新百寿人(しんびゃくじゅびと)第1話

鈴木明寿(すずきあきとし)は【新百寿人】として生まれ変わり、第二の人生を歩むことになった。しかし、彼には今まで生きてきた記憶が残っていた。
【新百寿人】とは、100歳の誕生日を迎えた深夜、彼らの身体が突如、10代後半の身体に変化してしまう現象のことだ。21○○年、超高齢社会が生み出した人類は新たな進化を遂げた。彼らは若い身体を手に入れる代償に今までの記憶を失った。政府は彼らを【新百寿人】として新たな戸籍を与えて保護することにした。

第二の生活を始めることになり、明寿には「白石流星(しらいしりゅうせい)という新たな名前が与えられる。記憶を持ちながら、明寿は自分の身に起きたことを受け入れて二回目の高校生活を送っていく。

妻に似た先輩、自分の娘にそっくりな副担任、【新百寿人】に強い執着を見せるクラスメイト。明寿の周りの人間が明寿の第二の人生を大きく変えていく。明寿は第二の人生を謳歌することが出来るだろうか。

第1話【新白寿人」

「100歳の高齢女性、突然若返る」

 このニュースが報じられたのは今から10年ほど前のことだ。日本では平均寿命が100歳近くまで伸び、超高齢社会に突入していた。少子化も進み、人類は新たな進化を遂げた。

 21○○年、特別老人ホームに入所していた女性が100歳の誕生日を迎えた。しかし、女性の誕生日が祝われることはなかった。女性は誕生日当日、突如として10代後半くらいの姿に変貌していた。

 朝、職員が女性を起こしに部屋に入ったら、ベッドに見知らぬ若い女性が横たわっていたので慌てて警察を呼んで大騒ぎとなった。

 その日を境に、高齢者施設で同様の出来事が相次いで起きるようになった。さらには、一般家庭で暮らしている高齢者にも被害が及んだ。いずれも100歳の誕生日を控えた高齢者だった。

 彼らは、100歳の誕生日を高齢者の姿で迎えることはなかった。100歳の誕生日の当日は、10代後半の若返った姿になっていた。

「ここはどこだね。私の名前は……」

 そして、10代後半の身体に変化した彼らは、今までの記憶が抜け落ちていた。

100歳を迎えることなく、突然若返ってしまった彼らを政府は手厚く保護した。彼らに介護の必要はない。記憶は失われているが生活することに支障はなかった。

「彼らには新たな戸籍を与えることにする」

 記憶を失った彼らの元の戸籍は死亡扱いにして、政府は彼らに新たな戸籍を与えることにした。彼らは政府が用意した専用の施設で共同生活を送ることになった。

 こうして、日本では100歳の誕生日を高齢者の姿で迎える人間はいなくなった。

【新百寿人(しんびゃくじゅびと)】

 若返った彼らを人々はいつしかこう呼ぶようになった。現在も毎日のように100歳の誕生日を迎え、若返る高齢者は増え続けていた。



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