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奇跡のインド13

アシュラム滞在4日目。この日はちょっと変化に富んだ1日だった。
朝5時からキールタンを歌って瞑想し、その後アーサナ(いわゆるヨガのポーズ)を行い、11時からいつものお菓子開封スワミジのお話を伺い昼食、というところまでは一緒だ。ところがこの日は午後から、みんなで遠足に行く予定が入っていたのだ。
遠足の行き先は、バシスタの洞窟。なにやらバシスタという人が瞑想した洞窟であるらしい。
洞窟に入る前にガンジス川で沐浴し、体を清めてから入る、という名目だが、要はガンジス川に沐浴に行くのだ。

私の今回の旅の目的の一つは、確かにガンジス川を見ることではあるが、沐浴しようとまでは思っていなかった。でもせっかくの機会だから、沐浴することにする。
なにせインドは暑く、日中は連日30度を超えるので、沐浴するにはふさわしい日和だ。バシスタの洞窟は、アシュラムからバスで1時間くらい走ったところにあるのだが、アシュラムから水着を着込んで準備してきた。あとは水に入るだけである。

ガンジス川の上流のほうで、水は綺麗なようだが、雨季なので泥で濁っている。それでもここまできて入らずに帰るわけにいかないので、私は思い切って入る。
水は茶色で水底が見えないので、結構怖い。足を怪我したり、滑らせたりするのはできるだけ避けたい。
怪我こそしなかったが、水底には石がいっぱいで、足は滑らせた。河原も暑かったし、アシュラムからビーチサンダルを履いてくればよかったと思うが仕方ない。それで一気に首まで浸かってしまう。
水は冷たくて気持ちよく、聖なるガンジス川のおかげで日頃の煩悩を洗い流せたはずだ。煩悩が強い人は、頭まですっぽり浸かるとよいということだったが、そんな茶色い水に頭まで浸ける気にはなれず、煩悩が弱いから、というわけではないものの、私は首までで遠慮した。
参加者たちは、水の中で無邪気にはしゃいで、みんないきいきとした顔をしていた。大人は普段、川になんか浸からないから、ついはしゃいでしまうのだろう。

問題は、沐浴の後だった。持ってきた着替えに着替えないといけない。しかし河原に目隠しはない。
参加者女性たちが大きな布を順番に持って目隠しして、女性は順番に中に入って着替えた。学生の部活みたいなノリでなかなか楽しい。よくそんなちょうどいい布を持っているものだと感心したが、これを見越しておそらく誰かが、わざわざ持ってきてくれたのだろう。男性がどうやって着替えたかは知らない。
沐浴が大イベントなので、そのあとに立ち寄ったバシスタの洞窟は、もはやおまけみたいなものだった。洞窟を見て瞑想の真似事をして、帰途についた。

そしてこの日の遠足は、これにはとどまらなかった。アシュラムに荷物だけ置きに戻ったあと、私は別のオプショナルツアーを申し込んでいたのだ。これは沐浴と違って、希望者のみが参加する、ハリドワール行きのツアーだ。


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