防火対策 

防火対策 

「加藤さんおはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、アメリカでの仕事の時は、防火についても学んだんですか」
「店長、もちろんです。怪我よりも火事でのやけどは、大変な傷跡が残るし、自分の家が燃えてしまうと、保険では保証出来ないいろいろな物がなくなってしまうから、防火が一番やらなければならない事だとおもいますね」
「今度、モール全体の勉強会で、防火について、話してもらえますか」
 ヨコシマスーパーのあるモールでは、喫茶店、ドラッグストア、イタリアン、うどん屋さんなど飲食店などを含めて、様々なお店があります。
 新潟で発生した大きな死者のでた火災を受けて、モール全体で、防火について勉強会をしようと言うことになり、アメリカのスーパーで、ロスプリベンションを学んだ、加藤さんに講師を依頼したのでした。
 日本の小売り、レストランでは、法律上必要が無ければ、スプリンクラーの設置をすることはなく、消防の査察が入らなければ、非常口、避難経路に商品の在庫を置いておくなどの防火意識の低いところを多く目にすることが出来ます。
 加藤さんは、多くを求めても実行しないので、今回は、避難経路の確保、消火器の定位置化、フライヤーの天かすの処理、延長コードの点検の4点に絞って、伝える事にしました。
 火災が起きた時の避難経路は、スーパー、飲食店の場合は、目についた所から、逃げることになります。スーパーの売り場で火災が起きて、出口にお客様が集中して逃げたと考えて見てください。出口、すなわち、スーパーの入り口に、カート、かごなどが置かれていませんか。カートに逃げる方がぶつかり、カート、かごが散乱してしまうと、逃げることが困難になってしまう可能性があります。
 入り口にカートをまとめて置くことを止めることが、避難経路確保の第一歩です。
 逃げられる方向は、二方向あるかの確認が必要です、バックヤード側からも、逃げることが出来るように、在庫商品をためることなく、避難経路分は、確保しておく事が大切です。
 消火器は、もし、消火器が動かされたときに、消火器が無いことが誰でもがわかるように、消火器を置いておかなければならないところの壁、天井に、「消火器」の表示をすることにしました。消火器を載せる台に乗せておかれている場合は、載せている台ごと、移動させてしまうと、消火器が定位置になくても気がつかなくなってしまいます。
 本来は設置する必要の無い、玄関、出入り口の売り場に消火器を追加することを勧めました。レストランなどは、レジそばの入り口に一本追加するように話したのです。
 人間が火を見ると、本能的に逃げてしまうので、逃げて、出口まで来て、消火器を持って、消火出来るなら、消火するようにするためです。更に、悪意を持った方が、出入り口に火をつけたとしても対応が出来るからです。
 フライヤーから出る天かすなどを捨てるときは、そのまま捨てる事無く、必ず、氷を乗せて内部まで完全に冷えてから捨てるか、水をかけて捨てる事を伝えました。
 最後に、家庭用の電気延長ケーブルの使用を禁止したのです。
 多くの質問が出ましたが、そもそも、延長ケーブルを、壁などにステップルなどで止めることは避けるべきです。電気工事などで使用する電線と、家庭用の延長ケーブルは、使用している電線が違うので、壁に打ち付けてしまうと、そこから発熱してしまう可能性があるのです。
 まして、雨の当たるところで使用する、ドアに挟んで使用することも避けるべきです。
 家庭用の延長ケーブルは、寿命が5年程度になります。
 加藤さんは、5年以上使用している延長コードは、まず交換し、たこ足配線になっているところは、正式な電気工事をすることを勧めました。
 長すぎる延長ケーブルをまとめて縛っている場合もありますが、縛ることで、発熱する場合があります。
 コンセントに刺したままになっている所に埃がたまってしまうと、発火する場合があります。盆暮れなど、時期を決めて、コンセント周りを清掃することが大切です。
 まず、家庭用の延長コードの使用を止めて、必要ならコンセントを増設することを強く話したのです。
 携帯電話の充電コードなどでも、事業所によっては、十台以上の充電器を設置する必要があります。コンセントから安易に延長コードでたこ足配線で充電器を使用していませんか。
 レストランのレジ周りなどで、電線が束になって、ドアに挟まっていませんか。
 携帯電話の充電器も専用のコンセントから一台ずつ配線して使用することが必要です。
 携帯電話の充電する場所でも、業務用であれば、机一つが必要になるかもしれません。
 家庭用の延長コードの安易な使用を止める、常時避難経路を確保しておく、フライヤーから出る天かす等の処理をきちんと行う、そして、消火器は定位置に置き、常に目に付くところに消火器がある状態を作り出す事が、防火の第一歩になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?