セレッソ大阪の前半戦を振り返る
セレサポの皆さん、お疲れ様です。
第19節ジュビロ磐田戦を終えてちょうどリーグ戦が一周したので、ここまでの前半戦を振り返りたいと思います。
具体的な数値を提示しながら…というわけではなく、雑感の書き殴りという感じです。文章ばかりです。
ここまでの戦績
J1リーグ戦:7位 7勝8分4敗 勝ち点29 得点26 失点21
ルヴァンカップ:プレーオフステージ敗退
天皇杯:3回戦進出
序盤戦
はるか遠い昔の出来事のようだが、序盤戦は開幕8戦負けなしで一時は首位にも立つなど、快進撃を見せた。
昨季、終盤戦では重苦しい閉塞感が漂いラスト8戦で1勝、その間わずか1得点。
一昨季も同じように終盤戦で苦労したことから、今季は果たして上手くいくのかという不安を持っていた方も多かったかもしれない。
自分もその一人。不安の方が大きかった。
が、キャンプ終盤、ボール保持の際に左SBの登里を中央に配置する形を試すとこれが見事にハマる。チームとして「開幕はこれで行くぞ」となったのだろう。
で、開幕戦ではその形で相手を圧倒。続く鹿島戦でも試合を支配。
結果こそついて来なかったものの、良い内容の試合が2つ続き、期待は膨らんだ。
そして第3節、東京ヴェルディを相手に今季初勝利を飾り、ようやく実を結ぶことに。
が、正直なところここから先は「我慢しながらなんとか勝つ」という試合がメインになっていく。本当に相手を圧倒していたのは開幕の3試合だけだったかもしれない。1試合1試合を全て記憶して全て分析したわけではないので、あくまでも個人的な「感覚」での話だが…。
それでも第4節サガン鳥栖戦、第5節湘南ベルマーレ戦、第7節アルビレックス新潟戦のように、それまでの3試合と比べたら我慢する時間が多かったものの、その我慢する時間をしっかりと我慢して、巡ってきたチャンスは逃さず決めて勝つような試合運びはお見事だったと思う。決して簡単にできることではない。
この後、第9節名古屋グランパス戦で今季初黒星を喫してしまうが、この試合自体はセレッソのやりたいことが出来ていたし、グランパスの方が耐えてワンチャンスをモノにするという展開だったので、決して悲観する内容ではなかった。多くのサポーターの方、そして選手や監督の中にも悲観的なムードはなかったのではないかと推測する。
だが第11節以降、目に見えて内容が悪化し、結果もついて来なくなる。
第11節コンサドーレ札幌戦では最下位に沈む相手に対し、なぜかこちらもバタバタとお付き合いしてしまい、乏しい試合内容で1-1。
第12節の大阪ダービーでは、スコアこそ0-1なものの衝撃的な惨敗を喫してしまう。ガンバを相手にまさに手も足も出ない、攻守ともに何も出来ない、90分間相手の術中にハマり続ける、思い出したくもないような惨敗だった。
不運なことに、ここで怪我人が二人も出てしまう。それもチームの肝である毎熊・登里の両SBが同時に離脱。踏んだり蹴ったりだ。
しかももっと最悪なことに、今最もJリーグで強力なチームであろうヴィッセル神戸、FC町田ゼルビアとこのタイミングでの連戦を迎えて、結果は連敗。ダービーと合わせたら3連敗となる。
徐々に対策され始めて、怪我人も出て、結果も出なくなる。
大幅な修正を入れるタイミングは、ここだという判断だったのかもしれない。
軌道修正
そこで迎えた第15節アビスパ福岡戦では、大きな変化を見せることとなる。
この試合では、それまで中央に絞る回数が多かったサイドバックは一転してサイドに張る頻度が増え、更に中盤では奥埜が下がり目・ブエノが上がり目の位置をハッキリと取り、陣形で言うと比較的オーソドックスな4231(非保持時442)のような形を見せた。
まずサイドバックの立ち位置。
これは、特に左SBが真ん中に立つのだけど真ん中に立ったとしても何か変化を起こせるわけでもなく、かえってSBが空けたスペースをカウンターで使われて苦労することが増えていた。
ならいっそ、普通の位置にというかあまり立ち位置を変えずにサイドに陣取ることで背中を取られる不安を少しでも取り除こうってことなんだと思う。
