
4/4追記: 弱点属性をついたときのダメージ1.5倍仕様が、持続ダメージにはつかないことに気づきました。結構大きいですねそれ( ̄▽ ̄;)
4/22追記: ペストスチームとインシネレーションがいつの間にか修正されていて、「ダメージ50%アップ」がキッチリ反映されるようになっていることが分かりました。やっぱりバグだったんですね(*´ω`)

 オンラインRPG「Tree of Savior M」の攻略記事です。このゲームではキャラクターの育成が進んでいくとレベル70で「マスタークラス」というシステムが開放され、プレイヤーがある程度自由にスキルセットをカスタマイズすることができます。詳細はあらためて別の記事に書く予定ですが、いわゆる「アクティブスキル」に関して言えばそれをセットできる枠が9枠あり、約30種のアクティブスキルの中から好きなものを選んでセットすることができます。戦闘中に使用できるのはその9つだけです。何を選ぶのがいいか、色々考えたり試行錯誤するのがなかなか楽しく、このゲームの醍醐味のひとつです。その際に重要な目安となるのが、

各攻撃スキルは実際どれだけのダメージ(およびダメージ効率)を出すのか?

です。ゲーム内では各攻撃スキルについて「攻撃力〇〇%のダメージを与える」と書いてあります。素直に考えれば、「攻撃力200%のダメージを与える」スキルは「攻撃力100%のダメージを与える」スキルの2倍のダメージを与えるのかな、と期待してしまいます。しかし実際の計算式は秘匿されているので、本当のところはどうなのか不安もあります(まあ普段はあまり気にせず適当にやっているのですが笑)。

 そこで本記事では、それらの「〇〇%」(以下「表記倍率」と呼ぶことにします)と実際のダメージとの間にどのような関係があるのか調べました。ご参考になれば幸いです。

 なお、結論を先に言ってしまえば

「スキルダメージは、マスタークラスの通常攻撃ダメージ(「攻撃力100%のダメージ」)に、各スキルごとの表記倍率どおりの倍率をかけたダメージを与える。持続ダメージは、通常攻撃のCleanHitに表記倍率どおりの倍率をかけたものの約0.92倍のダメージを与える。ただし持続ダメージには『命中』、『貫通』、『クリティカル』が発生しない。(でも回避もブロックもされない。)」

(「表記倍率どおりの倍率をかける」とは、例えば「攻撃力344%のダメージを与える」と表記されていたならば3.44をかけるということです。3.44倍にするということです。)

そして、

「ステータス画面の『攻撃力』と与ダメージとの間の関係は、普通にプレイしている範囲では単純な一次関数として近似できる」

となります。

また、ついでに分かった副産物的な結論として、

「『ダメージが50%アップする』という特性は、スキルダメージについてはちゃんと50%アップにならず、40%ぐらいになる。それどころかもっと低くなるスキルもある。持続ダメージについては一部の例外を除きちゃんと50%になる。しかしまったく適用されないものもある(不具合?)」

および、

「『エンブレム』という装備や通称『ジャウラ盾』(『ジャウラ補助』)という装備に付与されているダメージアップ効果は、ちゃんとその数字通りに発揮されるようである」

というものも得られました。

 少なくとも私がクレリックという職業のキャラクターで調べた範囲では以上のような結果になりました。しかしクレリックと他職とでわざわざそれらの仕様の部分を変えるということは考えにくいと思われます。なので、他職にも共通であろうと思い、この記事にまとめた次第です。

 


1.測定状況と方法について

 本題に入る前に、観測したときの状況と方法について述べます。関心のない方は読み飛ばしていただいて結構です。

 レベル108のキャラクターで、マップ「祭壇路」に散在しているレベル100のモンスター「追撃者レッドインフロホルダーアーチャー」を相手とし、各種攻撃手段で攻撃した時の「CleanHit」(命中攻撃)の値を記録しました。CleanHitはこのゲームにおける独特の概念のひとつですが、測定が楽である上、各攻撃手段の威力を測るのに格好の対象だからです。ただし、持続ダメージの場合はCleanHitが発生せず、常に同じ値のダメージが出るだけなので、それを記録しました。
 そのときの攻撃力は最小攻撃力29188・最大攻撃力36484で、装備品の特殊効果により「スキルダメージ+20%」というものが適用された状態でした。この「スキルダメージ+〇%」というのは、本当に文字通りスキル攻撃によるダメージ〇%増加させてくれるものです。例えばあるスキルのダメージが「10,000」だったという時、「スキルダメージ+20%」という特殊効果を持つ防具を装備すると、それが本当にほぼ「12,000」になります。そのことは以前の別の機会に行った調査からも判明していたことですが、今回の調査であらためて確認されることになりました。
 なお、この「スキルダメージ+20%」で上がった分は最終的な計算からは除外しています。具体的には、観測された数字を1.2で割ったものを計算に用いています。各スキルそのものの純粋なダメージを見るためです。

2/25追記 クラス特性「悪魔型/変異型にダメージ1.2倍」もこっそり適用されていました(-_-;) でも本記事最後の細かい数字のところ以外は問題ありません。

 対象モンスターとして上記の「追撃者レッドインフロ(略笑)」を選んだ理由は、このモンスターは適度に散開しながら攻撃してくるので、与ダメージの数字が見やすいからです。他の一般マップだと、2~3種類のモンスターがごちゃごちゃと重なり合いながら攻撃してくることが多く、出てきた数字がどのモンスターの頭上に出た数字なのか判別しにくいことが多いのです
(-_-;)

