紫紺野牡丹１

シコンノボタン

すくすくと育って
私の腰のあたりまで
伸びたころ
紫の花が開いた

朝の庭には
きのうの蕾が
しゃんと５弁を広げて
陽を浴びている

葉の上や地面の上には
鮮やかな色のままの
きのうの花が散り散りに
留まっている

雨上がりの庭に出ると
散らばった花びらの１つ１つが
雨滴を抱えて
輝いていた

まもなく消えてしまう
紫の雫のデザインは
かけがえのない記憶
過ぎ去った時間への慈しみ