デリーでホームステイ②

成田空港で、チェックインカウンターに並んでいる時から、インドに飲み込まれ始めた。
前に並んでいるのは、色鮮やかなサリーに身を包んだ女性達。
後ろには半肩出してる仙人風のおじいさん。
おそらく一帯には既に独特のスパイシーな香りが立ち込めていたに違いない。

無職だった自分が定めた期間は1ヶ月。
デリーを皮切りに、地図上向かって反時計回りに一周して帰ってこようと目論んでいた。
機内では、地球の歩き方を熟読し、大まかなプランを立てた。とにかくお腹を壊さないように。怪しいタクシーに乗らないように。気をつけなければいけない事がたくさんある。

デリー到着は夜21時過ぎだった。
荷物を回収し、到着ゲートに出ると、ぎょっとする程の人の数。
粘着質の洗礼の様な視線をくぐり抜けた矢先に、私の名前がアルファベットで書かれた小さめなダンボールを頭上に掲げた男性を見つけた。

日本で連絡を取り合っていたラージーは、目つきが鋭く、頭の回転が早そうな顔つきの40代頃の男性だった。

彼の車で市街地へ。
車内の蚊よけの強いミントの臭い、パンジャブというインドの音楽を聴きながら、舗装されていない道路に揺られる。

持ち込んだ装備は軽め。世のバックパッカーの人々が背負っている、機能性が追求されたアウトドアブランドのバックパックではなく、家にあった大きめのリュック、に着替え、胃腸薬、地球の歩き方インドを詰め込む。御守りはリュックの底を支えているトイレットペーパー2ロール。

インドに来た。
ラージーの家には数日滞在させてもらう予定だ。




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