 次に、「自分でも色々観測してみたい!」と思った方のために、観測した量「CleanHit」についてもう少し説明します。といっても、本当に詳しく書くと長文になってしまうので、ここで書くのは実際に観測を実施する上での必要事項のみです。「CleanHit」そのものの詳しい仕様等については以前に私が書いた記事「命中・貫通・クリティカルの計算」や、各種情報サイト等を参照してください。

 さて、観測したのはより正確に言えば「通常CleanHit」とでも呼べるものです。それは、「貫通攻撃の影響を受けておらず、かつクリティカルにもなっていないCleanHit」のことです。具体的には、ゲーム内で相手を攻撃したときに相手の頭上に飛び出してくる白い数字のダメージのうち、「CleanHit」の文字が付されたもの、かつ、その中で最小の値をもつものです。といっても、そのいわば「白いCleanHit」として出てくる数値は2種類しかないので、どれが最小値なのかはすぐに判明します(「最小値」というより、単に「小さいほう」ですね笑)。ゲーム内説明によればそれは「最大攻撃力で攻撃したダメージ」です。

「白いCleanHit」と呼んだもの

 これを観測対象に選んだ理由は、上述の通り、それがすぐに判明するからです。つまり、ごく短い観察時間で済むからです。普通の白いダメージとかだと、数値が結構広い範囲にわたって変動します。その中で平均値または最大値または最小値を見極めなければなりません。それはちょっと根気のいる作業で、時間もかかります。

 なお、実際に観測する際には、上述したようにその「白いCleanHit」には2種類の値がある、ということにあらためてよく注意することをおすすめします。特に、一回の攻撃で複数回のダメージが次々に飛び出してくる、いわば「連打・連射系スキル」の場合は十分な注意が必要です。たとえばその3打目で「白いCleanHit」が出たとき、それ以前の1打目や2打目で「貫通攻撃ダメージ」(Pierceの文字がついたダメージ)が出ていると、それは「大きいほうの白いCleanHit」になるからです。そして、その1打目や2打目の「Pierce」、結構見落としやすいのです。少なくとも私はそうでした(-_-;) 
 万全を期すならば、あるいは比較的目を疲れさせることなく測定したいならば、2種類のCleanHitが判明するまで攻撃を続け、そのうち小さいほうを記録する、というのが良いかもしれませんね。

 さて、それでは本題に入ります。

2.スキルダメージについて

 このゲームでは攻撃スキルによるダメージが「通常攻撃ダメージ」、「スキルダメージ」、「持続ダメージ」の3種類に分けられています。「通常攻撃ダメージ」は持っている武器で普通に相手を攻撃した時のダメージ、「スキルダメージ」は特別な技や魔法で相手を攻撃した時のダメージ、「持続ダメージ」は「毒」や「出血」など、相手に付与した状態異常によって一定周期ごとに相手に与えるダメージです。

 まずは「スキルダメージ」について調べてみた結果をこの節で示します。実際のところ、このゲームで相手に与えるダメージのほとんどを占めるのはこの「スキルダメージ」だと思います。

2-1.通常攻撃ダメージとの関係

 結果は以下になります。

最大攻撃力36484のときにおける、各スキルの表記倍率と与ダメージとの関係(表)

字ちっちゃいですね、すみません💧

 noteはデザインがスッキリしていて清涼感があって好きなのですが、図表を大きく表示できないのが玉に瑕です(でも、それだからこその清涼感なのかもしれませんね)。一応クリックしていただくと拡大表示されますが、そうすると今度は文章が見えません。
 適宜、別窓で参照するなどしていただければと思います。_(._.)_

 要点をグラフにすると以下になります。

最大攻撃力36484のときにおける、各スキルの表記倍率と与ダメージとの関係(グラフ)

 これらの結果は、私が「クレリック」という職業で、その主要な攻撃スキルの威力をまとめたものです。

 以下に、表の見方を説明します。でも、「表の見方はすぐ分かったし、内容ももう十分に把握できた」という方や、「この記事の冒頭に書いてあった『結論』だけで、知りたいことはもう分かったし、グラフを見て雰囲気も分かった。あとは細かいことは気にしない」という方は、適当に読み飛ばしてすぐに次の2-2節に進んでいただいても構いません。

 まず一番左の列は、各攻撃スキルの名前を示したものです。ただし一番上はスキルではなく通常攻撃です。中には略称になっていたり、私が適当な接尾語をつけたものもありますが、多くはこの記事においては気にしないでいただいて結構です。実はこのデータ、私が現在準備中の記事「クレリックのスキル振りについて」のために調べたものでした。各接尾語のほとんどは、この記事の本筋には無関係です。

 次に、その右に並んでいる数字列はいったん飛ばして一番右の列を見ていただくと、その列の名前には「素データ」と書かれています。これが実際に観測したダメージです。ゲーム内で上記のモンスターを攻撃した時に、与えたダメージとして画面に表示されたダメージです。

 再び左の方に戻っていただくと、「表記倍率」、「与ダメ」、「予測値」と名付けられた数字列が並んでいます。

 「表記倍率」とは、冒頭でも述べたように、ゲーム内で各スキルの攻撃倍率として表記されている数字です。例えば「通常攻撃」なら「攻撃力100%のダメージを与える」と書かれているので「100」です。そして「スマイト」というスキルならそこが「344%」と書かれているので「344」です。

