雨の日の安全対策

雨の日の安全対策 

「店長、おはようございます」
「あーーー、加藤さん、おはようございます」
「店長、暗いですね、声が」
「いやー、参りました」
 青山店長のヨコシマスーパーでは、昨日、お客様が、店頭で転んで腰を打ってしまい、救急車を呼ぶ事になってしまったのです。
 昨日は雨が降っていて、傘から落ちたしずくがたまって、その上で滑ってしまったみたいです。お客様の転倒事故は、年間数回は発生してしまうのですけど、救急車を呼ぶのは、本当に久しぶりです。
 転ばれた方が、高齢者の女性の方だったので、このまま寝たきりにならなきゃいいのですが。
 ヨコシマスーパーでは、雨の日以外は、カートを外に並べていますが、雨の日は、カートがぬれてしまうので、店頭のぬれないところに置いています。
 ただでさえ店頭が狭いところに、傘を袋に入れる方が行列になり、その場所に、雨がたれてしまって、水たまりが出来、滑ってしまったようです。
 店頭には、雨の日用の大きなマットを引いていたのですが、そのマットに乗る前のところで転んでしまったようです。
 転んでからの対応は、転ばれた所を、お菓子屋さんの従業員の方が見ていて、直ぐに声をかけ対応したので、よかったのですが、なんとか、転倒事故は、起きない様にしたいものです。
 飲食店、スーパー、食品工場での労災、事故で一番多いのが、転倒事故になります。
 転倒事故を防ぐためには、段差がある場合には、段差がわかりやすいように、色を付けること、床が濡れている時には、拭き上げる事、作業靴の裏の滑り止めのすり減りを確認し、靴底がすり減っている場合は、直ぐに交換することが必要です。
 今回の転ばれたお客様は、靴底に滑り止めの無い、スリッパ状の物を履かれていたのも、転ばれた原因の一つになります。
 高齢者の方は、サンダル状の物では無く、きちんとした靴を履くことが必要なのです。
 ヨコシマスーパーでは、階段には、黄色い色を付け、目立つようにしていました。
 売り場でも、島陳列用の冷蔵庫に必要な電線は床を這わすこと無く、足が引っかかることを防いでいます。
 惣菜厨房からの出口も、一時期は、マットを引いていたのですが、お客様が、足を引っかける恐れがあるので、売り場にはマットを引かないようにしていました。
 青山店長のお店ではないのですが、他のお店で、買い物かごを入れておく、台車につまずいて転んだお客様がいたのです。この時、たまたま、買い物かごを回収したときに、すべてのかごを回収し、台車だけが、サッカー台のそばに置かれていて、台に気がつかないお客様が、台の中に足を入れてしまって、転んでしまったのです。
 幸い転ばれた方は、大きな怪我は無かったのですが、店内は、大騒ぎになってしまいました。ヨコシマスーパーのルールでは、買い物かごを入れる台車は、台車だけで置くこと無く、最低、一個のかごを入れておく約束でした。買い物かごが入っていないと、目にとまらない可能性があるからです。
 たまたま、事故当日から働き始めた、シルバーの方が、すべてのかごを集めてしまったのです。その集める所を見ていた他の従業員も声をかける事をしなかったのが現実でした。
 階段を降りる時に転ぶ事を防ぐためには、必ず手すりを持ちながら降りることです。
 しかし、階段を降りるときに、手すりを持って降りる方は非常に少ない物です。
 そもそも、両手に鞄を持った状態、両手で段ボールを持った状態で階段を降りている方もいるのが、日常です。
 私自身も、外資系の企業で働き出したときに、周りの方が、みなさんリックを背おって、出勤してくるのです。「リックじゃなきゃだめなんですか」と質問したところ、転んだときに、手が空いていないと、大きな怪我をしてしまうから。と言う答えが返ってきました。
 私も、それからは、荷物はリックにして、両手を空けて歩くようにしています。
 小学生の通学風景を見ていると、せっかく、両手があくランドセルを背をっているのに、更に、両手に体操着などを持っているのが、非常に気になります。
 更に、名札などを首から提げているのも気になります。
 日本の食品工場では、指摘された事は無いのですが、アメリカの食品工場で、ネクタイをしたまま、作業場に入ろうとすると、「ネクタイは外しなさい、もし、ネクタイが、機械に挟まってしまうと、首が絞まってしまうから」と注意されました。
 確かに、渡された名札の紐は、強く引っ張ると切れるタイプの物でした。
 小学生の名札が、ジャングルジムに引っかかってしまい、首が絞まる事故になったなどと言う、事故を聞きます。過去に発生した事故から何を学んで、日常に生かすかが大切です。
 雨の日に、マットを引き、水たまりを見つけたら、直ぐにコーンを置き、直ぐにモップをかけること、モップをかけるまでは、最優先で、その場に立って、お客様に注意喚起することを、青山店長は徹底したのです。

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