初めの一歩 medical terminology part1
今回からちょくちょく医療英語の記事を出していこうと思います。医療系学生や実臨床で働いている医療従事者、海外へ医学・看護留学を考えている方々への知識向上になればと思います。また、これを書いている自分自身も客観的に知識の再確認にもつながるかなと思いますので一緒に頑張っていきましょう!今回は複雑で長くなりがちな医療英語を覚えやすくするために、単語の各要素について解説していきます。
語根(root)
・医療英語、一般英語に限らず、単語の意味の根幹に当たるもの
→語根に接頭辞や接尾辞がつくことで方向や品詞、状態などの情報を追加することができます
・具体例
cision:in/cision(切開), ex/cision(切除), circum/cision(環状切開)
fix: fix/action(固定)
tonsil: tonsil/itis(扁桃炎), tonsil/ectomy(扁桃腺摘出術)
複合語(compound)
・2つ以上の語根が組み合わさって1つの単語になっているもの
・多くが『連結形+語根+接尾辞』の組合わせになっています
・具体例
over/dosage: 過剰投与
cow/pox:牛痘←牛がかかる天然痘
連結語(combining form):語根+母音
・複合語を構成する要素に連結形がある
・具体例
Cardi/o/graph/y:心拍記録
↳cardiac + graphを母音の『o』でつないでいます
Micr/o/scope:顕微鏡
Hydr/o/meter:(液体)比重計
接尾辞(suffix)
・単語の末尾に置かれる要素
・具体例
-er: absorb/er(吸収体)
-able: transplant/able(移植可能な)
接尾辞(prefix)
・単語の冒頭に置かれる要素
・具体例
extra-: extra/cellular(細胞外の)
hemi-: hemi/anopsia:半盲
↳hemi:半分を意味するためanopsiaは『全盲』
一口メモ
半盲なんて使うか?と思われるかもしれませんが、下垂体腫瘍やこの周囲での出血による血腫圧迫などによって視交叉が障害を受けると両耳側半盲(bipolar hemianopia)を生じます
各種要素については以上となりますが、『これがどこで使えるねん!』と思ったそこのあなた!
自分自身、SCUに最初配属されていたこともあり、脳血管においては前方循環・後方循環、脳組織の各種部位を覚えることが大変でした。略語だらけでどうにかして楽ができないかな?と思ったときにこういったmedical terminologyを覚えることで負荷をかけつつも後に楽になることに気づきました。では実際に脳血管で考えていきましょう。
脳血管での具体例
<脳循環の解剖>
【循環系】
・ICA(internal carotid artery)系=前方循環系
頭蓋腔の内に分布する動脈(ACA,MCA,ICA etc)
・VA(vertebral artery)系=後方循環系
頭蓋腔の外に分布する動脈(PCA,VA,BA etc)
【脳血管と方向】
・anterior=front
・middle
・posterior=back
・basilar=bottom
・external=outside
・internal=inside
※一口メモ
2本のACA間を連絡する血管が『前交通動脈(a-com: artier communication artery)』
前方循環系、後方循環系を連絡する血管が「後交通動脈(p-com: posterior communication artery)」
→正確にはP-com自体はICAとPCAを接続します。このICAとP-com分岐部に動脈瘤が形成されてクモ膜下出血(SAH)を生じるのがIC-PC SAHです。ちなみにA-comも動脈瘤形成の好発部位に当たります。
参考文献
・「トシ、一週間であなたの医療英語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ」 田淵 アントニオ