 次に「予測値」は、以下のような予測に従って算出した理論値です。それは、「スキルの表記倍率というのは、通常攻撃ダメージをその倍率でアップさせるというものなのかもしれない」という予測です。例えば「スマイト」なら「344%」なので、その予測にしたがえば通常攻撃の3.44倍のダメージを与えるはずです。したがって通常攻撃ダメージの「19,648」を3.44倍した「67,589」という数字が記入されています。

 最後に「与ダメ」は、「素ダメージ」から様々なダメージ増加ボーナス効果を取り除き、そのスキル単体での純粋な与ダメージを取り出したものです。具体的には、まずすべてのスキルについて「素ダメージ」を1.2で割りました。上でも述べたように、この観測を行ったとき私の装備には「スキルダメージを20%アップする」という特殊効果がついており、したがって上記の「素ダメージ」は元のスキルダメージが1.2倍されたものだったからです。その上で、例えば「ゴッドスマッシュ」では、その1.2で割った数字をさらに1.1で割りました。このスキルには「変異型モンスターに対し1.1倍のダメージを与える」という特殊効果があるのですが、今回の攻撃相手である「追撃者レッドインフロ(以下略笑)」は、まさにその「変異型」というタイプに分類されるモンスターだったからです。そんな感じで各種ボーナスによる増分を取り除き、「そのスキルだけの純粋なダメージ」を取り出したのが「与ダメージ」です。

 そして結果は、有難いことに上記の素朴な予測がそのまま的中したものとなりました。観測したすべての攻撃スキルにおいて、その「予測値」は「与ダメ」とほぼぴったり一致しています。

 つまり、各攻撃スキルは、通常攻撃のダメージにそこに書いてある通りの倍率をかけたものを、与ダメージとして相手に与えます

  別の言い方をすれば、「攻撃力400%のダメージを与える」スキルの与ダメージは、「攻撃力200%のダメージを与える」スキルの与ダメージのちょうど2倍になるということです。

 ただし、ここでいう「通常攻撃」はマスタークラスの通常攻撃です。少なくともクレリックのマスタークラスの通常攻撃で、「攻撃力100%のダメージを与える」と明記されているものです。実はそれ以前の、ゲーム開始当初から使えるクラス(いわば「初期クラス」)の通常攻撃でも観測してみたのですが、そのダメージは上記の通常攻撃よりも弱いものでした。例えば上記の状況では16,374でした。マスタークラスの通常攻撃は19,648だったので、それの83.34%、約8割ですね。ゲーム内には表記されていないのですが、初期クラスの通常攻撃は「攻撃力100%のダメージ」ではなく「83%のダメージ」なのかもしれません(少なくともクレリックの場合)。

2/25追記 プレイグドクターのクラス特性「悪魔型/変異型にダメージ1.2倍」がこっそりマスタークレリックにも適用されているのを見落としていました(-_-;) 1/1.2=0.8333…ですから、変異型モンスターであるこのモンスターに対しクレリックの通常攻撃がマスタークレリックの通常攻撃の83%だったというのは、見事にその特性の有無によるものです。でもこの記事全体の結論にとっては問題ありません。

2-2.「ダメージ+50%アップ」特性の効果

 上記の調査のついでに得られた結果が、「ダメージ量を50%アップさせる」という「特性」(スキルの効果を拡張させる、一種のパッシブスキル)の実際の効果についてのものでした。ゲーム内では下の画像のように説明されています。

スキル「スマイト」におけるダメージ量+50%アップ特性の説明画面

この特性、ほとんどの攻撃スキルに用意されているものです。ちゃんと調べてませんが攻撃スキル全体の9割くらいにはこの特性が用意されているのではないでしょうか。

 素直に考えれば、これは与ダメージを1.5倍してくれるもののように思えます。しかし残念ながら今回の観測では、「実際には1.5倍までいかない」ということが示されました。結果は下の表のとおりです。

「ダメージ量を50%アップさせる」という「特性」の効果

 赤枠で囲んだところが、実際にその「特性」によって与ダメージが何倍になったかを示したところです。大体のスキルにおいて1.5倍ではなく1.4167倍になっています(そしてこの1.4167という数字は、別の最大攻撃力のときでも同じでした。詳細は次節をご参照ください)。ひとつだけ見事に1.5倍になっているもの(「メイデンDOT」)がありますが、これは後述するように「スキルダメージ」ではなく「持続ダメージ」です。

 次に、そこからの例外も見てみましょう。表中で赤文字にしたのが、その「メイデンDOT」も含め、「約1.4167」という数値からずれている例外的数値です。

 ただ、その中の「御幣単発」については、通称「ジャウラ盾」の影響によるものだったようです。詳細は次節で説明しますが、私がこの時装備していた「ジャウラ盾」には、「御幣」の威力をアップさせる特殊効果がついていたのです。その特殊効果がない場合はそこも普通に1.4167倍になると思われます。

 ちゃんとした例外(と言うのも何だか妙な言い方ですが笑)の中で注目すべきなのは、「ブレーキングホイール爆発」および「ペストスチーム汚染地帯」の1.0000という数値と、「ブレーキングホイール単発」の1.25という数値です。

