#26 それでも夏はやってくる
ついに北の大地にも夏がやってきた。これは決して良いことではない。おじさんは夏を憎んでいる。夏も、なぜ憎むのかと問いただすことはできないであろう。昨今の夏には憎まれる要因がありすぎる。平たく言ってしまえば暑すぎるからである。
おじさんは暑さに弱い。これは北の民であることとは無関係である。体重が半分だったことからずっと寒さに強く暑さに弱いため、肥満だから暑いのではと邪推する愚者は干潮時の砂浜に首だけ出して埋めておくことにする。おじさんがおじさんでなかったはるか昔から、最低気温が20℃を超えたあたりでおじさんの肉体は悲鳴を上げ始め、7~8月にはほぼ意識を失っている。毎年どうやって夏を乗り切ったのか記憶にない。汗をかいて体が冷えるので湯船に浸かるのだが、油断して長時間入浴していると、骨からトロトロの肉が剥がれ落ちる。これには馬鹿タレントにも「すご~い箸で切れる~」と評判である。おそらくモンドセレクションで金賞を受賞している。
夏ダイエット
おじさんは冬にダイエットを始めたのだが、夏はダイエットに向いていないのだという。気温が低いとカロリーを消費して産熱するので基礎代謝が上がりダイエットの助けになる。夏はそのぶん損なのである。夏のほうが汗をかきやすくて痩せそうなものだが、あれはただ水分が出ていくだけで全く痩せないらしい。運動するにも暑くて辛いし、特に外出を伴うと熱中症の恐れがある。電気代が上がる昨今、夏は忌々しさを増すばかりである。氷菓も食べられない夏の空虚は、湿気とともにおじさんに重くのしかかる。憂鬱。
リバウンド以降、運動は欠かさずしている。摂取カロリーもオーバーはしていない。しかしやっぱりなかなか痩せない。だとすればどちらか或いはどちらも足りないのである。運動量は踏み台昇降を60~90分(500~700kcal)、カロリー制限は基準マイナス200kcal程度。足りない。仮にこの数字がストレートに反映されていれば1日900kcal、30日で27000kcalの消費。1kgの脂肪が7200kcalとされているので3.7kg減量されることになる。もちろん、実際はここまでストイックではないので、最善でも-2.5kgだろう。
ダイエットには常にこういった気持ちがある。
「こんなにやってこれっぽちかよ」!
世間一般には-2.5kgは大したものだと思うが、おじさんは90kgオーバーの怪物であるからして、この道の果てしなさを感じる。理想は2ヶ月で10kgグングン痩せていくことだが、そんな不健康そうなダイエットは怖いし、なにより辛すぎるのは絶対に諦める。なぜなら美味しいご飯が好きだから。肥満故に身の程を知っているのである。辛さは控えめで、-500gでもいいから毎月コンスタントに体重を下げていきたい。
運動量を増やすのは非常にかったるいので、なんとか美味しさを下げずにカロリーを下げるメニューを探している。このまま一生探しているような予感がする。
おじさんの酢キャベツ
材料(3~4食分)
キャベツ 半玉
寿司酢 200ml
作り方
1.キャベツを千切りにする。
2.保存袋にキャベツと酢を入れ、空気を抜いて半日以上冷蔵庫で漬ける。
3.食べる。
酢キャベツについて
おじさんもついにこんなものを食べるようになってしまった。好んで食べる人には悪いが酢キャベツは「こんなもの」である。これを食べる人間は食事の楽しみを捨てている、捨てている故に食べるのだと。楽しみより健康や減量を欲してしまっているから、こんな短絡的なものを食べるのである。
なんでも、食前に小鉢1杯の酢キャベツを食べると減量に良いらしい。おじさんは1週間試してみたが、ムリだ。続けられない。最初に酢キャベツが口をキュッと締め上げてしまう。こんなに食欲減退効果があるとは。酢キャベツは地獄の門だ。今後の食事すべての喜びを捨てた気分だ。
お勧めはしない。効きそうだけど。すべての喜びを捨てたらどうぞ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?