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奇跡のインド6

宿舎はアシュラムの中の高台に位置するところにあって、オリエンテーションでは次第に麓のほう、ガンジス川のほうに向かって降りていった。アシュラムの敷地は二つに分かれていて、公道を挟んでガンジス川寄りにも、病院などいくつかの建物がある。病院は、誰もが無料で診察を受けることができるらしい。

病院の近くの建物で、利用者登録をする必要があるという。なにやらリシケシは中国との国境と遠くないこともあり、身元の確認は厳重であるらしい。
利用者登録する順番は、氏名のアルファベット順。私は最後のほうだ。

ところが、いちばんはじめに登録所に入った人がいつまで経っても出てこない。いったいなにをそんなに時間がかかっているんだ、と思う。15分くらい、全く動きがなかったのではないか。ようやく1人目が出てきても、そこで終わりではない。今度は署名をするのにまた時間がかかる。
1人目だから特別に時間がかかったのかと思いきや、2人目も同様に、同じくらいの時間がかかる。こんなことなら、40人全員の登録をするのに、明日の朝までかかるぞ、と思う。
途中から、少しだけペースアップして、1人あたり10分くらいの時間に縮まったものの、それだってかなり待たないと私の順番は回ってこない。なにせ総勢40人あまりなのだ。
登録が終わった人たちは、町に繰り出すという。うらやましい。どうせしばらく順番は回ってこないのだから、うらやましがってないで、私も先に町を覗いてこよう、と登録が終わった人たちに着いていくことにする。

町には露天の食べ物屋や洋品店、土産物屋などが並ぶ。見る物全てが新鮮だ。パンジャビドレスという、地元の人たちが着ている服が売っている店もある。現地でそれを調達できると日本で聞いた時は、そんなものを購入するつもりはなかったが、実物を見てみると欲しくなるし、早速購入している仲間もいた。
しかし私はなにせ利用者登録を抜け出している身分なので、いつまでも油を売っているわけにはいかない。とりあえず下見だけで、後ろ髪引かれる思いでアシュラムに戻る。

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