 まず「ブレーキングホイール爆発」と「ペストスチーム汚染地帯」に着目します。ここでは倍率が1.0000です。つまり「ダメージ+50%」が見事にまったく適用されてません。しかし実はこれ、ある程度予想されていたことでした。これらはスキル本体に備わっているダメージではなく、「ダメージ+50%」とは別の特性によって追加されたダメージだからです。「ダメージ+50%」の特性が(実際は約40%であるとはいえ)適用されるのはスキル本体の説明文に載っているダメージに対してのみである、ということが分かります。

 他方、原因不明なのが「ブレーキングホイール単発」です。これはスキル本体のダメージなのですが、やはり1.5倍になっていないどころか、他のスキルと同様の1.4167倍にすらならず、さらに低い1.25倍という数値になっています。まあそれでも「ブレーキングホイール」は十分に強いのですが、1.5倍になると期待していた場合はちょっとがっかりですね。このように、何故か例外的に1.4167倍どころか1.25倍ぐらいにしかならないというスキルもあります。今回調べた攻撃スキルの中ではこの「ブレーキングホイール」だけでしたが、他にもそういうものがあるかもしれませんね。

 マスタークラスでスキル構成を決めた際、そこで主力となる攻撃スキルには、ほとんどの場合「+50%アップ」の特性がついていることでしょう。しかしその「+50%アップ」というのが本当に効いているのか、「ブレーキングホイール単発」のように約25%アップにしかなっていなかったりしないか、気になった場合はちゃんと調べてみるのがよいかもしれませんね。測定は結構すんなりできます。

4/3追記 多くのスキルで「1.4167倍」となっている理由が今さらながら分かったかもしれません。「ダメージ50%アップ特性」と、クラス特性「魔導浄化」(悪魔変異型に対しダメージ20%アップ」の重複効果が、スキルダメージに対しては、「ダメージ1.5×1.2倍つまり1.8倍」でなく「(50+20)%アップつまり1.7倍」になっているから、と思われます。後者ならば、魔導浄化だけの状態から「ダメージ50%アップ特性」を付けた時、ダメージは1.7/1.2=1.41666…≒1.4167になります。まさに多くのスキルが示していた数値です。これに気づいたきっかけは、ウィザードのスキルが普通に1.5倍になっていたことでした。「あれ?」と思いあらためて考えてみたところ、上述の仮説に至ったわけです。ただ、ブレーキングホイールその他のスキルで1.5倍になっていない理由はまだ分かりません。
 他方、持続ダメージについては「ダメージ1.5×1.2倍つまり1.8倍」です。あらためて調べてみたらそうなってました。どちらかがプログラム上の設定ミスかもしれないですね( ̄▽ ̄;)

2-3.エンブレムや「ジャウラ盾」の効果

 この調査結果からもうひとつ副次的に分かったのは、エンブレムや通称「ジャウラ盾」の効果についてです。それらは装備品の一種で、いくつかの特定のスキルの効果を向上させてくれます。

エンブレムの一例
「ジャウラ盾」(「ジャウラ補助」)の一例

どのスキルを向上させてくれるかは入手時や強化時にランダムに決まります。そしてそれらの中には、特定の攻撃スキルのダメージを「〇〇%アップ」させてくれるものがあるのです。
(なお、ここで「ジャウラ盾」と呼んだものは、「ジャウラ補助」と呼ばれることもあります。ただ、「ジャウラ盾」のほうがいかにも装備品っぽい名前であり、このゲームやそのレベル帯に馴染みのない方にとってはそのほうが「つかみ」がいいかな?と思い、この記事では「ジャウラ盾」という呼び名の方を使った次第です)。

 実は今回の調査をしたときの私の装備には「御幣」というスキルのダメージを「41%アップする」という特殊効果がついた「ジャウラ盾」が含まれていました。

 出来るだけスキル本体の純粋な効果を見るために、それを外して観測するということも考えたのですが、「ジャウラ盾」には結構大きな攻撃力増加効果もあり、それを外すと調査時の攻撃力がレベル105前後の典型的な値(と思われる値)から大きくずれてしまうのでした。そうすると調査結果の一般性に影響を及ぼすかもしれないと思われたので、つけたまま調査したのでした。

 でも結果的にはそのために嬉しい副産物的知見が得られました。それは、「それらの装備はちゃんと表記通りに与ダメージをアップしてくれる」らしい、ということです(「らしい」と書いたのは、もしかしたらこれにも例外があるかもしれないからです)。
 2-1節の最初に掲げた表を見ていただくと、「御幣単発」のところの「素データ」、すなわち実際に相手モンスターの頭上に表示された与ダメージ(のうちCleanHitだったもの)は「122,344」となっています。これは「御幣のダメージを41%アップする」という上記の効果がちゃんとその字面どおりに発揮されていたことを示しています。

(詳しく説明すると次の通りです。御幣の与ダメージ計算式が他のスキルと同じならば、それは通常攻撃ダメージ「19,648」を「御幣」の表記倍率「368%」で増幅したもの、つまり19648×3.68≒72305になると期待されます。そしてこのとき私の装備には「スキルダメージ+20%」という特殊効果もついていたので、それが1.2倍されて72305×1.2=86766になると期待されます。それがさらに「41%アップ」されるならば、86766×1.41=122340になると期待されます。ほぼ観測したとおりの数値です。)

