不純探偵交遊
(806文字)
刑事アスカ「困ったわ。関係者全員が集合するまでもう時間がないのに…」
探偵ゴトー「考えよう。犯人は煙草屋エンドーで間違い無いんだから、なにかきっと、彼を糾弾する方法はあるはずだよ」
刑事アスカ「ええ、そうね。考えるしかないわね。ああ、でも、やっぱりはやまったかしら…。村長ササカワじゃなくって煙草屋エンドーが犯人だってわかった時点で、落ち着いてもっと証拠集めをするべきだったわ」
探偵ゴトー「しょうがないよ。あの時はああすることがベストチョイスだったんだ。君はまったくしくじってはいないよ。…うん、よし。じゃあ、こうしよう。ササカワとエンドーが共犯ということにしよう」
刑事アスカ「ええ!?そんな…。事実を曲げることになるじゃない!」
探偵ゴトー「そうだけど、でも、考えてみてくれ。その方が物語としてキレイにまとまるんだよ。絶対にみんな納得する。意外かつ妥当な結末だ。謎解きで大事なのは、驚きと納得なんだ。それに、村長ササカワは『自分が犯人じゃない』という証拠を出すことなんてできないはずだよ」
刑事アスカ「そう…、そうね。意外で妥当な結末なら、誰にも文句は言われないわね。ササカワとエンドーの共犯じゃなくてエンドーの単独犯だったなんて、本人たち以外はわかりっこないわ」
探偵ゴトー「そうだろう。大事なのは真実じゃあない。オーディエンスのサプライズを伴うコミットメント、そしてそのコンセンサスなんだよ」
刑事アスカ「ああ、やっぱり貴方ってステキ。いつも私を導いてくれるわ。私たちがそろえば、迷宮入り事件なんて起きないわね」
探偵ゴトー「よし。じゃあ、急ピッチで台詞を考えよう。時間はないけど大丈夫。僕と君なら、アドリブでも結末まで持っていけるさ。こんな時のために、普段から反目しているフリをしてきたんだから!」
助手カナコ「ちょっとあなたたち!何をそんなイケナイことしようとしてるの!!」
刑事アスカ・探偵ゴトー「僕たちは真剣です!」
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