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セレッソ大阪 GW3連戦を終えて


セレサポの皆さん、昨日は雨の中で応援お疲れ様でした。

GW3連戦を終えて思ったことを色々書いていこうと思います。

サンフレッチェに力の差を見せつけられ、かと思えば苦しみながらもアウェイの大阪ダービーを制し歓喜、最後には雨中の戦いでアントラーズと戦い敗れるという、波瀾万丈なGWでした。

第10節 vsサンフレッチェ広島

因縁のサンフレッチェ

昨季、このチームとは色々ありました。

昨季4戦4敗という相性最悪の相手と言っても、敗戦の中身はそれぞれ違うパターンでしたし、いずれの試合も内容的には拮抗していたと思います。

広島のホームで行われたリーグ戦や、天皇杯の準々決勝ではセレッソの方が良い試合運びをしていたと感じました。
しかしスキッベ監督のベンチワークで、最後の最後で勝利を奪われてしまう。特に天皇杯の敗戦は、監督の差だと思っています。

ルヴァン決勝は、それまでの3敗を乗り越えてセレッソも非常によく戦ってくれたと思うのですが、最後ヨニッチが退場してしまったところでセレッソは厳しくなってしまい、大逆転負けを喫しました。

繰り返しますが、4戦4敗でもほとんどが僅差、そして内容的にも互角。

しかしこの試合では、大きく様相が異なりました。

圧倒するサンフレッチェ

前半だけで15本のシュートを浴びるというスタッツが表す通り、展開としてはサンフレッチェが圧倒していたと言って間違いないです。

まずサンフレッチェは前線のプレスが極めて精度高く、そして球際の攻防も激しい。
セレッソはサンフレの強度の高さに苦戦します。

まずサンフレッチェの特徴として、攻撃回数が多く敵陣PA侵入回数も多い。要は前プレでさっさとボールを奪って、そのままシュートに持ち込んでしまうのが彼らのパターン。

セレッソはこの試合、いつもの通りの433によるビルドアップを図ります。


広島のプレス。越道・東は中間ポジションから
SBへアプローチを掛ける。


サンフレッチェは前線の満田・ベンカリファ・森島がそれぞれ鳥海・原川・ヨニッチにマンツーでつく形。その後方では真司に川村、奥埜には野津田がこれまたマンツーマンでガッチリマーク。WBの越道・東はセレッソのSBをWGを両方見るようなポジションを取り、適宜SBへアプローチをかけてくる。為田・レオ・毎熊は塩谷・荒木・佐々木と数的同数ですが、このサンフレ3バックの対人の強さはご存知の通りで、数的同数といえども簡単に突破させてはくれません。

つまりセレッソは、ジンヒョン以外誰もスペースを与えてもらえていない状況。なので、ジンヒョンのミドルパスに頼る形でボールを前進させようとするものの、ボールが入った先でガッツリ潰されてしまいボールロスト。サンフレのショートカウンターを浴びる形で攻撃を受け続けることになります。

ちなみにこのサンフレッチェのプレスの掛け方は、昨年のルヴァン決勝とほとんど同じ形。

しかし今季のセレッソは昨季よりもハッキリとした433の陣形なので、モロにシステムが噛み合ってしまったも苦戦の原因の一つかなと思います。(昨季は433にも4132にもなる陣形だったので)

正直、前後半通じてサンフレッチェのやりたい放題に近い試合でした。
サンフレッチェの決定力不足と、あとはブロックを組むとセレッソも固いので、そこら辺の要因で辛うじて0-0で推移していたに過ぎません。

たしかに、「あそこまで耐えたなら最後も耐えてほしかった」「為田が決めてさえいれば」と言いたくなる気持ちは理解できるのですが、個人的にはどう見ても負け試合だったので、ショックの大きい時間帯の決勝点ではありましたが、納得せざるを得ない試合だったと思っています。もちろん、めちゃくちゃ悔しいですが…。

スコアこそ1-0と、昨季と同じく接戦とはなりましたが、内容を振り返ってみると昨季とは打って変わって手も足も出ない敗戦。私はこちらの方がショックでした。ここまで差がついたのか、と。

