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新しい詩「花園」



『花園』



あなたと
あなたのお母さまのことは
わたくし よく存じておりますの
あなたのお母さまが
病床にあるとき
あなたが お母さまの手を取り
それは それは
優しく 撫でていたことを
あなたのお母さまは
それを命としてらした
あなたは それを
快感に 感じた
否定してはいけません
あなたは お母さまの命が
自らの手のうちにあることを
快感に感じていた
まるで 花びらを
一枚 一枚
撫でるように
めしべを
一本 一本
もてあそぶように
あなたは お母さまの指を
もてあそんだ
あなたのお母さまが
こときれたのは
満足したから
お父さまから 得られなかった
蜜を あなたから得たから
だから
花は実を結び
散ったのです
わたくしは 知っています
それが どんなに甘味なひとときであったか
あなたと あなたのお母さまが
どんな 花園のなかにいたか
知っています 知っています
知っています
わたくしは あなたのお母さまを
おうらみもうしあげます











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