 ただ、「ダメージを50%アップさせる」という特性と併用した場合の振る舞いは単純ではないようです。前節で示したように、一般にその特性を活性化するとスキルダメージは約1.4167倍になりますが、今回上述の「御幣ダメージアップ」のジャウラ盾を装備したときの「御幣」のダメージは、その特性の活性化によって1.4167倍ではなく1.3457倍になっていました。「御幣」が特殊なのかな?とも思いましたが、どうやらそうではないらしいということが分かりました。試しに上記の「ジャウラ盾」を外して測定してみたところ、ダメージ50%アップ特性がないときの「御幣」の与ダメージが55,994、あるときの与ダメージが79,326でした。見事に1.4167倍です。

3.持続ダメージについて

3-1.持続ダメージの基本仕様

 次に持続ダメージについてです。これは「毒」や「出血」などによるダメージです。それらの、いわば「持続ダメージ型状態異常」(持続ダメージ型デバフ)を相手に付与し、その状態異常の効果によって一定周期ごとに相手にダメージを与えるというものです。例えば「ホーリーライト」というスキルは相手に「攻撃力559%のダメージを与える」というスキルですが、成長させるとそれと同時に「火炎」という状態異常を付与するようになります。この「火炎」は「10秒間、1秒ごとに攻撃力10%のダメージを与える」というものです。このとき、このスキルで最初に与える「559%のダメージ」は「スキルダメージ」ですが、その後の「火炎」によって与える10%×10回のダメージのほうは「持続ダメージ」という扱いになります。

 ただし、各攻撃スキルのダメージの中には、一見持続ダメージのように見えて実はスキルダメージ、というものが結構あります。例えば「グランドナモット」というスキルは「1秒ごとに攻撃力128%のダメージを与える」というものですが、そのダメージは持続ダメージでなくスキルダメージです。何ともまぎらわしい話ですが、見分ける方法は3つあります

  1. いわゆるダメージエリアを展開して、その中にいる相手に周期的ダメージを与えるというものはスキルダメージ

  2. 持続ダメージの場合は、画面上部に示される相手のHPバーの下にデバフアイコンがつく

  3. 持続ダメージは、相手の頭上に飛び出してくるダメージ数字のフォントサイズが小さい(でも分かりにくい笑)

上述のグランドナモットはまさに「1.」のタイプです。本記事冒頭の画像に示した「サンクチュアリ」もそうです。一方「2.」のほうは、具体的に画像で示すと以下のようになります。

戦闘場面の一例。
赤い枠で囲んだところが攻撃ターゲットのHPバーです。
画像では4つのアイコンがついていますが、そのうち右側の3つが持続ダメージアイコンです。

画像内の上部で赤枠で囲んだところが攻撃ターゲットのHPバーです。ここでは4つのアイコンがついていますが、そのうち右側の3つが持続ダメージ型状態異常のアイコンです。
(ちなみにこの画像では、その3つの状態異常による3つの持続ダメージも敵の頭上に映っているはずなのですが、他の数字がでかすぎて見えなくなっちゃってますね笑)。

 この持続ダメージ、基本的には上記の「火炎」のようにその効果量は微々たるものであり、それが主力になるということはありません。ただ、例外としてクレリックの「ペストスチーム」、「インシネレーション」、「切開」などを挙げることができ、これらは主力級のダメージ量になります。

 さて、持続ダメージの重要な特徴として、持続ダメージには「命中」も「貫通」も「クリティカル」も発生しない、というものがあります。「命中」、「貫通」、「クリティカル」とは、他の一般的なRPGでいう「クリティカルヒット」とか「会心の一撃」に相当するものです。一定の確率で与ダメージが普段よりも大きな値で出るというものです。そして多くのRPGにおけるのと同様、このゲームでもそれらは与ダメージ期待値を上げるものとして結構重要です。なのでそれらが一切出ないということは、持続ダメージの重要な短所と言えます。(それでも上述の「ペストスチーム」などは十分強いのですが)。

 ただ、その代わり持続ダメージは回避もブロックもされないらしいということが分かりました。「ブロック」というのはこのゲームの場合、一定の確率で相手からのダメージを75%減少させるというものです。こちらは嬉しい長所ですね。(現状、ほとんどのモンスターは最初から回避もブロックもしないモンスターですが…)。まあ確かに、普通に考えたら体内に入り込んだ毒とかって回避もブロックもしようがないですもんね(-_-;)

 これはブロック率が高いことで有名なボスモンスター「スキアクリプス」のところに行って確かめてきました。「インシネレーション」または「ペストスチーム」だけをかけ続けて、あとはひたすら何もしないで観察していたところ、その持続ダメージが一定のテンポで出続けたのですが、ブロックされて75%減らされたと思われる数字は出てきませんでした。
 たまに何故かそれらの1/6くらいの数値の周期的ダメージが追加で発生することがありましたが、それらはインシネレーションとかのダメージとは明らかに違うタイミング(より正確に表現するならば「違う位相」)で出ているものでした。「スキアクリプス」のところには一人で行くことはできず、一人で行こうとしても勝手にAIキャラクター達がパーティーとしてついてきてくれるので、彼らが使ったスキルの効果であると思われます。

3-2.通常攻撃ダメージとの関係

 この持続ダメージについて、スキルダメージの時と同様、通常攻撃ダメージ(「攻撃力100%のダメージを与える」)との関係を調べてみました。調査時のステータス状況や攻撃相手等はスキルダメージのときと同じです。
 ただし、このとき私の装備には「持続ダメージ+12%」という効果がついていたので、「素データ」を1.12で割ったものを「与ダメ」としました(「素データ」と「与ダメ」の意味については2-1節をご参照ください)。

