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逆さ吊り読書

朝起きた時腰が痛いことがこの歳になると増えてきた。 なのでリビングの横の空いているスペースに単管を組み立てて、足を引っ掛かる器具を買い、逆さ吊りになれる場所を作った。  
朝起きて逆さ吊りになり腰を伸ばすのが実に気持ちいい。

最初は2分ほどで頭がぼーっとしてきて眼球に血が集まり膨張する感覚が気持ち悪かったが、慣れてくると5分、10分とぶら下がり、コウモリのような気分になり、ありもしないつむじにセンサーがあるような気がして、下の階の住人の様子の観察に励んだ。

そのうち束の間のつむじ超音波で見るコウモリ的世界にも飽きて本を読むようなった。  

しかしいつも集中しきれない。 
なぜならメガネがずれた時に癖で下から上に押し上げようとするが、今は逆さ吊りになっているから、おでこから鼻に戻さないといけない。 
だからいつも中指を鼻からおでこに向けて空振りし、空振りした後の戻す手でクイっと引っ掛けて引き上げていた。  

こうすれば、「あっ、あの人いつもの癖で下から上にメガネをあげようとして空振りしたな。」なんて思われずに、むしろ「あっ、えらく逆さ吊りに慣れた上げ方をするんだな。手練れだな。」という印象を与えられる。

しかし今度は、新たな問題が出た。
本についているしおりの役目を果たすあの紐が、ブラブラと視界に入り込んで集中力を掻き乱すわ、読み終えて挟もうとしても落ちてくるわで読書に向き合え

出版社に電話したとしても、逆さ吊り読書家なんて変わり者のマイノリティの為に、あの紐の改良は行ってくれないだろう。

あらゆる便利グッズが揃っている100均でもさすがに流行る前の逆さ吊り読書家の為の便利グッズは置いてないだろうな。  

ホリエモンの動画だとこういうのを参入のチャンスと言っているが、、、いいや、これは違う、チャンスではない。NOだろう。

しかし、俺は逆さ吊りだ、上下逆だからノーならYESだ。


おかしくなってきた。 頭に血が登ってきた。 
つまり今の状態で言うなら下に降りてきて溜まってきた。


昨今は名付けてしまえば認められる節があるからとらあえず逆さ吊り読書と言っておこう。 
逆読ガールや逆女の登場も期待できる。

足の器具を緩め床の上に足で立つ。  

逆さ吊り読書。。  

語呂に引っ張られたのか、石井聰亙の逆噴射家族のタイトルがなぜか頭に浮かんだ。

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