幸いにもこのとき主戦SBを務めていた舩木・奥田の両選手は内だろうが外だろうが問題なく対応できるし、復帰が近づいていた毎熊だって同じ。
変則的な立ち位置をとってもリターンが得られないのにリスクばかりが大きくなっていたので、この判断自体は妥当だと思う。
次にIHの立ち位置。
元々、登里が中盤に入って田中駿汰と横並びになることで、香川・奥埜の両IHが高い位置をキープでき、3トップの孤立を回避できるというのが序盤戦のセレッソの強みだった。
ただしそれは、IHが降りなくとも前線までボールを供給できる場合の話。
第10節前後から、やはり昨季までと同じように思ったようにボールが運べないからIHが動いてしまう、動いてボールを運べたらいいけどそれもなく、動いた結果3トップが孤立するという事態を招いていた。これを避けるために、誰かを最初から3トップに近い位置に立たせることにした。
大きかったのはブエノの存在。
ブエノは本質的にはIHの選手ではない。切り替えの部分や、IHとしてのポジショニングには課題のある選手。
だけど一方で得点には絡んでくる。シュートはもちろん決定的なパスだって出せる選手。これはブエノが香川や清武を明確に上回っている部分でもある。
というわけで、そんなブエノをより前に配置しゴール前で仕事をしてもらいつつ、後方はアンカー脇を使われたくないので奥埜と田中駿太のダブルボランチのような形に変えて、守備面を安定させようと。理屈としては分かるし、間違っていないと思う。
結果、アビスパ戦からは4231(あるいは442)と捉えられる布陣で戦い始めたセレッソ。
言い方を変えれば、キャンプから…いや昨季終盤から取り組んできた433を捨てた瞬間でもあった。
続くサンフレッチェ戦、サンガ戦、レッズ戦、ジュビロ戦と、同じ布陣で戦い無敗で乗り切っている。特にサンガ戦では積極的にロングボールを駆使し、アタッカーに勝負させる回数を増やそうと試みていた。レッズ戦の後半からはブエノに替えて上門を投入。ジュビロ戦でも上門が起用されるなど、若干の入れ替えも行われた。
だけど内容的には苦しい。そこは変わっていない。相変わらずボールは運べない。列は越えられないし、相手を動かすこともできない。セットプレーやスーパーゴールで得点を重ねて、なんとか勝ち点を積み重ねている状況。
見ている側としても5試合無敗という感覚は、あまり持てないのが正直なところ。
原点?
サイドバックの背中を取られると苦しいからサイドバックの立ち位置を修正した。
アンカー脇を使われると苦しいからダブルボランチへ修正した。
3トップの孤立を避けるためにトップ下のような役割の選手を配置した。
それぞれの意図は分かるし、妥当な対応。
ただどれもが対処療法みたいなもの。で、結局何をどうしたいのか。一つ一つ修正を加えて、最終的に何を目指しているのか。どこがゴールなのか。
僕はその部分があまり見えてこないなと感じている。いや、自分の見る目がないだけで本当はあるのかもしれない。100%言い切ることはできない。それは分かっているが、少なくとも今はまだそこまで理解が及ばない。
個人的には、上手くいかないことへの対処、相手によっての変化を作るがあまり、元々何をやっていたかが曖昧になってきたような感覚が出てきた。
そもそもの話、このチームにとっての「元々」とは何なのだろうか。小菊セレッソとはどんなチームなのだろうか。
原点みたいなものはあるのか。
元々は「442ブロックのハードワーク」なのだろうか。たしかに今はその路線に進みつつある。でもこの路線は昨季既に頭打ちではなかったか。だから昨季終盤から433でボール保持のところを頑張って取り組んでいたはずだ。
じゃあ433こそが原点?でも433で上手くいった時期はそれほど長くはないし、何度も断念してきた経緯がある。サイドバックが中に絞る形?それだってキャンプ終盤に急に出てきたものに過ぎない。
そう、序盤戦に上手くいった形だって、時間を掛けて仕込んだものではなかった。ただキャンプ終盤に試したら好感触だったというもの。
だから開幕3戦こそ相手が対応できなかった。情報としてセレッソはこんなことをしているぞという話は当然あっただろうが、実際にピッチで対面すると想像以上に厄介だったのだろう。