結果は次のようになりました。まず表です。

持続ダメージの実測値と表記倍率との関係

 相変わらず字が小さくてすみません(-_-;)
あと、これはExcelで作った表をスクリーンショットで持ってきたものなのですが、そのExcelのおせっかい機能で、マスによっては左上端に変な緑の三角がついてますね。ゴミかと思って画面のそこをこすってしまったアナタ。どうもすみません_(._.)_

 グラフは以下のようになります。

持続ダメージの実測値と表記倍率との関係

 まず通常攻撃との関係を見てみましょう。今回はスキルダメージのときと同じような綺麗な関係にはなりませんでした。赤枠の中で「通常攻撃%」と書いた列に並んでいる数字は、通常攻撃のダメージ(のCleanHit)を100%としたときにそれぞれの持続ダメージの値が何%になるかを示したものです。「通常攻撃の毒」とは、マスタークレリックの通常攻撃の付加効果である「感染-中毒」という状態異常による持続ダメージのことです。ゲーム内では「攻撃力6%のダメージを与える」と書かれています。なので、スキルダメージの時と同じならばちょうど通常攻撃の6%のダメージを出すようになっていてほしいのですが、実際は5.5258%でした。「6」に近いことは近いのですが、ちょっとスッキリしない数字ですね。他の持続ダメージでも同様となっています。

 ところが、試しに「『中毒』のダメージを表記通りに何かのダメージの10%であるとした場合、他の各持続ダメージの数字はどうなるか」を計算してみると、なんと綺麗に表記倍率通りの数値が並ぶことになりました(計算式は、「その持続ダメージの数値」÷「中毒ダメージの数値」×10です)。「中毒比%」と名付けた列の数字がそれです(「中毒比%」というのはあまりいい名前ではないのですが)。一部、例外もありますが、それについては後述します。

 すると各種持続ダメージは通常攻撃のCleahHit以外の何かの10%だったり6%だったりということになります。では何の10%や6%かというと、どうやら「通常攻撃のCleanHItの0.92112倍の数値を持つ何か」の10%や6%のようです。つまり、「持続ダメージは、通常攻撃のCleanHitを約0.92倍したものに、表記倍率どおりの倍率をかけたダメージを与える」という暫定的結論に至ります。言い換えると、「持続ダメージは、通常攻撃のCleanHitに表記倍率どおりの倍率をかけたものの約0.92倍のダメージを与える」ということです。
 後者の表現のほうが感覚的につかみやすいかな?と思い、本記事冒頭ではこの表現で書きました(そしてここでも太字にしてみました)。

 なお、上記の結果は最大攻撃力36,484のときに得た結果ですが、攻撃力を変えて測定してみてもほとんど同じ結果になりました。つまり、その0.92という数字は、攻撃力を変えた場合でもほぼ同じでした。上記では「0.92112」でしたが、最大攻撃力が37,827のときは「0.92126」に、39,169のときは「0.92154」になりました。そして各持続ダメージは、それらの数字を使って上と同じように計算したものにほぼぴったり一致しました。例えば最大攻撃力が39,169の時の通常攻撃ダメージのCleanHitは22,129でしたので、「中毒」のダメージはそれの0.92154倍の10%、すなわち22129×0.92154×0.1=2039になると期待されます。実際に観測された数字はまさにその通り、ぴったり2,039でした。他の持続ダメージについても同様です。

 例外は、今回調べた中では「アイアンメイデン」の持続ダメージ部分と、「ペストスチーム」および「インシネレーション」の持続ダメージ部分でした。

 ただ、アイアンメイデンのほう、より正確にはその一部である「アイアンメイデン後遺症」という持続ダメージのほうは、単にゲーム内表記の誤植であると思われます。相手のHPバーの下に表示されるデバフアイコンをクリックすると「攻撃力100%のダメージを与える」と書いてあるのですが、実際は「84%のダメージ」であると思われます。そう考えると他の持続ダメージたちと同様、予測値と実測値とがぴったり一致するからです。また、この「84%」という数字は、ゲーム内でアイアンメイデン本体のスキル説明文に載っている数字でもあります。

 厄介なのが「ペストスチーム」と「インシネレーション」の持続ダメージ部分です。これは私の推測ですが、こちらは誤植どころかプログラム上のミスではないかという気がします。なお、表では後者だけを載せてありますが、これは両者の持続ダメージがまったく同じ値だからです。なので後者だけを載せたという次第です。

 グラフを見ると、綺麗に並んでいる青点たちから仲間外れになっているオレンジの点がありますが、これがペストスチームおよびインシネレーションです。点が2つありますが、これはどちらかがペストスチームでどちらかがインシネレーションという意味ではありません。両者は全く同じダメージだからです。点が2つなのは、一方が「+50%ダメージアップ」の特性をつけてないノーマルな状態のときで、もう一方がそれをつけた状態のときだからです。

 まずはノーマルな状態のときについて見てみます。表で「インシネ」と書かれているものがそれです。それの「中毒比%」のところを見ると、「117.0942」となっています。ここは「表記倍率」の「109」と同じ数字になってほしいところなのですが、ズレていますね。
 大したズレでないとも言えます。でも他の持続ダメージたちがほとんどぴったり表記倍率どおりの数字になっているのと比較すると、これはちょっと異常だな、と思います。

 しかもこのインシネレーションおよびペストスチーム、「ダメージ+50%アップ」の特性をつけたときの振る舞いがさらにぶっ飛んでいます。それについては次の節で見ていきます。