ポケットに侵入されての失点癖

最後の失点も、今季ここまで何度も見た「ポケット」に侵入を許しての失点でした。

ボールを奪って前に出ようとしたところを失って逆にカウンターを浴びる形で、誰も戻るのが間に合いませんでした。

セレッソはあのペナルティエリアの両端部分が、よく空きます。おそらく誰が見るのかハッキリしていないのでしょう。もしくは、決まってはいるけど、その前段階で見るべき人が釣り出されてしまっているか。

普段はあそこからマイナスに折り返されての失点パターンでしたが、今回はGKと DFの間にクロスを入れられての失点。
ちなみに、マイナスのエリアでは川村がしっかりとフリーで待ち構えていたので、要は「全く同じ失敗を繰り返している」ということです。

決勝点の場面。
陣形が崩れているとはいえ、マイナスもフリーです


これも、マイナスを誰が見るか、と言うかクロスに対して誰がどこを守るかの整理がされているのか疑問が残ります。ロティーナ時代の、クロスに対する正しいポジショニングは完全に失われていますね。ポケットを取られてマイナスがフリーというのを今季だけで3回か4回は見た気がします。

この試合でも65分に全く同じ、ポケットを取られてマイナスがフリーな場面がありました。(ドウグラス・ヴィエイラの落としを満田がシュートしましたが枠外でした)

65分の場面。
マイナスを誰も見れていない。


もっと言うとこの後のダービーでも同じパターンから失点します。

第11節 大阪ダービー

サンフレッチェに力の差を見せつけられる敗戦を喫してから中3日。相手は依然として苦しい戦いが続いているガンバ。大阪ダービーです。

苦労するビルドアップ

前半はほとんど何も起きることなく時間が過ぎていったと思っています。ネガティブな言い方になりますが、前半はどちらも良くなかった。

セレッソの保持時はいつも通りの433。これに対してガンバは、原川を宇佐美が、真司をダワンが、奥埜をネタラヴィがマンツーで捕まえてきます。そしてジェバリは鳥海へのパスコースを優先して消してきます。つまりヨニッチにボールを持たせようってことです。

ヨニッチにボールを誘導したら
あとはミスを待つのみ

ヨニッチはボールを持っても何かを起こせる選手ではなく、精度の低いロングボールを蹴るか、運べるだけ運ぶけど詰まって失うかの2択。ガンバはこれを狙っているんでしょう。

決してヨニッチがダメな選手と言いたいのではなく、彼の弱点をチームとして上手く隠してほしいところです。

結果、ビルドアップはこの試合も上手くはいきませんでした。今のセレッソは、中盤をマンツーマンで捕まえにこられると苦戦します。
以前にも書きましたが、空いているスペースへボールを運ぶのは上手いけど、スペースを作ることはできないのが今のセレッソ。マンツーで捕まえられるとスペースも何もなくなってしまうので、かなり苦労します。

個人的には、そんなに433の並びにこだわらなくてもいいのではないか?と思っています。

たとえば奥埜がネタラヴィに捕まっているのなら、思い切って最終ラインに落ちてCBと共に3バックを形成してみて、それでもネタラヴィがついてくるのかを見てみる、とか。

ついてこなければそこでボールが落ち着くし、ついてきたら今度は松田陸が奥埜のいたスペースに絞ってみて、ガンバはそこを誰に見させるのかを確認してみる、とか。

決して「3バック化すべきだ」とか「偽SBの動きを導入すべきだ」と言っているのではなく、こちらがどう動けば相手はどう動くのか、こちらがどう動けば相手のどこにスペースが生まれるのかを、ピッチの中で確認しながら試合を進めてほしいと思っています。

今は433でやると決めたら変更の指示がない限りは433をキープするので、一旦捕まえられたら捕まえられっぱなしなんですよね。

ちなみにこういった作業が上手だったのは、一昨季まで在籍した藤田直之でした。

以上のようにセレッソはボール保持で苦労していましたが、それ以上に苦労していたのがガンバ。

ガンバのボール保持に対してセレッソは前半、あまり前に出ず4141のミドルブロックを敷いていましたし、レオセアラもさほどキツくCBに対してプレッシャーには行かなかったので、ガンバのCBはかなり余裕を持ってボールを持つことができていました。

しかし多くの場面で、ガンバのCBはロングボールを選択していました。
正直この理由はよく分かりませんでした。
普通にボールは持てるはずなのに、なぜロングボールを蹴ってくるのか。
セレッソとしては大変助かりましたけどね。
ジェバリ目掛けて単調なロングボールを蹴ってくるだけなので、ヨニッチ・鳥海コンビで跳ね返せば解決。
なので前半はさほど怖い場面は作られませんでした。

