フードロスを無くするために

フードロスを無くするために

「加藤さんおはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、最近お客様とよく話すのだけど、ラジオで、牛乳が何トン、豆腐が何トン廃棄されているってコマーシャルが流れているみたいですね」
「私は、直接聞いたことは無いけど、年間の廃棄数量を言っているみたいですね」
「加藤さん、今度は、食べられずに廃棄になっている数量を減らすことを考えたいんだけど、手伝ってくれる」
「もちろんです

 ヨコシマスーパーでは、廃棄する商品は、細かく記録を付けるようにしていたので、まずは、毎日の日報に廃棄数量の総量を付けるようにしたのです。今までは、廃棄金額を付けていたのですが、やはり量を減らすと言うことで、総量を付けるようにしたのです。
 また、ここ数年は、子供食堂と連携していて、野菜、果物などの、見切り品は、子供食堂に持って行っていたので、ほとんど廃棄は無かったのです。
 子供食堂には、晩ご飯に間に合うように、前日からの見切り販売の物は、昼まで販売し、売れ残った物は、すべて、届けるようにしていたのです。
 生鮮部門の青果部門は、見切り販売と子ども食堂で、ほとんど廃棄にいたる物は、ゼロになっていたのです。
 鮮魚部門は、消費期限、当日の朝で値引きをし、消費期限当日の昼過ぎには、更に値引きを行い、夕方には、お買い得コーナーでほとんど売り切っていたのです。
 生魚は、なるべく、パックせずに、鮮度のいいときには、一匹まるごと販売し、翌日には、三枚などに下ろし、パックして販売し、一度パックした物は、売り切るようにしていたのです。
 大量に同じ魚が安く仕入れる事が出来たときは、あじフライなどにして販売していました。あじフライにすると、普段魚を買わない方が、購入するようになるので、鮮魚部門の課題としては、仕入れ量をもっと増やし、生魚から加工した、惣菜をもっと計画的に増やす事でした。
 しかし、魚は、季節、天候によって仕入れ額、仕入れ量が変わってしまうので、惣菜にいかに効率的に加工するかが、課題になっていたのです。
 生魚を処理して、当日売り切れないときは、凍結することが出来ればいいのですが、店舗には、限られた凍結庫しか無いため、鯵などが大量に安価に仕入れることが出来ても、仕入れを躊躇することが多かったのです。もし、大量に仕入れることが出来て、生魚を処理し、鯵フライにすることが出来れば、お客様にも、美味しくて安い惣菜を提供出来る事が出来ていたのです。
 青山店長は、魚を処理出来る方を増やす事を考えました。幸い、鮮魚の厨房は、まだまだゆとりがあったので、大量に生魚を仕入れることが出来たときには、午前中に、処理する方を投入したのです。普段は、加工品の品だし、鮮度チェック等をしている方にも、魚の処理、三枚に下ろす等が出来るように、教育したのです。
 元々、スーパーで働いている方は、主婦の方が多いので、教育しなくても、出来る方がいたのですが、商売物にするには、出来ないと断っている方もいたのです。
 しかし、よく切れる包丁を用意して、十分な広さのまな板と、目の前から出てくる水道、はらわたなどは、直ぐ下に入れるところ、そして、作業着、前掛けなどをきちんと準備することで、かなりのスピードで処理することが出来たのです。
 青山店長は、鮮魚、畜産部門で包丁を取り扱う方には、時間外であれば、家庭の包丁を持ち込んで、研ぐことを認めたのです。
 更に時間内でも、自分で購入した、生魚、ブロック肉を加工することも、認めたのです。
 仕事として、よく切れる包丁を使用すると、「こんなに簡単に処理できるんだ」、「力を込めなくても切れるんだね」と感想を持つ方がほとんどです。
 しかも、自分の包丁を準備してくれて、包丁の研ぎ方もきちんと教え、切れないときには、指導者がきちんと教える事にしたのです。
 フードロスを無くする取り組みのはずが、鮮魚部門は、美味しい物を、美味しい内に、素早く届けるための取り組みが出来てしまったのです。
 包丁の研ぎ方も、魚の処理のしかたも、動画でマニュアルを作成し、ヨコシマスーパーのサーバーにアップし、家庭などから、どこからでもスマホなどで学べる環境にしたのです。
 しかし、一番よかったのは、近くで作業している、鮮魚なら鮮魚の担当者が、気になった作業をしているときに、自分の作業を止めて、教えてくれる環境作りでした。
 日常的には、ソフトドリンクを品だししている方が、包丁を握るのですから、忘れているところ、自己流のところが、必ずあるはずです。そのときに、自分の作業を止めてまで、指導してくれる環境が大切なのです。
 多くのスーパーでは、レジが混んで来ると、いつもは、品出ししている方などが、レジの応援に入ります。普通のレジ操作ができても、商品券、サービス券などを、お客様が出されると、操作に迷ってしまう方が出てきます。操作に困った時に、お店によっては、困っている方を放置しているお店があります。お客様の冷たい目に我慢するか、近くの方が直ぐに教えてくれるかが大きな差になってきます。
 大切なのは、成長する手助けを近くの方が、直ぐに指導してくれて、褒めてくれて、充実した時間を送れる事です。

あくまでも、空想のお話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?