3-2.「ダメージ+50%アップ」特性の効果

 持続ダメージの中にも、「ダメージ+50%アップ」特性を持つものがあります。今回調べた範囲では、「切開」、「ペストスチーム」、「インシネレーション」の持続ダメージ部分と、「アイアンメイデン」の持続ダメージの一部とが、それに対応した「ダメージ量+50%」特性を持つ持続ダメージでした。

 そして「アイアンメイデン」と「切開」については、その持続ダメージ部分がほぼぴったり1.5倍されることが分かりました。 

 アイアンメイデンのほうは、こちらの表には載せていませんが、「メイデンDOT」という名前で2-2節の表のほうに載せたものです。実は私、最初これは持続ダメージではなく連打系スキルダメージだと思っていたので、そちらの表に載せたのでした。そちらの表に載っている理由はそれです。単に私の当初の思い違いです。まぎらわしくてすみません💧

 しかもさらにまぎらわしいことに、その「メイデンDOT」というのは、こちらの表にある「メイデン後遺症」とは違います。「後遺症」のほうは、「ダメージ+50%アップ」とは違う別の特性によって追加される持続ダメージです。そして「スキルダメージ」のときと同様、そういうものは、つまり「ダメージ+50%アップ」とは違う別の特性によって追加されたものは、「ダメージ+50%アップ」の対象にはなっていません。

 「切開」のほうは、こちらの表に載せてあります。表の中で「切開・1.5付」という名前をつけてあるのが、その特性をつけた後のデータです。そこの「与ダメ」を見ると「17376」となっています。一方、その特性をつける前のデータは「切開」とだけ書いてあるところのデータで、「与ダメ」は「11584」です。計算してみると、「17376」は見事にこれの1.5倍です。

 「ペストスチーム」と「インシネレーション」はどうだったのでしょうか。この両者、通常時のダメージにおいても異質な振る舞いをしてましたが、こちらではさらにやらかしてくれました(*_*;

 まず「ダメージ+50%アップ」特性をつける前のダメージを観測してみると、21,192でした。次にその特性をつけた後のダメージを観測してみると、それが21,192になりました。はい、全く変わっていません

 もしかしてペストスチームやインシネレーションにおける「ダメージ+50%アップ」特性は、持続ダメージ部分は対象外としているのでしょうか。そこであらためてゲーム内におけるその特性の説明文を見てみました。

インシネレーションのダメージを+50%アップさせる特性の説明画面

そしてインシネレーション本体の説明画面は以下です。

ゲーム内における、スキル「インシネレーション」の説明

説明文にある「インシネレーション-火炎」は、相手のHPバーの下にデバフアイコンとして表示されるもので、実際に1秒ごとに109%くらいのダメージ(正確には先述した通り約117%のダメージ)を与えているものです。特性の説明画面ではこれも対象になっているように見えるのですが、何か誤解があるのでしょうか。

 「切開」の説明画面がこれとそっくりなので、そちらも見てみます。まず特性の画面がこちら。

スキル「切開」のダメージを+50%アップさせる特性の説明画面

そして「切開」本体の説明画面がこちらです。

スキル「切開」の、ゲーム内における説明画面

ダメージ倍率が「109%」か「64%」かの違いだけで、文面はインシネレーションとほとんど同じです。しかし上でも述べたように、こちらは綺麗に1.5倍されていたのでした。

 多分、ペストスチームとインシネレーションで「+50%ダメージアップ」が適用されないのはプログラム上の不具合であると思います。そのうち修正されるかもしれません。

 そう思ってみると、2-2節で「スキルダメージ」について見たときの「ブレーキングホイール単発」の例外的振る舞いも不具合だったりするのかな?と思えてきます。他のスキルダメージは「+50%アップ」特性をつけることによって約1.4倍になったのですが、このスキルだけ1.25倍にしかならなかったのでした。このスキルを主力の一角に据えている人から見れば、ちょっと残念な例外的振る舞いですね。

 いずれにせよ、これらの事例から得られる汎用的な教訓は次のようなものです。
このように不具合をかかえたスキル、もしくは特に合理的な理由もなく例外的な振る舞いをしているスキルは、他にもあるかもしれない
です。

 理想的には、マスタークラスでスキル構成を決めた際、重要なスキルについてはひとつひとつ丁寧に測定を行ってみるのがよいかもしれませんね。測定は思ったほど大変ではないです。適当な観測相手のモンスターを選び、そして「特性をつける前」、「つけた後」などの各種設定ごとに、そのモンスターをそのスキルで攻撃して「通常CleanHit」の値を記録すればよいだけです。

3-3. エンブレムや「ジャウラ盾」の効果

 エンブレムや「ジャウラ盾」の効果についてはどうでしょうか(「何それ?」と思った方は2-3節を参照してください)。私はたまたま「インシネレーションのダメージが36%アップする」というエンブレムを持っていたので、調べてみました。ここまでの文章を読んでいただけた方は、「え、よりによってそれ!?」と思われたかもしれません(笑)。インシネレーションとペストスチームはこれまで例外的な振る舞いをしていたので、ここでもおかしな挙動をしないかと期待心配しつつ、測定してみました。

 結果は、こちらではちゃんと表記通りに適用されている、という期待外れ健全なものになりました🌷
 上述のエンブレムをつけて測定したところ、ダメージが32,279になりました。つける前は23,735でした。32279/23735=1.35997ですので、見事に表記通り36%アップしていると言えます。