セレッソ先制の場面

ビルドアップにはいつも通り苦労していましたが、先制点のシーンはセレッソがやりたいことが詰まっていたように思います。
左サイドからボールを前進させ、IHがサイドを変える。SBが余裕を持った状態でクロスを上げることができ、中でFWが合わせる。完璧な流れだったと思います。

セレッソの攻撃パターンはサイドから、そしてクロスから。今季のシュートのほとんどはクロスから生まれているというデータもあります。

Twitterで他の方も仰っていましたが、今のセレッソはSBから縦へ縦へと単調な攻撃をしてしまいがちなので、このケースのように山中から斜めのボールを差し込めるようになれば、サイド攻撃からもっと良い形が作れるようになるかもしれません。

あの場面のような組み立てを突き詰めていくことが出来ればいいですね。

流れが変わった後半

一転して後半はガンバが一方的に攻め立てる展開となりました。
理由は単純に、ロングボールを蹴るのをやめたからだと思います。(最初から蹴らせるなという話ですが)

CBの片方は必ずフリーになるのでそこから持ち出して、特に宇佐美・黒川・食野の左サイドでトライアングルを形成し、セレッソの右サイドを攻略してきます。

そして失点はまたしても、ポケットを取られてマイナスのクロス。

失点シーン。
奥埜が釣り出され、
原川はポジショニングが微妙
真司は戻り切れない
そしてマイナスはフリーに



今のセレッソを攻略するにはSBとCBの間を広げてそこへボールを送り込んでしまうのが最も手っ取り早いです。おそらくあそこは奥埜がカバーすべきエリアなんでしょうけど、奥埜はそれ以外にもたくさんの仕事を抱えているのでどうしても一歩遅れてしまいます。(試合終盤は疲労からさらに遅れてしまいます)

決して奥埜が悪いわけではないんです。仕事が多すぎる。

そして奥埜が釣り出されたとき、原川は漫然と立っているように見えるし、真司の戻りも甘い。

なのでもう少し全体のスライドの精度とスピード、カバーエリアの整理をしないと、この先も何度も何度も同じことを繰り返すかもしれません。

442へ、そして撃ち合いへ

同点に追いつかれ尚も苦しい展開のセレッソは後半23分、陸次樹・颯太を同時投入し442へとシステム変更します。

試合後コメントにもあるように、相手のCBへプレッシャーを強める狙いがあったのでしょう。ガンバの攻撃は全てCBで数的有利を作ったところから始まっていたので、そこを押さえてしまおう、と。そして、カウンターに出ていける人数を増やすための442。
最近の小菊監督は、苦しい場面では細部の微調整をするのではなく、撃ち合いへと持ち込む傾向にあります。
そしてこの試合では、最後の最後にそれが功を奏しました。

ただ危険な賭けでもあったと思っています。

これも小菊監督らしいなと思う点なのですが、ゲームをコントロールしつつ勝ち越し点を狙う、ダメでも引き分けなら最低限、という選択はしません。

引き分けるくらいなら、勝つか負けるかの撃ち合いを挑む。

ちなみにそれは、この試合がダービーだからということではなく、去年からそういう選択をすることが多いです。

昨年からボランチの控えをベンチに入れず、前線の選手を多数ベンチ入りさせることが何度もありましたが、それは撃ち合いを視野に入れての選択ではないかと思います。

良いか悪いかではなく、そういう監督だという話です。

さすがに3試合連続でボランチのベンチ入り0人というのは、個人的には大反対ですが・・・。

最後は進藤を投入して5バック。神ヒョンに助けられる場面もありながら何とか勝利しました。

第12節 vs鹿島アントラーズ

で、昨日行われた試合は残念ながら田ッカーになってしまい、あまり書くことがありません。笑

鹿島は強いですね。
彼らはどんなピッチコンディションでも、そこに適応する。シンプルにプレーし、シンプルに強くて高いFWにボールを送り込むだけ。

そして得点はセットプレー。

文句のつけようがない試合運びでした。

一方のセレッソは随所で普段通りのプレーをしようとしてしまい、なかなかリズムを掴めなかった印象。

相当な雨が降るであろうことは試合前から分かっていたはずなので、そこに対する準備含めて完敗だったと思います。

あのピッチコンディションではプレーするのが難しいことは理解していますが、実は昨年のGWもヨドコウでしかも雨、似たようなピッチコンディションでの鹿島戦に完敗しています。

