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奇跡のインド 1

今回の旅行について、文章にまとめようかどうしようか迷った。体験したことが大きすぎて、文章にできる感触が掴めなかったのだ。一方で、経験はどんどん遠ざかっていく。距離を取ってみて見えることもあるとは思うが、この陶酔感が続いているうちに、やはり何か記録しておこうと思って筆を取った。今しか書けないものもあると思ったからだ。

私は約15年前に、インドに行ったことがある。インドは経済成長が著しく、大きく発展することが期待できる国だと言われていたからだ。BRICSという造語もあり、どんなところか見てみたいと気持ちもあった。ヨガもやっていたので、ヨガの本場を見ておきたいという思いもあった。

インドのことは、滞在してみて好きになる人と嫌いになる人がいるという。当然自分は前者だと期待していた。しかし実際には後者だった。ツアーで訪れているのに、初日に泊まったホテルでは早速騙されるは、そのホテルのお風呂で転んで肋骨にひびが入るは、楽しみにしていたアーユルヴェーダでも騙されるは、帰国してからものすごい下痢になるはで、タージマハルが綺麗だったり、カレーはさすがにおいしかったりしても、到底許容範囲を超えていた。

だから、今回のインド行きの話を聞いた時にも迷った。今回は、私がやっているヨガ教室のツアーに参加して、ヨガの道場に滞在するのだという。
話を聞いたときには、「行きたい!」ととっさに思った。前回インドに行ったときは、デリー、アグラ、ジャイプールのいわゆる三角地帯を回るツアーで、インド人心の魂の、ガンジス川を見に行くこともなかったし、ヨガを感じる要素も一切なかった。だからインドを再訪してみる必要はあるかもしれないと思ってはいた。しかしいかんせん、前回の体験が酷すぎた。

そして、今回の旅行の説明会に参加したら、ますます行くのが嫌になった。今回の旅では、アシュラムという、ヨガの道場のようなところに滞在するという。インドは暑い。それなのにアシュラムにエアコンはなく、蚊取り線香持参だという。おまけにトイレットペーパーを使いたい人は、それも持参だと言うのだ。おまけに特殊なツアーなので料金も高い。前回インドに行った時のツアー代金の倍以上だ。何が楽しくてそんなものに参加する必要があるのか。しかしなにはともあれ、私はそれに参加するところとなったのだった。

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