2018年2月5日


「この間してくれた、あの話してよ。」

「あの話?」

「そう、あの面白い話。」

「ああ、いいよ。そんなに面白かった?」

「うん、そんなに面白かった。」

「あはは。そうかい。」


「はっはっはっ」

「なんなんだよそれ、何回聞いても面白いな。」

「もっかいしてやっても良いんだよ?」

「うん、してよ。」

「良いよ。」


「はっはっはっはっ」

「俺、こんな面白い話初めて聞いたかも。」

「嘘だな。何回聞いてんだよ。」


「やっぱりさ、人から聞いた話が一番面白いからさ。」

「この話お前の話じゃないのかよ。」

「違うよ。聞いたんだ、人から。」

「一気に冷めたな。」


「じゃあさ、この話をどっちが面白く話せるかやろうよ。」

「ちょうど俺も話す側になってみたかった頃だから良いよ。」

「よし、じゃあお前からやってよ。」

「なんでだよ。普通話し始めた方からだろ。」

「普通とかないからさ。」



こうして意味のあるようで意味のない会話をこの部屋で繰り広げていたらもう窓の外が明るかった。
今日もあいつは妙だった。
なんとも言いようがなく隙がない。
とことんない。
だから意識せずに気づけば突き落とされたり透かされたり驚かされたりする。
でも今更だが、その妙の会話に入り込んでいられる俺も結構妙なのかもしれない。

チャイムが鳴る。
頼んでいた得用ピーナッツがダンボールで届いた。

あいつとの日記2日目。


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