だけど時間を重ねれば相手は対策を練ってくる。真ん中を締めて外に誘導したら意外と苦労するというのもバレてしまった。すると、次の一手が打てずに頭打ちとなる。登里や奥埜、香川らが懸命にボールを引き出そうと動くものの、動きすぎて後ろ重心になり前線は孤立する。
チームとして「最初の立ち位置はこの形で」と決めるけど、そこから先がない。修正が行われる頻度だって少ない。
いつ、誰がどこに立って、誰がどこへ動いたら、代わりに他の誰かがこう動く、どこへボールを運びたいのか、そのためにどうするのか、というような設計はあまり見られなかった。個人個人がアドリブで何とかするしかない。これ昨季も同じだった。
結果、そこの部分の調整に苦戦し、違う布陣で戦うことへとシフトしていった。
普段サポの間でも「433か442か」みたいな議論をよく見かける。
個人的にはシステムなんて何でもいい、こんな数字の羅列は意味がないと思っている。
おそらくだけど小菊監督のやりたいことを実現しようと思ったら結果的に433のような立ち位置になるんだろう。小菊監督も決して433や442といった数字の羅列では捉えていないはずだ。
でも433だと色んなところでズレが生まれてしまう。そのズレを一つずつ解消していったら、今度は442みたいな立ち位置になる。それだけに過ぎないと思っている。433か442か?ではない。一つずつ整理していったら433になることもあるし、442になることもある。
でも、そんな442だからどこかでまたズレというか、手が届かない部分が出てくる。
そのときに、どうするのか。結局こっちでも行き詰まってきた過去がある。
また、これじゃダメだ!と433でボール保持の新しい仕組み作りにチャレンジするのか。
事情は理解するが、どうしても同じことを繰り返しているように思えてしまう。
そろそろ、ハードワークや強度以外に何か植え付けなきゃいけないのではないか。
今のところハードワークしかないから、何かが起きても選手個々が頑張るしかない状況に陥っている。選手個々の頑張りはもちろん必要なんだけど、それ以外に「チームとしてこういう試合がしたい」というものが、そろそろ明確に見えてこないといけないように思う。
どんなチームを目指しているのか
もし日頃の監督コメントを真に受けるとして、いつでも複数得点を取りに行くような攻撃的な試合運びをしたいのなら、ルヴァン町田戦の2ndレグくらい縦へ縦へ、そして前線に人数を掛けなくちゃいけないのではないか。
少し話は逸れるが、個人的にはあのルヴァン敗退は無駄じゃなかったと思っている。積極的に複数得点を狙いに行くのなら、あの2ndレグくらい攻めないといけない。ということが、分かった。これが収穫なんじゃないかなと。
いやでも実際はそうではなくて、普段のオープンになってるコメントはあくまでもパフォーマンスで、実際はもう少し手堅い試合を目指しているのなら、大枠は今のままで問題ないと思う。
だけど、手堅い試合をする中でも自分達はどうボールを運んでどう攻めていくのかという部分の整備はもっとやらなきゃいけない。
そこを軽視してしまうと、今のようにブラジル人アタッカーが何かを起こすかセットプレー以外、攻め手がなくなってしまう。
そして何より、まさに"そこ"が課題だと感じたから、昨季終盤から433に転じるなど違う形を模索していたはずだ。実際は手堅い試合からセットプレーを沈めますっていうチームを目指すのなら最初からその道を極めるべきだし、今もその道へと進んでいるだろう。別にポジショナルプレーやビルドアップやらだけが正義ではない。サッカーにはたくさんの戦術があって、そのどれを選ぶかは自由。優劣もない。
個人的に最も懸念しているのは、目指していることと、やっていることの乖離。
結果だけ見れば悪くないと思う。中位ではあるものの上との差は少ないし悲観する必要はない。ワンチャン、上位進出も狙える位置。
繰り返しになるが、もし試合を塩漬けにして相手のやりたいことをさせず、こちらはセットプレーでも何でもいいから1点もぎ取るっていうチームを目指しているのなら今の内容でも全く悪くない。
