根間弘海(1986)英語の発音演習のカセットの書評

簡単なカセットの書評。ただしプロソディ部分のみ。

全編GAのナレーターによる吹き込み。articulationが高すぎないのがリスニングの練習になって良さげ。ただし記号と読みが違う部分は``あらゆる``点で``相当``ある。…✳︎

渡辺先生の「英語のリズムとイントネーションの指導」「英語のリズムハンドブック」を読んで、「これ音声ついてないけど、音声的には実際どんな音声になるか聞きたい」という需要に応えられる音声。他の音声学の本の音声として提示されてないことが多いが本書には吹き込みがある項目以下。これは大きな付加価値。

強勢については、
・3語以上の複合語
・3語以上のVP,NP,APのリズムの作り方(「交替リズム」にも言及)
・複合関係詞の強勢
・2語以上の複合的な接続詞の強勢
・焦点化のための核配置
・対比強勢による強勢移動
・交替リズムを作るための強勢移動(語強勢だけでなく句強勢も)(stress clashを避ける
・交替リズムを作るため(stress lapseを防ぐための)の機能語の昇格(強形の仕様やアクセント付加)

イントネーションについては、アメリカ英語で提示されていることが貴重。
・いわゆる部分下降調(半下降調=下降平坦調)の説明と音声の提示あり。→表記が部分下降になっている部分の音声をWASPで音響的にピッチ曲線をいろいろ見たところ、核音調としての部分下降で表記されている部分の読みはほとんど下降上昇調であった。悲しい。
・下降平坦調と下降上昇調の密接な関係について述べられている
・聞き返し疑問文やplease repeat wh questionなどあり
・leading dependent elementは基本的に下降上昇調、下降平坦調で上昇調はなし。

牧野先生の「文レベルで徹底~」でしか音声学者が書いた本の付属音声では確認できなかった項目がかなり見られ貴重。(具体的には交替リズムと半下降調(部分下降調、下降平坦調)

✳︎もうこれについては、音声学やっていないネイティブが吹き込んでいる以上諦めるしかない気がする。結果として、この本含め、どんな音声学教材をやるにしろ、ファーストチョイスは音声学者及びそれに準じた人(イントネーションの理論をきちんと学んだ人)の吹き込みがある教材以外あり得ない。具体的には、ファンダメンタル音声学や、J.C.Wells(2006)、O &A、British English phonetic transcription,英会話のリズムとイントネーション、園田大志先生の「英語イントネーションの教科書」など

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