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アーユルヴェーダ・リトリート in スリランカ 10

施術開始後3日目の夕方4時からは、無料のクッキングクラスが予定されていた。
何を作るのか、単純に楽しみだし、夫は腹の足しになれば、と思ったらしく、2人で一緒に参加する。

施設での食事は3食とも、スープ、主菜、果物の構成が基本だ。スープがジュースになったり、お昼はフルーツがヨーグルトになったりといった、「てにをは」の違いくらいはあるが、基本は変わらない。
私は普段から、消化力に問題があるし、よってそれほど多く食べるわけではないので、ここでの食事が足りないということはない。
しかし夫は、男性だし太めだし消化力にも問題ないようなので、食事が少ないと感じるようだ。彼はドクターに痩せたいと言っていたので、それには食事を減らすしかないのだが、それだとお腹は減ってしまうようだった。

クッキングクラスは、トラディショナルキッチンで行われることになっていた。ところがトラディショナルキッチンに行ってみると、オープンエアの小屋なのだ。トラディショナルとは言っても、ずいぶん原始的なところだな、と思っていると、なんと火はガスではなく薪である。
それはちょっとやりすぎなんじゃないかと思っていると、なんとスリランカでは、未だに薪のキッチンを使っている人が少なからずいるんだそうだ。

ちなみにスリランカは、調べてみたところによると、一人当たりGDPが4000ドル弱あり、インドなどより高い。域内でモルディブに次ぐ2位のGDP水準なのだそうだ。それでも薪のキッチンを使っている人がいるなんて、カルチャーショックだった。

薪を使って調理する



この日のメニューはお菓子で、名前はよく聞いておかなかったため知らない。材料もよく分からなければ(通訳が付いたが、材料の日本語訳を知らないという)、レシピなどもない。要は、デモンストレーターがお菓子を作るのを、参加者は見学するという会だった。
材料は、粟みたいなものを炒って、そのあと生ココナッツの粉を足して、砂糖を加熱して溶かしたものとバターを混ぜて、固めて作るという、割にシンプルなレシピだ。

しかしこのクッキングクラス中に、私たちには画期的な展開が待ち受けていた。スーツケースが開いたのだ。

出国時に鍵が壊れて、スーツケースが開かなくなったので、私は毎日少しずつ番号を回して、000から550まで試し終わっていた。しかしまだ先は長いし、このまま帰国したら、帰りにまた番号が狂うかもしれないので、早く999まで試す必要があった。ちなみに夫は老眼で、鍵解錠チャレンジを手伝ってはくれない。
そのことを夫が、料理教室中に、いつも通訳に来てくれているスタッフに相談したところ、彼がメンテナンス担当の人を呼んでくれて、その人が我が家のスーツケースの鍵を、壊して開けてくれたのだった(スーツケースを捨てて帰ることも考えたので、鍵を壊すことに異存はない)。夫は、クッキングクラスの途中で抜けて、コテージでその作業に立ちあった(そして試食の頃にタイミングよく戻ってきた)。
これで晴れて、我が家のスーツケースが開いた。もともとたいしたものは入っていなかったが、洗面道具が入っていたため、私は使い捨てコンタクトを取り出すことができないでいた。だから、ここに来てからというもの、私はずっと、ノーメイクかつ眼鏡で過ごしていた。ノーメイクのほうは、リゾートの外に出ないし、1日に2回、約3時間もトリートメントがあるので、メイクしている暇もなければ、必要もない(それにそもそも普段から、メイクには熱意が足りないほうだ)。でもコンタクトのほうは、普段眼鏡をあまりしないので、眼鏡だと邪魔だし不便だ。帰国までにスーツケースの鍵が開いて、本当によかった。

クッキングクラスで出来上がったお菓子は、素朴でなかなか美味しかった。
ここにいる間、出てくるアーユルヴェーダ食しか食べないので、お酒も飲まなければ、カフェインも取らなければ、甘いものも一切食べていない。割に体によさそうなお菓子ではあったが、それでも砂糖はたくさん入っているので、食べながら、なんだか悪いことをしているみたいな気持ちになった。

お菓子を切り分けているところ

しかしこの日の夕食で革命が起きる。なんと、この日はバイキングだったのだ(表題の写真がその様子)。夫は喜んで、これまでの節制を台無しにするかのように、大量に料理を取っていた。いくらアーユルヴェーダ食だからと言っても、食べ過ぎはダメだろう。(11に続く)

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