条件は相手も同じなはずなのに、2年連続同じことを繰り返してしまったのはかなり悔しい結果です。

最後に、GW3連戦を終えて

最後にこのGW3連戦を終えて思ったこと感じたことを書いていきます。

試合で起用される選手数の減少

一番引っかかるのはコレです。
ここ最近、試合で使われる選手がどんどん減っているのがとても気になっています。
中3日で行われた3連戦、全て同じスタメン11人です。

このGWで3試合を戦ったJ1のチームで、3試合とも同じスタメンだったのはセレッソだけです。

しかもセレッソは、スタメンの平均年齢がJ1で一番高いというデータが出ています。
最も平均年齢の高いチームが、唯一3試合とも同じスタメンで戦ったわけです。

ちなみにベンチ入り7人含めた18人という枠で考えても、セレッソは広島戦・ガンバ戦は全く同じ18人の構成。
鹿島戦のみ、中原に替えてクルークスがベンチりしましたがそれ以外の17人はこれまた同じ構成。

つまりこの3連戦でベンチ入りしたのはたったの19人です。

良くない傾向だと思っています。

なぜそうなるのか?を考えると、「この11人じゃないと出来ない戦い方をしているから」だと思います。
毎熊のところに中原が入っても、為田のところに颯太が入っても、おそらく同じ戦い方は出来なくなる。
山中・舩木も同じです。

奥埜と真司に至っては代わりがいません。ゼロです。清武が復帰したら真司の代わりにはなるかもしれませんが、奥埜の代わりはおそらく出来ない。

Twitterでも何回か書きましたが、選手を入れ替えても同じ仕組みを同じクオリティで維持できるか、もしくは仕組みは変わるけどクオリティは落ちないかのいずれかでないと、層が厚いとは言えない。

今季は特に、チームの課題を根本的な部分を改善するのではなく、選手の組み合わせを変えることで解決してきました。

たとえば、ボールを失った際のポジショニングの悪さを突かれてカウンターを浴びるケースが多いですが、根本的に保持時のポジショニングを見直すのではなく、毎熊の切り替え時の強度や走力に頼ることでこれを一時的に解決しています。

だからクルークスが出られない。
カピシャーバも厳しいでしょう。
中原でも厳しいと思います。

「右サイドが出来る選手」はたくさんいるけれども、それでも毎熊しか使われない理由はこれが大きいと考えています。

シーズンが始まってすぐの頃、noteで「選手層は補強や故障等の数の増減抜きにして、シーズン中に厚くもなるし薄くもなる」と書きました。
今のセレッソはまさに日を追うごとに層が薄くなっていっています。

薄い、と言うと誤解を招くかもしれません。
駒の数そのものはありますからね。

言い方を変えると、起用できる選手の幅を自らの手でどんどん狭めていってる状態です。

結局、消耗上等のハイプレスサッカーで突っ走った昨季から、本質的な部分は何も変わっていない。

今も、「平均年齢高いチームで倒れるまで同じメンバーでやってもらおう」というスタイルです。

昨季の、倒れるまで走れ戦え前プレサッカーと、結局同じ場所に行き着いている気がします。

監督の求心力

という書き方をすると監督の求心力は大丈夫か?となりそうですが、これが全く問題なさそうなのが今のセレッソの凄いことろ。

というか小菊監督の真骨頂はここにあるかもしれませんね。

鹿島戦でもクルークスが久々に登場しましたが、集中力高く戦う姿勢は伝わってきました。なかなか出れない中でも準備を怠っていない証拠だと思います。

その他にも進藤や陸次樹など、途中出場がメインの選手も仕事はしっかりとこなしてくれています。

この辺の団結力というか、選手を同じ方向に向かせる力は小菊監督の手腕だと思います。

だからこそ、なんです。

だからこそ、もっと色んな選手を使ってほしい。
小菊監督の下でなら、きっと全員が闘う準備が出来ているはず。
だから色んな選手が活躍できるような戦い方や、各々の役割を見つけてあげてほしい。

そう強く願っています。

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