でも、どうしてもそういうチームを目指しているとは思えない。
本当は何か別のものを目指していて、でも残念ながらなかなか思ったような試合は出来なくて、結果的にしぶとく勝ち点を持ち帰るという流れになっているように感じてしまう。
思ったような試合が出来ないのにこの順位にいるのは本当に凄いことだと思う。
と思う一方で。
でも、本当にやりたいことはどこにあるのか。
それが出来ているのか、出来ていないのか。
その部分のズレはどうしても気になる。
なぜなら小菊セレッソは長いこと「やりたいこと」と「できること」のギャップに苦しんでいるチームだと思うからだ。ここが一致したことは過去一度もない。
できることはある。でもそれだけじゃ限界が来てしまうから、やりたいこと、やるべきだと思うことをとことん突き詰めよう。でもやっぱりできない、じゃあとりあえず今できることに専念しよう。
この繰り返し。3年間、全く同じことを繰り返している。
優勝を争うには、やりたいことをできるようにならないといけない。ここから逃げることはできない。妥協案で優勝を争えるほど甘くはないだろう。
後半戦、チームはどういう方向に舵を切るのか。
過去2年は、やりたいことを突き詰めようとしたけど結局それは叶わず、応急処置的に今できることを全面に押し出す方法でチームを軌道に乗せた。
が、残念ながらそれもシーズン途中で頭打ちとなってしまった。
今季はどうするのか。
やはり今できることに専念して、今季こそその部分で突き抜けるのか。
もし突き抜けることができたら、優勝争いも夢ではない位置にいると思う。
反対に、突き抜けることができなければ…また同じことを繰り返すかもしれない。
この先、進藤と登里という負傷さえなければレギュラーを務めているであろう選手が復帰してくる。
そのときに、チームはどの方向へ舵を切るのか。
今の路線でこの2人を組み込むことができるのか。
はたまた、違うチーム作りが始まるのか。
この2人の復帰のタイミングで、少なくともあと一回、セレッソはチームを作り替える必要に迫られると個人的には考えている。
ここが最後の勝負所だろう。
ここでどういうチームができるか。
上位を狙うぞというクラブの思惑がある中で、シーズン中に何度か大掛かりな変更を施す。果たしてそれはどうなのか?という思いはあるが、今のチームがその方向で突き進もうとしている以上、応援することしかできない。
最後に
兼ねてから僕は「小菊監督の本当にやりたいことを突き詰めてほしい。修正するにしてもあくまで大枠は変えず、今の枠組みの中で修正していってほしい」とnoteでも書いてきたけど、自分が間違っていたと思っている。
小菊監督はそういうタイプの監督ではないんだろう。良くも悪くも思い切って、変えていく。どんどん変える。
一方で、大枠は変えずその中での修正をするのはあまり得意ではない。修正はするけど大枠までも揺るがす修正を施す。だから2シーズン続けて、チームがシーズン中に大きく性格を変える。
今季もそうなるかもしれない。もう、開幕の頃と比べたら試合運びはかなり変化している。
そういうタイプの監督なのだとようやく理解した。
おそらくこの先も、チームが躓いたら大きく変化を加えるだろう。どうもチーム作りを足し算で考えている節があるので、小菊監督的には「今ある問題を対処するためにAをする、するとまた別の問題が出てくるのでそれに対応すべくBをする。するとチームはAもBも出来るようになる」という感じなのかもしれない。
だから容赦なく変更を加えられる。変更、というか、足し算だからだ。足し算的な考えでいくと納得がいく。
なら、それら全てがハマるのを、祈るしかない。
ハマって、長続きすることを祈る。
ハマって、長続きしたら、まだまだ優勝争いに加わることはできるはずだ。
よく小菊セレッソは「事前準備がハマるかハマらないか」と言われてきた。もしかしたらシーズンという長い目で考えても同じなのかもしれない。
今やってることが、いつまでどのくらいハマるかの勝負。上昇気流に乗りさえすれば、何が起こるかは分からない。
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