4.攻撃力と通常攻撃ダメージとの間の関係について

 以上の結果から、通常攻撃ダメージ(のCleanHit)が分かれば、それに適当な倍率をかけることによってスキルダメージも持続ダメージも推定できるということが分かりました。なので、「ステータス画面上の攻撃力を上げるとスキルダメージや持続ダメージはどれくらい上がるの?」という問いに対しては、「ステータス画面上の攻撃力を上げると通常攻撃(のCleanHit)のダメージはどれくらい上がるの?」ということが分かれば、答えを与えられるということになります。そこでそれを調べてみました。測定の状況と方法はこれまでと同じです。結構簡単にすぐ調べられます。

※2/25追記 私が観測したときはクラス特性「悪魔型/変異型に対しダメージ1.2倍」が付いており、そして攻撃対象モンスターは変異型でした。なのでここではその観測したダメージ量を1.2で割ったものを用います。特殊なクラス特性を付ける前の一般的な傾向を見たいからです。

 結果は以下の通りです。

攻撃力とクリーンヒット(CH)との間の関係


最大攻撃力と通常CH(通常クリーンヒット)との間の関係

  表および図で「通常CH」という略名で書いたのが上述の「通常CleanHit」です。グラフを見ると、傾斜の緩やかな「指数関数」型の関数になっているらしいことが分かります。いわゆる「加速度的に上がる」というやつですね。その「加速度」の非常に緩やかなやつ、です。

 データがこのように指数関数型である場合でも、独立変数(横軸の値)の変化幅の狭い範囲ならば、従属変数(縦軸の値)との間の関係はシンプルな一次関数で近似できることが多いです。実際にやってみました。

最大攻撃力と通常CHとの関係において、部分ごとに単回帰分析をほどこしたグラフ

 観測した9つのケースを、最大攻撃力が29,745以下であるグループと33,114以上であるグループとに分け、それぞれに「回帰直線」をあてはめました。普通にゲームをプレイしていれば、大抵は後者のグループに該当するのではないかと思います。

 図中の「y=0.7762x-11960」というのは、オレンジの点たちにおける最大攻撃力(x)と通常CleanHit(y)との間の関係が、大体その数式で表せるということを示しています。そしてその下にある$${R^2}$$というのは「決定係数」と呼ばれるもので、その数式の当てはまりの良さを示す指標のひとつです。$${0\leq R^2\leq1}$$の範囲の値を取り、値が大きいほど、その数式の当てはまりが良いことを示しています。それが$${R^2=1}$$であるということは、当てはまりがとても良いということを示しています。

 切片が0ではないので、残念ながら「攻撃力が2倍になれば与ダメージも2倍になる」とまでは言えません。でも「攻撃力が〇〇上がればその上がった分の約0.78倍だけ与ダメージも上がる」ということは、一定の誤差の範囲内で言うことができます。計算式で示せば、

$$
\begin{align}
\Delta y&=y(x+\Delta x)-y(x)\nonumber \\
&=0.7762(x+\Delta x)-11960-(0.7762x-11960)\nonumber \\
&=0.7762\Delta x,\nonumber
\end{align}
$$

です($${\Delta y}$$と$${\Delta x}$$は、$${y}$$と$${x}$$の「増分」です)。

 ただ、当てはまりは良いですが、あまり過信はしないでください。相手の防御力や、相手と自分とのレベル差によってこの数字は上下するでしょう。あくまでもひとつの目安と考えてください。

 また、もっと攻撃力の高い人だと、指数関数においてもっと右側のほうに行くことになり、傾きがもっと大きくなります。
 とはいえ現在のこのゲームの仕様では、多分、そんなに極端に大きくなるところまでは行かないんじゃないかな?という気がします。

 ちなみに、切片を無理やりゼロにして回帰直線を導くことも可能です。切片がゼロならば「攻撃力が〇倍になると与ダメージも〇倍になる」とシンプルに言えます。強引ながらオレンジの領域についてそれをやってみると、

標準域の回帰直線について、無理やり切片を0とおいた場合

となります。オレンジの点線が、オレンジの点たちに無理やり当てはめた「切片ゼロの回帰直線」です。$${R^2=0.998}$$なので、意外に当てはまりは悪くないようです。でも目で見た感じ、結構ズレてますね(笑)。一応その数式に従って求めた理論値と実測値を比べてみると、

切片を無理やり0とおいた、無理やりな理論値との比較

あれ、やっぱり意外に悪くないかも?

まあ、あくまでもひとつの目安として、ご参考までに。

(ただ、例えば「最大攻撃力39,169のから3%くらい」のごく短い範囲で見れば、ズレはずっと小さくなります。別記事「火力型装備カードの選択についての計算」では、このことを用いて、「攻撃力が3%上がれば与ダメージも大体3%上がる」という近似を用いたのでした。実際、「ごく短い範囲で見るならば適当な一次関数によって近似できる」というのは、物理学でもしばしば使われる手です。)

 最後に、表の中にある「貫通CH」とは、私が「貫通CleahHit」と呼んでいるものです。これは「相手の防御力を20%無視する」という状態で出たCleanHitです。私にとってはこの数値も興味深いものだったのですが、本記事の主題には関係ないので説明は割愛します。
 以前書いた記事「命中・貫通・クリティカルの計算」の内容を覚えてくださっている方がいらっしゃれば、その方はそこの数字を面白いと思って下さる可能性があります。その可能性を考えて、ついでに載せたのでした。




 

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